二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第十四話 ( No.26 )
日時: 2013/04/24 20:17
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


 とびらを開けた後、僕は人魂とこう君の後ろを付いて行った。
 いきなり周りの景色が暗くなり、よく見ると、僕らの目の前には赤と黒の色が塗ってある、いかにも悪役っぽいイメージのある扉があった。

「何これ……。」
「これが、冥界の門です。ボク達が通ったのはもの凄い近道だったんだけど、本当は凄く遠いんだ。にしても、他の見張りがいなくって良かった。君達が本当に殺されちゃうところだったよ。さあ、入ろう!」

 この人魂なんか今メッチャ怖いこと言ったよね……。
 人魂が扉を開けた……ら、なんか大きくて赤くて頭が三つ付いている化け物がいた。

「ケルベロス……?」
「大丈夫。ケルベロスは冥界に入って来る人大歓迎って自分で言ってたから。」

 絶対ヤバい意味だけど。もう入っちゃったし……。ケルベロスが扉塞いじゃってるし。

「おかあさぁん!」
「もう、どこまで行ってたの?」
「人界だよ! 迷子になっちゃったからこの二人に連れて来てもらったんだ!」
「あら、ありがとうございます。うちの子がお世話になって……。」

 分かったから、と言うか僕この空気大嫌い。風景赤黒いし石畳で痛いし怖いし息苦しいし。

「では、気を付けてお帰り下さい。」
「でも、ケルベロスが扉を塞いでるんです。どうすれば良いですか?」

 こう君が言うと、人魂のお母さんは、

「あちらにある骨がケルベロスの大好物なんです。」

 と言い、檻の中に入っている骨について教えてくれた。つまりアレ(骨)を使ってケルベロスをどっかにやってるうちに帰れと言うことか。この人魂親子は二人揃って怖いな。

「どうやって開けるんですか。」
「たしか、ケルベロスがあの檻の隣で“ほね”“した”と、唱えていました。」
「魔法語だね。じゃあやってみます。」
「ありがとうございました!」

 二人で挨拶をしてから、檻の前まで行き、こう君が言われた魔法語を唱えた。
 檻が少し開いた。

「お前取ってこい。俺は背の高さ的に無理があるから。」
「そうだね。じゃあ行ってくる。」

 そう言って僕は骨に手を伸ばし、取った。いや、これ手だけ伸ばせばこう君でも取れたんじゃないの?

「取ったよ。」
「じゃあケルベロスに骨を見せつけた後に力いっぱい横にブン投げろ。」
「分かった。」

 僕は言われたとおり、ケルベロスの前で骨を見せ、思いっきり投げた。
 ケルベロスは骨を追いかけて扉の前を退く。

「よしっ! 早く行くぞ!」
「うん!」

 そう言って僕らは扉を開けた後、走って人界に戻った。

「ふ……ふぅ、疲れた……。」
「ここに来た中で一番大変な事件だったな……。」
「あの人魂達元気かな。」
「多分な。」

 これで人魂は冥界に帰れた。テツさんがはじまりとおわりのとびらの前に来て、

「お前ら、大丈夫だったか?」

 と言った。

「死にそうだったけど大丈夫でした。」
「同じく大丈夫でした。」
「良かった……。冥界だから運が悪ければ殺されるからな。」
「……!」

 あの人魂が言ったことは本当だったんだな、と思った。