二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第九十三話 ( No.184 )
日時: 2013/09/22 15:55
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「三階はそれなりに強い気がしないでもない」

 ルピナスがちょっと残念そうに言う。
 この調子で行くと、四階はもっと凄いのかな……。僕はそれこそ嬉しくないと思う。

「あ、もう四階の階段……」
「三階がなんだかんだ言って凄く簡単だった気がするね」

 アミスタさんとルピナスがブツブツと文句を言い始めた。
 確かにヘボかったけど……。四階は凄く嫌な予感がする。

「ソアラ」
「ん? 何?」
「……やっぱり良い。絶対にアルバを助けようね!!」
「勿論!」

 四階に上がる。
 次は犬じゃなかった。何あれ……刀持った熊?

「あ、駄目だ。逃げるぞ!!」
「ソアラっ! 行こう!!」
「う、うん……」

 さて、僕達は地味に詰みました。熊さん思いの外足速かったんです。巨体なので大分凄いです。
 熊の持った刀が僕の体に当たった。

「痛っ……!!」

 一度届いたらあとはタイミングを掴むだけ。僕の体に刀が何度も刺さる。

「——リンネ! 手、離して!!」
「は!? 何言ってんの!? 死んじゃう——」

 ソアラは僕の手を振り解いて、熊の方へ走って行った。
 直後にルピナスが僕のことを持ち上げて、僕は地面以外見えない状態になった。

「——ソアラ!!」

 僕はそう言いながら後ろを向いた。そこには、熊の群れ以外何も見えなかった。


                        * * *


「——ラスト」
「……うん」
「ソアラがいなくなったから、寂しい。それは分かる」
「……うん」
「助ける方法はある。でもその前にアルバを助ける必要があるんだ。分かったか?」

 最上階へ続く階段を前に、ルピナスが僕を降ろしながら言う。
 あんな終わり方、ないよ。

「分かった。タナトスとか言うのを倒したら良いんでしょ? この世から消してやる……!!」

 僕は刀を抜くと、さっきルピナスに言われた通りに刀に魔法を籠める。アルバに教えてもらった氷魔法と、僕が初めから使えていた風魔法。

「リンネ、君の鞄の中に俺が渡したオルゴール、ある?」
「はい、入ってますよ? あ、もしかして使うんですか?」
「うん。ルピナスも使ってたし」
「え、これってルピナスのお下がりですか?」
「うん。お下がり。それね、特別な物でね——」

 オルゴールについての説明が入る。
 そう言えば、なんで僕が氷魔法と風魔法を籠めてるか、分かりますか? 本当は氷だけでも出来るんだ。これはね、範囲を広げるためなんだ。
 僕が魔法学校に来てすぐ、アルバが僕に見せてくれた魔法。アルバは忘れてるかも知れないけど、僕にとっては大切な——大好きな魔法。

「じゃあ——二人とも、僕に近寄らないでね」

 血塗れで言っても、説得力はないと思う。
 でも二人は「分かった」って言ってくれた。僕は、それに相応した結果を出すだけ。
 僕は階段を一人で上がり始めた。