二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエスト8-光を求める者 ( No.119 )
- 日時: 2013/09/05 23:37
- 名前: 朝霧 ◆CD1Pckq.U2 (ID: FHdUl2HC)
「……ここが地下の入口か」
そう言って、エイトは前を見つめます。控え室から離れたところに、地下に続く入口がぽっかりと口を開けています。階段の類いはなく、下は闇に覆われています。地下からは冷たい風が吹き上げ、獣の咆哮に似た音を運んできます。オデットが言っていた、トロルクイーンの鳴き声でしょうか。ひどく不気味です。
「さあ、エルニアさんを取り戻そうよ」
サラが言って、全員頷きます。
ここまで来たら、エルニアを取り戻すのが全員の目的です。それに、ここには頼もしい仲間たちがいるのですから、恐れる理由などありません。
シャウラたちは迷いもせずに、入口に飛び込みました。そして、すぐに足が地面に着きました。周りは暗闇です。黒一色の世界。その中に。やつはいました。エルニアを大事そうに両腕で抱き締め、彼の頬に顔を近付けていました。しかし、シャウラたちに気が付いた瞬間、鬼のような怖い形相で振り返ります。
「んマ! この神聖な結婚式を犯すのは誰かしラ!?」
トロリーナに怯まず、シャウラとサラはとりあえず和平交渉を試みます。
「エルニアを——貴方が抱いている男を解放しなさい。そうすれば、余計な危害は加えません」
「大人しく、エルニアさんを返した方がいいよ。一対四なんて勝ち目ないもの」
ですが、トロリーナは鼻で笑います。
「あたしはダーリンが好きヨ。解放なんてお断りだワ♪」
「やるしかないか」
セシルは身を低くし、皆は武器を構えます。作戦はガンガンいこうぜ、ですね。
「んふふ、なら結婚式をぶち壊してくれたお礼をたっぷりしないとね!」
そう言った刹那、巨大な炎の玉、メラゾーマが襲いかかってきました。サラがマヒャドを撃ち、相殺しました。炎と氷がぶつかって生まれた白い煙が晴れると、トロリーナの前に、さらにトロリーナが二匹現れていました。
「トロリーナが増えてる!?」
一同がびっくりすると、二匹は聞いてもいないのに自己紹介を始めます。
「あたいたちは、トロル三姉妹だぜ。あたいは次女のトロルーナだいっ!」
「わたくしは三女のトロレーナですの!」
しゃべり方以外違いはないので三つ子のようです。
トロルーナとトロレーナがシャウラたちの相手をしている内に、トロリーナはエルニアに顔を、正確には自分の唇を近付けます。どうやらキスするつもりらしいです。でも、キスしようとしているのはエルニアの右腕。なぜに。
「んふ、ダーリン。私と結婚しましょウ」
「マヒャド!」
いつもは冷静なはずのシャウラが、怒りの声と共にマヒャドをトロリーナに放ちます。
しかし、それはトロリーナに届く前にシャウラたちの前に返ってきました。氷の刃が容赦なく降り注ぎます。エイトたちはすんでのところで交わし、怪我はしませんでした。
「あの二姉妹も厄介だが、エルニア救出を優勢しろ!トロリーナにキスされたら、生気をあっという間に吸われる!」
セシルの号令に、シャウラは顔をしかめます。エルニアを助けたいのはやまやまですが、トロルーナとトロレーナがいる以上、簡単に近づけません。しかも連中は魔法を唱えてきます。遠くにいても危ないぜよ!
今度はメラゾーマが飛んできて、なんとか逃げ切りました。
「んちゅー……」
その隙にトロリーナがエルニアにキスしようとします。トロリーナが唇がセンチメートル単位でエルニアに近付けます。
まずいと思ったその時、シャウラは足下であたふたするトーポ(エルニアのやつ)を発見しました。それがトーポの不幸の始まりでした。
〜つづく〜