二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第八十四話 ( No.150 )
日時: 2013/08/11 11:30
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: LdHPPNYW)


「産声って……、こんな感じなんだね」
「そうだな。私は作業中で聞いてなかったからな、私が苦労してる間にお前は産声上げてたんだな」
「……やめて、なんか恥ずかしい」

 僕はそう言いながら赤面した……と思う。
 昔の自分の感想とか思い出話って、恥ずかしいんじゃないかな。

「で、まあその後…………そんな訳で次行こうか」
「ちょっと待って、今の間は何!?」
「……聞きたい?」

 ルピナスがこっちを向いて少し悲しそうに笑う。

「……うん」
「死んだんだよ。リンネの母親が。よし、行こうか。次は小学一年くらい」
「え、ちょ——っ!?」

 次の瞬間、少しだけ見覚えのある場所に来た。

「学校。あ、最近お前が通ってる不気味な方じゃないからな? 断じて」
「あぁ……うん。分かった」
「ロドリオ村の建物と少し似てるね、コンクリート?」
「ふぇ? こんくりいと……?」
「砂とか砂利とか水とかを、セメントで凝固させた人造石。」
「せめんと?」
「……もう良い。とりあえず、ちょっと過酷と言うかなんと言うか……アレ、な感じ。見たら分かるしソアラなら共感すると思う。多分」

 アレってなんだろう。
 ソアラが共感するかもって……。うーん……、ピンと来ないな。

「キャッ!!」
「あははははっ!!」
「……またビショビショだよぉ」
「掃除頑張れよ! ほら、もーすぐ先生来るよ?」

「あー……。いじめ?」
「そう、いじめ」
「あぁ、いじめか」

 一瞬で納得。
 ……にしても、流石一年生。バケツトラップとか低レベルすぎる。せめて黒板消し……同レベルだね。

「小学一年生のいじめってちょっと変だよね。純粋に」
「純粋に、ね。ソアラの受けてたいじめの方がマシかも……」
「お前らってどんな環境で育ったんだよ。いじめに抵抗なさすぎだろ……」

 まあ、それは良いとして。
 チャイムが鳴って先生が入って来た。

「十六夜さん。また貴方ですか? 廊下に立ってなさい!!」

 ……は?
 “また”ってことは前にもあったって言うこと。現実的に考えて何回も同じことが起こったら不審に思うはずだし。

「ねえ、僕なんか悪いことしてた?」
「先生もグルだね。これは」
「うわ……。エデンかよ……」
「グル? エデン?」
「グルって言うのは仲間って感じかな。本にもたまにあると思うよ」
「エデンは生前に私が世話になったところの、強いて言うなら管理人」

 グルは僕が読んでる本では見ないな……。神話とか聖書とか事典を読み漁ってることが多いから。
 エデンの園のエデンしか思い浮かばないけど、人の名前か……。
 僕の名前も「りんね」だから「輪廻」みたいで人の名前か分からないかも知れないけど。
 って言うか先生がいじめっ子の見方ってどうかと思うな。


「ねえ、なんで先生はいじめっ子の見方なの?」
「じゃあいじめが始まる前でも見るか?」
「出来るの!?」
「出来る。覚えてるし。目は見えてないけど」

 ボソリとソアラが赤ちゃんみたい、と言ったのはなかったことにしよう。