二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re:第三十話 ( No.50 )
- 日時: 2013/05/16 21:03
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: どうしてこうなった。
「ゲホッ……う゛ぇ……、……ふぅ、落ち着いたよ。」
「それは良かった。ごめんね? 僕のせいで……、ってそう言えば君の名前は? 僕は霖音、十六夜霖音って言うんだ。」
あの後、この子は思いっきりむせ込んだ。だから僕もちょっと焦った所で馬鹿共が再生したからもう一回凍らせて逃げる。それから、村の真ん中にある広場のベンチに座って今に至る。
つまり僕はこの子の名前を知らない。
「……ない。」
「ふぇ?」
「ないんだよ、僕は捨て子だから……。」
突然の衝撃的発言。え、捨て子ってことは今までどうやって生きてきたのさ。まあ、いじめられてる理由はなんとなく分かったけど。
「えっと、じゃあ何て呼んだら良いの? 僕はリンネって呼んでよ。」
「じゃあリンネ。僕に名前付けて?」
ちょっと待ってこの人何を言っているんだ? 僕のネーミングセンスを試してるの……? 嫌だ怖い自信ないんですけど。
と言うか僕、アルバの情報……てかアルバ助けに来たんだけど。なんでこの子の名前を僕が……。まあ、早くアルバを見つけるためにも決めなきゃ……!
「えぇっと、じゃあ……。ソアラ!」
「ソアラ?」
「うん、意味はないけど、可愛いし良いでしょ?」
「うんっ! それじゃあ話の続きで誘拐について教えるね?」
「やったー!! ありがとう!」
僕はやっとアルバについての情報が集まる、と思った。
「ロドリオ村の外れにある鉄の建物の中に青紫の髪をした黒いコートの人を、目つきの悪い大きな男の人が引っ張っていました。連れて行かれている人は抵抗していたんですけど……。ほら、あそこの森の中です。」
「あぁ、完全にアルバだ……。ありがとう。じゃあ僕、行かなきゃ。」
「その場所に行くの?」
青紫の髪に黒いコート、抵抗する所なんか確実にアルバだ。寧ろそれがアルバじゃなかったら誰だよ……。
「でも、あそこは危険だよ。やめた方が良いと思う……。」
「アルバはもっと危険な目に遭ってるかも知れないんだ! 僕は行く!!」
そう叫んだ。それと同時に周りの人達が皆こっちを向く。老人は相変わらず——否、さっきよりも驚いた顔で僕を見た。
僕はソレを気にしないように全身全霊、全速力で走った。
* * *
「ハァ……、ここかなァ。」
僕は息を切らしながら言われたとおりの鉄でできている廃墟の様な建物の前で呟く。
——いそげ!——
また声が聞こえた。しかもハッキリと。いそげ、じゃあここで合ってるんだよね。
僕は地面を勢いよく蹴った。