二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:番外編 ( No.268 )
日時: 2014/02/16 05:49
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「——はあ、ここは良いね。カミュ。セールス共がいない! こんな世界何年振りだろうっ?」
「何があったんだ……? あ、いや、気に入ってくれたのなら構わないが」

 俺は部屋の中で片足を軸にグルグルと回った。
 これでやっと謎の臭うキノコが生える部屋とおさらばだ! そして毎日来る芸能スカウト云々の方も、しばらくは……。多分。

「この近く、人が住んでないから大変だぞ。特に倒れた時は」
「んーっと……、じゃあ、校長に薬を作ってもらおうかな」
「いや、そう言うことではなく」
「手伝ってくれてありがとな、今度なんかおごるよ」

 壁をコンコンと叩きながらカミュの方を向いて言う。突如、心臓に痛みが走った。

「大丈夫か!?」
「うん。ちょっとはしゃぎ過ぎた、かも」

 そう言いながら、作り笑いを浮かべる。

「対処法は?」
「寝る。そしてしばらく寝る。以上」
「じゃあさっさと横になれ。水、持って来るから……」

 少し前に体をかたむけ、急ぎ気味で自分の部屋に行く。今にも壊れそうなボロボロの扉を開け、ベッドになだれ込む。
 まだ謎のキノコ臭がある。

「持って来たぞ」
「それ、どこの水……?」
「どこの? 魔法と水道と川、逆にどれが良い?」
「水道で」
「なら問題ない」

 カミュに頼むと九割は魔法で水を出す。それは色んな意味で恥ずかしいため断っているけども。
 俺はカミュから受け取った水道水を飲みほし、

「白鳥はどうする?」

と聞いた。

「どうする? あぁ、そう言えば来るとか言ってたな」
「俺はすごい嫌なタイミングで来ることを予想する」
「どんな? オレはお前の看病するかくすぐるかしかせんぞ?」
「やめろはり倒すぞ」
「それこそやめろ。絶対そのタイミングで白鳥来るぞ。オレはその瞬間即座に逃げる。

 さっきよりも鋭い痛みが来る。俺は悲鳴にならない声を出した。
 もう無理だホントもうそろそろ命がヤバい。

「……まだ少し寝てろ。棚に薬を突っ込んだ筈だ……っと」

 カミュはボロドアにつまずいてこけそうになった。
 なんか、今、家の外ですごい音がした気がする。

「ただいま。白鳥が来たぞ」
「やっぱり……?」

 薬を受け取りながら俺の頭がある意味真っ白になるのが分かった。
 いやいやいやいや。そこまで空気読んで来なくて良いから。

「またこじらせた? 大丈夫!?」

 今までまあ大丈夫だったけど一瞬にして大丈夫じゃなくなったよ。

「今薬を飲んだ所だ。あと三十分は大丈夫ではない」
「そう……。じゃあ、ご飯手伝うねっ!」
「と、言う訳だ」

 そう言ってカミュはニヤリと笑った。
 カ……ミュっ! アイツッ!
 ——ぶっちゃけ、あの二人の料理は食えた物じゃない。この三人の中では料理で一番の自信がある。

「——待て! 料理は俺がするからお前等それ以外のことしとけえェェ!!」


 * * *


「はぁっはぁ……っ」
「大丈夫? 生きてる? にしても料理すごいわねっ!」
「お前等のせいで半分しか生きてない」
「——にしても、白鳥。お前冬なのにその格好寒くないのか?」
「はぁ!? それ絶対あんたの台詞じゃないでしょ!? タンクトップとかホントよく平然としてられるわね」

 二人がお互いの服装について文句を言い合っている。けど、俺にとっては二人とも本当生きてるの? という状況だ。
 いや、だって、ジャージとタンクトップ(ジーパン)。俺は制服の上にコート。
 いやこれ絶対無理だろ。俺のデリケートさを馬鹿にするな。

「食べないなら片付けて良い?」

「絶対食う! 残さず食べるから片付けるな!!」
「わ、わかった……」

 俺はお前等仲良いな、という言葉を飲み込んで、代わりにコップの水を飲んだ。