二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第十九話:激昂 ( No.70 )
- 日時: 2013/05/23 20:46
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 39RfU1Y2)
「リ、リーダー!」
「リ、リーダー!?ってうわあ!!あれはっ・・・サザンドラ!?」
ニューラ達の介抱をしていたキモリは、思わず叫んだ。そこには、凶暴ポケモン・サザンドラが空中に浮かんでいた。
「ま、まずいぞ!あんなのが助太刀に入ったら・・・・!!」
恐らく、このサザンドラが血盟騎士団のリーダーだろう。その迫力に全員がたじつく。だが、次の瞬間サザンドラはとんでもないことを言い出す。
「任務飽きた。もう帰る。」
「「「「「は?」」」」」
その場にいた全員がそう言った。
「しまった・・・リーダーは飽き性だった・・・。」
「何それ!?」
リンクが突っ込んだ。
「了解。総員退却でしょう。」
アブソルはため息をついてそう呟いた。
「今回の所は見逃してやりましょう、黄雷騎士団。ですが、次に我々を邪魔するならば、その時は例え同じギルドの騎士団といえど、全力で叩き潰すでしょう!!」
そう言うと、アブソルは高く飛び上がって、サザンドラの背中に乗った。
「他の連中は?」
サザンドラがアブソルに問いかけた。他の連中とは恐らく、ニューラ達のことだろう。
「ふん、負け犬共を連れて帰る程、私は甘くないでしょう。」
「ならば、負け犬はせめてあの世に逝かせてやるのが礼儀ってもんだよなぁ・・・?」
サザンドラがにやりと笑った。次の瞬間、気絶しているニューラ達に向かって、口を開いた。あの体制は・・・!
「は、”破壊光線”だ!!サザンドラのヤツ、倒れた味方にアレをぶっ放すつもりだ!!」
ツタが叫ぶとともに、サザンドラの口から、”破壊光線”が発射された。辺りは熱線によって焼き尽くされる。そして、煙が巻き起こった。
「ふふふ・・・やったか・・・!!」
勝ち誇ったようにサザンドラが呟いた。そして、サザンドラはアブソルを背中に乗せたまま、帰って行った。
「あ、あぶねー・・・。」
運良く、ニューラ達は、近くにいたインビジブル騎士団が、射程班員の外までギリギリ連れ出していた。キモリがデルビルを引っ張り、タカシはレパルダスを背負い、ムウマは念力でニューラを浮かせていた。それを見た黄雷騎士団はほっとしてため息をついた。
「しかし、酷いことをする連中だな・・・。味方を切り捨てるなんて・・・。」
「絶対に許せない・・・!!」
リンクがそう呟いた。ツタも表には出していなかったが、怒りを覚えていた。
「我等の代わりなど、いくらでも居る・・・・。」
「ニューラ!」
ニューラは、呻くように続けた。
「弱い輩は切り捨てられる・・・!それが血盟騎士団の掟・・・!」
「そ、そんなの・・・・!あんまりすぎるよ・・・・!」
「とにかく、君達はギルドに連れて帰る。良いな?」
ようやく復活したリンクがニューラに言った。それを聞いたニューラはかぎ爪をぎらつかせた。
「ふざけるなッ!!ここで死のうが我等の勝手だ!!好きにさせろ!」
そう言って、リンクに飛びかかる。が、胸の傷を抑えて、腕を地面に着く。
「くっ・・・・!!何故だ・・・!!何故、私たちは弱いんだ・・・!ニューラ如きがとバカにされながら、あんなに血のにじむような訓練をして、ようやく・・・・。ようやく得たエリート精鋭の座を・・・・!!」
ニューラの瞳から、涙があふれ出る。リンクが返す。
「バカ言うな!君達は充分、強かったじゃないか!」
「うるさいっ!!新参者の分際で、分かった気になるなぁー!!」
「うわぁっ!!こいつ・・・何をすんだよ!!」
体に無理をさせているのか、力を振り絞って、キモリを跳ね飛ばし、ニューラはリンクへ飛びかかる。
「そうか・・・。なら、その悲しみの感情、全て俺が受け止めてやる!」
「何ッ!?やれるもんなら、やってみろ!!”ブレイククロー”!!」
ニューラのツメから衝撃波が撃ち出される。しかし、リンクは衝撃波を避け、頭でニューラのツメを受け止めた。ツメが食い込み、血が流れる。
「カハッ・・・・!!このくらい・・・・!!君達の心の痛みに比べたら・・・!!君はすごいよニューラ・・・。あんなに強い奴らの中で、頑張ってたんだ・・・・。分かる・・・俺も昔、弱くて虐められてた頃があったから・・・!」
「うるさいっ!!貴様にッ!!何が分かる!!」
ニューラは再び距離を取ってから、走り始める。
「リンク殿!!今、ヤツを止めます!!」
バルがニューラを止めようと、駆けていく。
「くるなッ!!君の出る幕じゃない!!」
「そ、そう言われましても・・・・!」
「うおおおおー!!!」
ニューラは、リンクの顔面めがけて、ツメを振り下ろした。
「リ、リンク殿ォー!!」
ザシュッ!!
