二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第一話:出会い ( No.4 )
- 日時: 2013/05/01 22:35
- 名前: タク ◆9mCc3lFAO6 (ID: 39RfU1Y2)
この事態は、誰もが予想しなかっただろう。温厚だった国王が自身の部下で村を焼くなど・・・。ブルンゲル王はリンクも何度か合ったことがあり、子供とよく遊んでくれる、優しい王様だった。しかし、あの呪影騎士団とはいったい・・・。
意識の落ちたリンクの頭の中には、そんなことが駆けめぐっていた。あの王様が・・・そんなことを・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数年前、リンクが幼かった頃のこと。
「わーい、わーい、王様だー!」
村の子供達は、ブルンゲル王によってたかっていった。
「ほほほ、元気が良いのう。ほれ、高い高ーい!」
「あははは!!」
ブルンゲル王も、子供達も無邪気にじゃれあっていた。すると、その中に入っていた、リンクがブルンゲル王に駆け寄った。
「王様!俺、もっと大きくなったら、騎士団に入るんだ!そして、黄金の騎士に負けない、騎士団を作るんだ!」
「ほーう、分かった。私もその夢を、応援させてもらうとしようかのう。ほほほほほ!」
「え、ホント!?」
「本当だとも。ほら、この本をあげよう。黄金騎士団伝説の本じゃ。彼らのことがいっぱい書いておる。騎士になるための心構え、そして彼らの勇敢な冒険がいくつもつづられておるのだよ。今のお前さんには難しくても、いづれ読めるようになるだろう。」
そういうと、ブルンゲル王はずっしりと重く、ぶ厚い本をリンクに差し出した。
「国王、それは大事な書物では!?」
家来が心配そうに、王にささやいた。
「心配するな。私には、未来を担う子供達の夢を応援する義務があるのだ。」
「王様!ありがとう!」
「うむ、良いんだ。私には未来を担う君たちを、応援する義務があるんだからね。」
国王はにっこりとほほえんだ。
あの王様が、そんなことをするわけがない。だが、呪影騎士団は王様の命令で来たと言っていた。まず、この周辺に王国はここしか無い。他国の騎士団ではないだろう。ああ、分かった。あいつらの言っていることは全部嘘だ。国王近衛の騎士団を騙る、悪者なんだ。そうだと良いけど。
「・・・・夢か。」
リンクはようやく、目を覚ました。意識こそ半ば覚醒していたが、ふぁ〜と欠伸をする。
「起きろッ!ったく、キミを蔓で運ぶのは大変だったんだからな!」
「!?」
すると、目の前に誰かいる。声は、男か女か、分からないくらいだが。あまり、見ないポケモンではある。
「き、キミは・・・・?」
「僕は、ツタージャ!ったく、君をココまで運ぶのは大変だったんだからな!」
ツタージャは、ふぅとため息をついた。
「む、村のみんなは!?」
「安心しな、みんな避難したよ。にしても、無茶だね。ったく、あんな連中に向かっていくなんて・・・やられたかったわけ?」
その一言で、リンクはイラっときた。
「お前な!自分の村が襲われてるんだ!犯人ぶっ飛ばしに行くのは、当たり前だろうが!」
「君は、身の程を知れ!ったく、そんなのは勇気なんかじゃない、蛮勇だ!」
「うっ・・・。」
ツタージャのもっともな指摘に、リンクは言葉を失う。
「ご、ごめん・・・。」
「まず、今この国を支配しているのは、間違いなく国王と入れ替わった何者かだ。呪影騎士団とか言っていた輩は、その何者かの部下に違いない・・・。」
「な、何でそんなことを!?」
「あくまで、推測だ。でも、今まで優しかった王様が、急に村を焼くなんて、普通考えられない。これで考えられるのは、何者かが、国王と入れ替わった・・・そんなトコ。」
ツタージャの推測は確かに、的を射ている。
「そ、それじゃあ・・・これからどうすれば・・・?」
「そのためには、この森を抜けるしかない。ここは、森の中間地点なんだ。でも、早くココを抜けないと、追っ手が来るかもしれないからね。」
ツタージャは、冷静に推測する。しかし、このツタージャ・・・何者なのだろうか・・・。
「ねえ・・。ツタージャ・・・。君はいったい、何者なの?どこの国の出身なんだい?」
「・・・・分からない・・・・。」
「えっ!?」
ということは、記憶喪失か!?
「僕は、事故で記憶を失った・・・。だから、その手がかりを探すために旅を続けているのさ。」
「そ、そうなんだ・・・。ねえ、俺と付き合ってもらえないかな?騎士団になるって夢を叶えるために!」
「はぁ?何でさ。」
「えー、良いじゃんかよ。・・・・・?何かが近くにいる・・・。」
リンクは、何者かの気配を感じ取った。
「ツタージャ、野生ポケモンだ!野生ポケモンが近くにいる!」
「はあ?何でそんなことが分かるのさ!」
「コリンクの眼力と、嗅覚をなめないでほしいな!」
次の瞬間、草むらから何かが飛び出た。
「や、野生ポケモン・・・!!」
「ありゃ、クルミルだ!!」
シュルルル・・・・!
突然、クルミルは、糸を吐き出し、ツタージャの動きを止めた。
「ツ、ツタージャ!」
「僕にかまうな!奴を倒せ!」
「で、でも・・・。」
「キュルルー!!」
クルミルはいきなり、”はっぱカッター”を放った。葉の刃が、ツタージャに襲いかかる。
「させるかぁぁぁ!!」
とっさに、リンクがツタージャを突き飛ばした。葉っぱがリンクに突き刺さる。
「ぐっ!!」
「コリンク!何で、僕の代わりに・・・!!」
「るっせ・・・!俺はお人好しなんだよ!生憎な!」
そういって、ツタージャにからみついた糸を食い破る。
「これで、動けるだろ!」
「あ、ありがと・・・。」
ツタージャが、立ち上がる。
「キュルルー!!」
シュルルルル・・・・!
今度は、糸がリンクにからみつく。
「リンク!」
「これでっ、良いんだよ!食らえ、”スパーク”!!」
次の瞬間、電気でリンクの体が発光した。つまり、リンクの体には、電流が流れている。つまり・・・・!
「電気が糸を伝って、クルミルは感電する!」
案の定、糸に電気は流れ、クルミルは感電した。しかし、効果今ひとつの所為か、まだ倒れてはいない。
「これでとどめだ!”つるのムチ”!!」
ツタージャから、つるが伸び、クルミルをたたきつけた。
「キュルル・・・ルル・・・。」
ドサッ。
クルミルは、ようやく倒れた。
「ふー、危ね。」
「ったく、とどめを刺したのは僕なんだが。」
「んだとぉー!?」
まあ、なんだかんだで、こいつとは案外良いパートナーになれそうだ。そう思うリンク。
「次からは僕の足を引っ張らないでくれ!」
「んだとぉー!?」
たぶん。