二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第八十六話 ( No.160 )
日時: 2013/08/28 21:41
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


 雪景色……って言うのかな。そんなところで一瞬でも物音しない時間があると、ゾッとする。

「……終わりって?」
「僕の恥さらしタイム?」
「まあ、そう言うことになるな」
「え、じゃあ今から樹氷に向かうの?」
「そうなる。この辺の記憶は出来るだけ残した……はずだ。何だったっけ、アレだ。この森に入った時の記憶だけしか行かなかった気がする」
「曖昧だね、覚えてないの?」
「おっ覚えてるからな!?」

 うん……。ルピナスが地味にツンを発動させたのはこの際どうでも良いけど。
 言われてみれば、少しだけ見覚えがあるような気がしないでもない。気のせいかもしれない……かもしれないし。

「うん……。あ、リンネだ」

 ソアラが声を上げた。
 見ると、文字通り瓜二つの僕がいた。

「ま、今から半年位しか経ってないからな。冬だし」

 そう言えば、校長先生に似た人がいたところ。雪が降ってたっけ。今もあそこに独りで座っているのかな。“魔法使い”になろうとしている人を待ちながら。
 今思うと、全ての始まりがあそこな気がする。あそこでもし、樹氷魔法学校を選ばなかったら、多分ソアラや宙とも会わなかったと思うし、友達もたくさん出来なかったと思う。
 でも、逆に考えたら、僕のせいでアルバ達に迷惑を掛けたかもしれないし————

「リンネ、顔が青いよ。震えてるし……、大丈夫?」
「この後あること、そんなに怖いのか?」

 いつの間にか、ルピナスとソアラが僕の目の前にいた。
 心配は掛けたくないし、別に体に異常はない……と思うから、「うん」とだけ言って笑っておいた。

「良かった……! そう言えば、この後あることはルピナス……さんは知らないの?」
「覚えてないと言うか、見えてなかったから。声は聞き覚えがバッチリあったのに、大分会ってないからか思い出せない。さん要らないから。寧ろ止めろ」
「あ、はい。ルピナス……?」
「敬語要らん!!」
「はい……うん!!」

 コイツら馬鹿だろ、と思ったのに、何故か僕は笑っていた。変なの、って言いながら。
 それを見て二人は少し驚いた顔をした。僕は笑いを止めたけど、直後に二人が同時に笑いだした。それに釣られて僕も笑う。

「アハハッ! でも、最近リンネが笑ったところ見なかったからさ。久しぶりに見たから思わず」
「まあ、そうだろうな……。私も最近は滅多にお前の笑顔とか見てなかった」
「ほえー……。僕、そんなつもり全くないけど、なんか色々大変だったからかな……ってあぁっ!! 僕が森の奥に入ってったよ!?」

 僕はそう言って“霖音”を指差す。
 ソアラは「そう言えば!」と叫んだ。ルピナスは手をポンと叩いた。二人とも、しっかり忘れてたんだな、僕はその言葉を飲み込んた。

「よし、追いかけるぞ」
「うん……。リンネ、どんどん進んでるけど場所知ってるの?」
「私が誘導してるから当たり前」
「そ、そうなんだ……」

 僕とソアラは呆れ顔で“霖音”を追いかけた。