二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第八十九話 ( No.168 )
日時: 2013/09/06 23:49
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「……え?」
「うわ、久しぶり」
「ルピナス。うわって何?」

 足音の主が真っ黒のフードを手で払いながら苦笑いする。
 女の人かな……。普通に出て来たけど、この人見覚えある。

「男だよ」
「こっちも間違えられた」
「あ、声が女の人っぽかったので」

 ルピナスの口調が変わったことを不思議に思う。

「えっと、紹介が遅れたね。アミスタです。女と間違えられますが男です。あと——」
「私の旧友?」
「そ、ルピナスが死ぬ前友達だった人です」

 アミスタさんはそう言いながら目を逸らした。
 え、何この人。近所の気前の良いおじさんみたいな? いや、おじさんって言っても恐らくルピナスと同じ位じゃ? でもちょっとおじさんっぽい気が——

「えー、霖音って言ったっけ? 君、何脳内で俺におじさん連呼してんの?」
「え、あー……。ごめんなさい?」
「まあ良いや。で、話の続きどうぞ?」

 そう言えば、このアミスタさんはなんで僕の考えてることが分かったのかな。まあこの際どうでも良いや。
 何の話してたっけ……。あ、思い出した。“アレ”の話だった。

「お前が話せボケ!」

 ルピナスが明らかにいつもと違う……。良いけど。

「はいはい、なんだっけ。あぁ思い出した。地域によって変わってるけど、一般的にはアポスネースコー事件って言われてたよね?」
「多分」
「なんって言うか……。それって俺に話させることじゃないよね? シアン?」
「ここでその名前使うな!」

 僕とソアラはベットに座って聴いてたけど、アミスタさんが「なんって言うか」と言った瞬間からはほとんど聞いてなかった。
 せいぜいルピナスのことをシアンって言ったところくらいしか。

「で、まあ本題に入るよ。なんか悪神的なヤツがいるんだよね……。オネイロスだったかヒュプノスだったか……。あ、キャンバス?」
「タナトス」
「そうそう! で、まあ、俺がそのタナトス? それに取り憑かれて色々あったんだ。結果的に、ルピナスを殺したらしいけど」

 アミスタさんはそう言ってから悲しそうに笑った。

「今はそんなことどうでも良い。アルバをどう助けるかだ。あのやり方だけでは——」
「ねえ、ルピナスとアミスタさん。一つだけ、僕に作戦があるんだけど……」

 ルピナスが頭を抱えながらベットの上からその目の前にある椅子に移る。同時にソアラが立ち上がって言う。
 アミスタさんはそれを見て数秒間呆然としていた。

「え、君、もしかして俺のこと見えてる?」
「はい」
「いつから?」
「え……。結構前から見えてましたけど」

 何の話をしてるんだ。冗談抜きで分からない。
 まあ良い……のかな。なんでアミスタさんは、ソアラが「自分が見える」と言うだけの理由で呆然とする必要があるんだろう。