二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ドラゴンクエスト8-光を求める者 ( No.116 )
日時: 2013/09/04 22:57
名前: 朝霧 (ID: vcreLc9n)  

むわっとした熱気に混じり、思わず鼻を塞ぎたくなるような獣の臭いがし、エルニアは吐き気を覚えました。
顔を上げると、鉄格子の向こうにでかい魔物がいました。ぱっと見は、太った巨人です。しかし、その耳は長く、口は顔の半分程はありました。手足は丸太のように太く、その手には棍棒が握られています。所謂、トロルキングと言う魔物ですが様子が違います。耳には赤い花をつけ、服も赤いワンピースのようなものです。しかも胸に膨らみが。見た目から察するにメスのようですね。

「ふっふ〜ん♪」

トロルキングは鼻歌を交えながら、じっくりとエルニアを眺めます。
エルニアは身構えますが、身体を異様な悪寒が襲います。それはトロルキングの視線でした。まるでなめるようにじっくりと見つめてくる視線は気持ち悪さしかありません。
トロルキングは顔を赤く染めながら、だらしなく舌を出します。紫の身体が赤くなると不気味です。

「まァ! このトロリーナの好みにピッタリだワ!」
きゃ、と頬を染めもじもじする姿はメスらしいと言えばそうですが、やはりきもち以下略。
エルニアは訳が分からず混乱していると、トロルキング——トロリーナから、衝撃的な発言が!

「やっとお目覚めね、マイダーリン」

は、とエルニアは耳を疑います。今、こいつはマイダーリンと言わなかったか? でも気のせいだよね、とエルニアは無視します。

「君は誰だ」

警戒心を露にした声でエルニアが尋ねると、トロリーナはうふふと楽しそうに笑いました。

「そうね自己紹介がまだだったわネ。あたしはトロリーナ。あんたの妻ヨ」

エルニアは絶句します。
こんな気持ち悪い魔物と結婚した覚えはありません。
「ふざけるな。僕はお前と結婚した覚えなんかない」「あたしが夫と決めた時点で、あたしたちは夫婦なのヨ」

素晴らしきジャイアニズムです。お前のものは俺のもの。

「それはお前の身勝手だ」
エルニアが反論すると、トロリーナは不気味な笑みを浮かべました。

「ふふ、それがねあんたの意思なんか関係なしに出来てしまうのよ」

え、と呟いた時、エルニアは甘ったるい匂いを感じました。そして、意識が闇の底に沈んでいきました。

*
エルニアがそんなことになっている頃、シャウラたちは控え室で雑談してました。そこにセシルが戻ってきます。

「……どうにもおかしい」
セシルが難しい顔で言って、エイトが首を傾げます。
「どうしたの、セシル」
「あれほどいたはずのモンスターたちが、どこにも見当たらないのだ」

そういえば、大会前までいたはずの大量の魔物たちはどこにもいません。この闘技場はさほど広くはなく、どこにもいないと言うのは確かにおかしいです。

「みんな、トイレにでも行ったのかな?」
「……やはりバンダナはバンダナだな」

エイトが呑気にそんなことを言って、セシルが呆れたように悪態をつきます。が、エイトは意味が分からないらしく、首を傾げるだけです。

「ちょっと調べた方がいいんじゃない? そもそも、人間が景品なんて怪しすぎるしね」

サラの言葉に皆は頷きます。そして、外に出て調べることにしました。

〜つづく〜