二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re:番外編 ( No.82 )
- 日時: 2013/06/02 19:52
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 駄作&駄文な僕って……。
——僕が五歳の時、お母さんはもうこの世から去っていた。
「おとーさん! おかーさんはどこ?」
「お母さんは、遠い国にお仕事をしに行ったんだ。」
僕はそう言われて生きてきた。お母さんがこの世にいないことを知らずに……。
事実を知ったのは、九歳の時だった。
偶然、僕はお父さんの埃で塗れた古い日記を見つけてしまった。中身を見て、初めて僕は真実を知った。
——お母さんにはもう、会えない——
僕の中は、悲しさも何もない。カラッポだった。僕が家を飛び出したのは、それから数日後の朝だった。
「——そう言えば、僕ってここに来ることとか全然なかったっけ。」
ここ、ロドリオ村に着いてから大切なことを思い出す。
言葉の通り、僕はここに来ることがほとんどない。お母さんと小さい頃に二回程行っただけだ。
いきなり後ろから僕は口と目を押さえられた。ここからの記憶がない。
「ぅん……。」
目が覚めると、真っ暗な部屋に僕はいた。
ここはどこだろう。
「目が覚めたか。」
低い声が部屋に木霊する。
なんか、ちょっと前に本を読んだ時にこう言うのは誘拐って言うって書いてあった気がする。
じゃあ、逃げないと。でも、僕は悲しい位に運動神経が悪い。しかもここがどこかすら分かんないのにどうやって逃げるんだ?
終わったね、僕。一人になった直後に誘拐されるなんて。
「ひっ、助けてぇーっ!!」
「何事だ?」
いきなり外の方から声が聞こえてきた。直後にトントンと言う音が部屋全体に響く。
いや、僕の台詞じゃないけどみっともなさ過ぎる。
でも、トントンと言う音は鳴り止むどころか大きくなってきている。僕は、誘拐されたこと以上にこの音の激しさに恐怖を覚えた。
「ぐあっ!?」
その声が部屋に響き渡ったと同時に、僕のいる部屋は崩壊した。
目の前にあったのは、僕の住んでいる——住んでいた、廃墟みたいな家。あぁ、さっきのはお父さんに関係する何かだったのかもしれない。
「お父さん。僕はきっと、ここに帰って来ることはないよ。」
僕はそう呟き、粉々になった部屋の所々にある綺麗な赤い薔薇を見た。
「——ありがとう。そして……、さようなら。」
僕は、クスッと笑いながらその場を去った。
——この後、僕は最悪で最高な人生を送ることになる——