二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第十一話:宿り木 ( No.37 )
日時: 2013/05/06 07:26
名前: タク ◆9mCc3lFAO6 (ID: 39RfU1Y2)

「うぉぉぉおお!!!」

 ブチブチブチィッ!!

「ぜえ・・。はぁ・・・!!これで、両足の宿り木をはずせたぜ・・・。」
「くそっ!これならどうだ!!”つるのムチ”!!」

 ツタはつるを発射し、バルキーの腕に巻き付かせる。観客席からは歓声が飛ぶ。

「ふははは!だから・・・!どうした!!」

 ブチブチブチィッ!!

 やはり、引きちぎられてしまった。

「痛ッ!!」
「ツタ!!大丈夫か!!」

 ツタが悲鳴を上げたので、観客席のリンクが思わず声をかける。ツタージャにとって、つるは体の一部。引きちぎられたら一溜まりもないだろう。

「おらぁっ!!これでも食らえ!!」

 バルキーは空中に飛び上がり、連続でキックを繰り出す。ツタは見事にしなやかな体でよけるが・・・。

「うわあ!!」
「よけても無駄無駄無駄ァッ!!」

 バルキーが再び飛びかかる。拳を握りしめ突進する。

「”体当たり”!!」
「ぐっ!!」

 何とか再び新しいつるで受け止めるも、やはり痛い。

「リングの隅に追いつめられる・・・。どうすれば・・・!」
「ふふふ・・・ははは・・・!!ここまで楽しませてくれるとはな!さすがに驚いたぜ。だが、終わりだ!”ねこだまし”!!」

 目の前で手をたたかれ、ビクッとひるんでしまったツタ。しかし、彼女は見逃さなかった。バルキーが殴りかかる際の攻略法を。

「なっ!!」

 彼女は、殴られる直前に、しゃがんでバルキーの打撃をよけたのだ。そして、一気にバルキーの腹へ蹴りを入れる。

「ぐはぁっ!!」

 滑り込むようにリングの中心へ移動し、何とか危機を逃れたツタ。バルキーは倒れ込む・・・・が。

「貴様ァッ!!」
「うぉわあっ!!」

 急に立ち上がったバルキーが、高速で走り込み、殴りつけてきたのだ。寸前でよけるも、恐怖を感じてしまう。

「俺を怒らせた罰だ・・・!!リングの外へ叩き出してやる!!うおおおおー!!」
「”やどりぎのタネ”!!」
「なっ!!その技は効かないぞ!!」

 しかし、ツタが繰り出したのは、一発じゃなかった。

「一発ならね。だけど、三発ならどうだい?」
「三発だと!?なっ!!」

 一発目は片足、二発目はもう片足、三発目は頭の上・・・。

「さっきは、一発で君の動きを封じようとしちゃったからね。でも、三発なら君は動けないはずだ!!」
「うおおおっ・・・!」

 バルキーは抵抗できないまま、どんどん宿り木に埋もれていく。

「さて、もっと体力をいただこうか!!”メガドレイン”!!」

 ツタはバルキーへタネをとばし、そこからバルキーの体力を自分へ吸収させる。

「ぐああああ・・・・!!ふふふ・・・ははは!!こんなモノ、三発でも引きちぎれないと思ったか!!うおおおお・・・!!」

 そう叫ぶと、宿り木をすべて引きちぎってしまった。が、そのときだった。

「そうだね。でも、体力は落ちたんじゃないかな?」
「何ィ!?・・・ぐっ!!」

 バルキーはよろめく。地面に手をつき、息を切らしている。

「がはっ!!どういうことだ・・・。」
「ただでさえ、宿り木から体力を吸収されているのに、僕から”メガドレイン”で体力吸収を貰っているんだ。それなのに、宿り木を引きちぎるのにも体力を使っているだろう。それで体を動かそうなんて、体に無理させすぎだよ。ようするに・・・。」

 ツタがバルキーの懐へ走り込む。

「僕のような♀を甘く見ちゃダメなんだよ。それに、こういう戦い方をする奴もいるってことをね!!」
「何!?貴様は♀なの・・・ガハッ!!」
「勝負アリだね。」

 バルキーは腹を抱えて倒れた。ツタが最後にバルキーの腹へ強烈なキックをお見舞いしたのだ。

「ま、こんなことをするなんて、僕はちょっとSの気があるのかな?」

 倒れたバルキーを見下ろし、ツタは呟いた。リンクを含む観客から、歓声が上がった。しかし、ツタは知らなかった。これが、リンクを焦らせる要因になるなど・・・。



「お見それしましたッ!!今日から姉御と呼ばせて下さい!!一生着いていきます!!」
「・・・・。」

 バルキーはツタに土下座している。完全にツタを認めたようだ。

「ねえ、リンク・・・。どうすれば良いの?」
「ツタ。良いじゃないか!!むしろ羨ましいよ!(たぶん)」
「それじゃあ・・・。良いけど・・・。」
「はっ!ありがとうございます!リンク殿もよろしくお願いします!」
「あ、うん・・・。」

 完全に部下のようになってしまった。

「まあ・・・良いか・・・。」
 
 と、ツタは呟いた。そして、全員、各々の家に帰ることにした。


 
 その晩------------------------------------------。

「くそっ!!」

 ガンッ!!

 空っぽのゴミ箱がからんと転がる。リンクが蹴飛ばしたのだ。

「このままじゃ、ダメなんだ・・・。俺は・・・もっと強くならなきゃダメなんだ・・・!!」

 リンクは歯を食いしばり、虚空をにらんだ。

「もっと・・・!!強くならなきゃ・・・!!」