二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re:第二十二話 ( No.42 )
- 日時: 2013/05/12 07:17
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: なんか最近小説書くのが純粋に楽しくなってきた。
そして今、……本番だ。僕が聞いた眠れる森の美女とは大分違う話だった。ちなみにここは舞台裏で、舞台の方は既にざわついている。
僕が聞いたのは姫は王子が来た時に目を覚まして結婚だった。でも、僕等が演出するのはキスで目を覚まして結婚するパターン。
「ちょっと待ってどういうこと!?」
と叫びたいのを我慢して、練習に取り掛かる日々が一週間続いた。そう、これでアルバが帰って来てから一週間経ったことになる。
あぁ、どうしよう話がまとまらないよ……。色んなことがありすぎて。
「あ、皆さんみて下さい! 衣装できたんです!」
僕のテンションが完全に下がっている所に櫻さんが目を輝かせながら来た。
手には……、衣装達。魔法使いと王子様とオーロラ姫、王女と国王分の衣装もちゃっかり用意しちゃってそうな量。
「あー……。うん、凄いね!」
僕が言うと、櫻さんは嬉しそうに笑った。偶々僕の隣にいたアルバが思いっきり吹いた。まあ、自分がアレを着るとか考えたらそうなるわ。むせるよ絶対。
「えっと、ちゃんと演技は出来るよ……?」
櫻さんが控えめに聞くと、アルバが
「いや……なんでもない。大丈夫。うん、大丈夫大丈夫……。」
と、我慢してるオーラ駄々漏れの台詞を吐く。何、この人さくら魔法学校でトラウマ劇場でも創って来たの?
僕は櫻さんの作った衣装のうち、自分の衣装と思われる物を取ると
「今から本番だし、もう着替えて来るね!」
と出来るだけ明るく言ってから試着室に入った。
あぁ、どうしよう。全力でめんどくさい。衣装はまあ王子様っ! って感じのデザインです。いかにもな剣もしっかりと準備されてるし。
ブツブツと校長に対する文句を呟きながら着替えた。
「……どうかな?」
「に、似合ってると思うよっ!」
「あぁ……。」
僕が着替えると二人が色んな意味で残念な反応をした。と言っても服装に異変は多分ない。
[————プログラム五番。眠りの森の美女をお送りいたします。]
ナレーターの人……校長を殴りたいです僕。あの人任せ野郎が……!
「は、始まる……ね。」
「イヤだぁ!」
「アルバ落ち着け。サッサと着替えて今なら間に合うから!」
僕がまだ制服姿のアルバにそう言ってから、舞台の見えるところへ僕は向かった。本来なら僕は一番最後に出てくるであろう登場人物だから、まだ着替えなくて良い。あの気まずい所がなかったら僕は着替えてないと思う。
[ヴゥ————……]
機械音が鳴り、最初はカミュさんのナレーションで始まった。カミュさんの声は少しゆっくりで、それ以上の遅さで幕が上がって行った。
『昔々、あるお城に王様と王女様がおりました。王様と王女様には、長い間子どもがなく————』
ここでカミュさんの声がなくなった。王女様ってカミュさんが言うと恐ろしいまでの違和感が僕等役者を襲う。
次に、櫻さんが
『————ついに、子どもが誕生したのです。名前はオーロラ、と名付けられました。王様はオーロラの誕生をとても喜ばれ、盛大なパーティーを催しましました。国中の人たちがお姫さまの誕生をお祝いしました。』
と、聞こえた。そこで幕が上がりきり、あやかちゃん……がニコニコと笑いながら赤ちゃんを持っていた。