二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第八十八話 ( No.164 )
日時: 2013/09/03 18:31
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「でもその前にさっきばっちり省略してた部分話す」

 いや待てじゃあなんで「行くか……」とか言ったの!? 何を考えて「行くか……」とか言ったの!?
 まあ良いや、でもそれってしいて言うなら意味なしだよね。さっきのは。

「色々と嘘の記憶だった気がする……」
「嘘の記憶!? ……ってあぁ、たしかに色々違ったかも」

 忘れてた。うん、なんか色々違った。
 自分の過去知れた感はあったから、それで良いやとか思ってたけど……。

「嘘の記憶? さっきのは嘘なの?」
「逆だよ。僕の覚えてた記憶が偽物で、今さっきのは本物」
「茶髪黒目のリンネだっただろ? ちなみに学校はいじめのせいで不登校。親はいない。で、何故か学校の裏に住んでた」
「馬鹿なの? 僕」

 まあ、要は色々差し違えがあるってことかな?

「ついでに思い出したことがある」
「え、次は何?」
「サムラの歴史……」
「来た、雑草」

 サムラの歴史イコール雑草の僕。

「雑草?」
「注意書きだろそれ。まあ、その本を読む暇はないだろ?」
「じゃあなんで言ったのさ……」
「……じゃあ行こう。もうそろそろ成仏したい」

 成仏したいとかあるんだ……。こっちとしては複雑な気持ちになるんだけどね。

「……えっと、まああれでしょ? ルピナスはアルバの所に行きたいけど、やらないといけないことが沢山あるって言う感じ」
「それだ!!」
「そ、そうですか……」

 それは良いとして、僕が悩んでるのはやっぱりアルバ。どうするんだ。

「とりあえず……。よし、決めた。その刀返せ。俺が行くから……!!」

 そう言った時のルピナスはなんと言うか……。ルピナスって感じじゃなかった。自分のことを「俺」って言ったし。
 その刀。多分僕の持ってる刀だ。

「ルピナス、大丈夫……?」
「ちょっと落ち着いてよ」
「——そうだな。昔の事件を起こしたくなかったから……」

 なんかよく分からないけど、ルピナスにも事情があるらしい。話せ。

「昔の事件って、もしかして……アレですか?」
「まあ、アレだな。ロドリオ村の外れで起こったらしいがぶっちゃけ私は覚えてない」

 ソアラが「もしかして」と「アレ」の間で一回深呼吸をした。
 アレって何……?

「でも、ルピナスがその事件に関係してたなんて思わなかったな」
「私的にはソアラがそれを知ってことに驚いた」

「じゃあ、その“アレ”について話して欲しいんだけど……」

 僕が二人の話について行けず、苦笑いをしながら言うと、ソアラが

「あ、そう言えばリンネは異世界から来たんだっけ」

と呟く。なんか腹立つ。
 直後、玄関の方で物音がした。足音が聞こえる。

「誰か来たのかな……。こんな時に」
「でも変だろ。色々と」

 二人がコソコソと話し始める。足音はこっちに向かって来る。

「大丈夫かな……」

 僕が無意識に呟く。
 すると、足音がピタッと止み、僕の不安を掻き消すように声が聞こえた。

「わあ! 久しぶりだね、二人とも!」