再び鋭い音が響いた。リンクは顔面に切り傷を負う。
「自分の努力を否定されて・・・。悔しかったんだね・・・。」
「うるさい!!戦え・・・!!さもなければ、次は本気で貴様を八つ裂きにしてくれるぞ!!」
しかし、リンクはその場を離れようとはしなかった。
「なあ、俺さ。昔、虐められてたんだ。だから、そいつらに負けないように強くなろうって決めたんだ。だけど、なかなか満足に強くはなれなかった。でもさ、気付いたんだ。自分をバカにするヤツなんか気にしなくて良いんだって。自分のペースで一歩ずつ歩んでいけば良いんだよ。」
「っ・・・・!」
今の言葉に胸を強く打たれたのか、ニューラはうなだれたように座り込んだ。瞳からは大粒の涙がこぼれ出ていた。
「さて、行くか。」
「いや、本当に今日はありがとう、インビジブル騎士団のみんな。」
立ち去ろうとするキモリ達に、リンクがお礼を言った。
「礼なんざいらねーよ。俺達はただ暇つぶしがしたかっただけだ。」
「もう!キモリさん!真面目にやって下さいよね!」
「キモリ様のそういう気ままなところ、私は好きよ。」
「アンタもかい!!」
そのやりとりを聞いて、どっと、みんな笑った。
騎士団ギルド。一旦、体制を整え直すため、リンク達はリンクの家の前に立っていた。もう、ニューラ達3匹も、回復していた。
「黄雷騎士団・・・・。世話になったな。」
デルビルが進み出る。もう彼の目に敵意はなかった。
「ま、いきなり襲い掛かってきたアンタらには腹が立ったけど。どのみちピンチのポケモンは見捨てられないのが、俺達さ。」
「血盟騎士団は資金をかき集め、”ある新型兵器”を手入れようとしている。」
デルビルが険しそうな顔で言った。
「そのために、他の騎士団の邪魔を・・・。」
「だが、血盟騎士団を脱退した我等には、もう関係ないことだ。そもそも、その新兵器がなんなのか、我々も分かりかねるのだ。」
「そ、そっか・・・。」
「さて、我々も長居するつもりはない。行くぞ、レパルダス。ニューラ。」
「ええ。」
「・・・・。」
そして、3匹は去っていった。その姿を、リンク達はずっと見守っていた。
「さて、俺達も一度。体勢を立て直しましょう、リンク殿。」
「ああ。」
深夜。ギルド基地内部。
「ヴァル。お前の言うことはゴホッ!真かな?」
「ああ。呪影騎士団は、今回、要石の谷へ進行している模様だ。」
「要石の谷?となると、あのポケモンが目的か?ゴホッ!」
「ダイケンキ。貴方の言うとおり、呪影騎士団の目的は、古文書のポケモンが関係していると見られる。だが、奴らもまだ、進撃の準備の最中らしい。」
「分かった。それでは、ゴホッ!複数の騎士団・・・。4隊ほどで行動することになゴホッ!その中に、七星騎士団ゴホッ!も入れゴホッ!おこう。」
「感謝する。」
所々咳で聞き取れなかったが、ヴァルは頭を深々と下げた。
深まるばかりの謎、呪影騎士団の新たな野望。全てが明らかになるのは、まだ先だ。