二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re:第三十三話 ( No.53 )
- 日時: 2013/05/18 16:32
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: どうしてこうなった。
「お前たちはは逃げないのか?」
「逃げるけど、あなたは?」
僕が聞くと、アルバは頷いた。目つきの悪い大きな男の人はこの人だから凄く殺気立っているのが見て分かる。
「……あの子は、元気か? 私はもう、あの子に嫌われているのか。だから来てくれなかったのだろうな。私はお前のことを愛しているぞ。」
とうとう首領さんは訳の分からないことをぼやき出した。
「と、とりあえず逃げた方が良いんじゃないですか……?」
アルバが敬語で言う。だけど正論。そうだよおじさん、早く逃げようよ。爆発するよ?
「早く逃げないと、巻き込まれるぞ? アイツを頼むぞ。そして——」
そう言いながら首領さんは指をパチンと鳴らした。
「——思い出せ、少女よ————」
最後にそう聞こえた。
何を? そう聞こうとした時には、僕とアルバは建物の外にいた。おそらくさっきの指パッチンとか言うヤツで瞬間移動させられたんだと思う。
「————さん……に……いち……ぜろ。」
不意にアルバがカウントを始めた。そして、ぜろと言った瞬間に建物が爆発した。
——死んだな——
アルバがいるにも拘らずハッキリと聞こえた。いつの間にか取り巻きもどきがどっか行っちゃってるし。
って待て。死んだなってなんだ!? あの目つき悪いおじさん死んだの!? 大丈夫? 大丈夫じゃないよね、うわ、あの子って誰かがまだ分からないのにっ!?
「あ゛ああぁあぁぁあぁ!? ヤバい、消火するぞリンネ!」
「う、うんっ!」
……なんだコイツ。と言うか、相当な氷使わないと火は消えないと思います。まあ頑張れば消えると思うけど。
僕は人を氷結させた時と同じくらいの氷を使っていたら、自分でも驚くほどにすぐ消えた。勿論アルバの力も在ったのかも知れないけど。
後ろからゴトッと言う音が聞こえてきた。振り向くと、消し炭の中にソアラが立っていた。
「そうか、お父さん死んじゃったんだね? じゃあ何しても結果は同じだったの? あの人をリンネが助けれなかったとしてもお父さんは死んでたんだろ? 僕のこと、嫌いだったんだね?」
ソアラはそう言いながら泣いていた。
「アイツ、誰だ?」
「僕にこの場所を教えてくれた人。でも、お父さんってどう言うこと?」
「多分、アイツの親父がさっきの首領もどきだな。」
「……それって、悲しいよね。お父さん、死んじゃったってことでしょ?」
僕はそう言ってからソアラに近づき、
「よく分からないけど、ソアラのお父さんはソアラのことを愛してるって言ってたよ。大丈夫、お父さんとソアラは親子の絆で結ばれてるから。」
と、言った。アイツがソアラなら確かに首領さんは、私はお前を愛しているぞ、って言ってたから。
すると、アルバがめんどくさそうに溜め息を吐きこう言う。
「樹氷魔法学校に行ってみるか? どうせ行く所ないんだろ?」
「よし、リンネと……お前、帰るぞっ!!」
「うん! ソアラ、行こう?」
ソアラは自分のことを「捨て子」と言った。多分、親子で意見がすれ違ってただけじゃないかな。自分の親のことを「目つきの悪い大きな男の人」って言ったのは認めたくなかったとかと思うし。
それに、そう考えることであの建物の中をソアラが知っていた理由も分かるし。
ソアラのお父さんは死んでしまった。でも、ソアラは生きている。お父さんはそれだけで幸せなんじゃないかな、と僕は勝手に思っている。
眠れる森の美女も、もしかしたら「運命の絆」みたいなもので結ばれてたのかもしれないね。
「——うん!!!」
ソアラは僕とアルバに付いてきた。その時、ソアラは今日会ってから、今までで一番嬉しそうに笑っていた。