二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:番外編 ( No.171 )
日時: 2013/09/09 18:32
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「やあ、チルベくんおかえり」
「はい。ただいまです」

 俺達が話してる間、アルバは医者のことを睨んでいた。
 元々から持病のことを嫌がってたから、治せない医者に八つ当たりでもしてるんだろうな……。

「じゃあ、ボク部屋に戻りますね」

 この隣の部屋が俺の部屋になってる。そう。俺は病室に病気でもないのに住んでいると言うことだ。
 俺が病室から出た直後に、医者はアルバに話しかけた。俺は出た直後だったから、嫌でもその声が耳に入った。

「————君の命は、もう長くないよ。ごめんね————」

 アルバからの返事はなかった。
 俺は急いで自分の病室に逃げる様に入る。隣の部屋の扉が開く音が聞こえた。セーフ……。
 俺は、病室の床にランドセルを置いてからベット方面にジャンプ。勿論着地は布団の上。でも、数メートルは跳んだことになるから少し痛い。

「んー……。どーしよっかなぁ——」

 そう言いながらベットの上で胡坐を掻く。視界がゆらゆらと揺れて、色もぼんやりして来た。
 ここに預かって貰っているのも、アルバが病人だから。無料で見てもらっているわけだ。無論、アルバが死ぬと俺もここから出る必要がある。
 アルバの命が長くない——死ぬ。俺は家と家族——全てを失うことになる。
 ……学校にも行けなくなるし。

 少し嫌だけど、相談するしかないのか。
 結果、それしか浮かばなかった。


                       * * *


「——それは大変だね。今日、行っても良い?」
「別に良いけど……」
「じゃあ、一緒に帰ろうっ!」

 ラスカルに相談した。
 話してる最中、凄く嫌な予感がした。

「お前ら、まだ死にかけの弟の話か?」
「死にかけ!? テンデル、人の気持ちも分かんないの!? チルベはその子がいなくなったら独りぼっちなんだよ!?」

 二人の口論が始まると同時に俺は素早く机の中から本を取り出し読む。他人っぽい雰囲気を出すことで、巻き込まれずに済むだろう。



 放課後、ラスカルと二人で病室へ入る。
 アルバは——いない。

「くっ……! どこだ!? ——あぁ、チルベくん!」
「あの、アルバは……?」
「そうなんだよ! アルバくんが見当たらないんだっ!!」

 俺とラスカルは、顔を見合わせた。
 いや、なんでこのタイミングで……?
 落ち着け俺。事件があったのも今日だったし、何よりもアルバは外に出たことがないからそう遠くには行っていないはず!

「チルベっ! 行くよ!?」

 ラスカルはそう言いながら、心配した様な声を出す。俺はその時、しっかり見た。ラスカルの口元、しっかり笑ってたよ。