二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエスト8-光を求める者 ( No.125 )
- 日時: 2013/09/07 23:19
- 名前: 朝霧 ◆CD1Pckq.U2 (ID: oompVg8u)
「ニフラム!」
ところが相手もバカではありません。マホカンタがかかっているだろうトロルーナは、なんとイオナズンの詠唱!サラがマホトーンを唱えますが、効果はありません。
「トロルクイーンにマホトーンやザラキの類いはきかないぞ!」
普通のトロルを爪で切り裂きながら、セシルが叫びます。
トロレーナが勝ち誇ったように笑いました。
「おほほ! マホカンタの役割はわたくしですのよ!」
「消えろ! イオナズン!」
呪文がまた飛んできて、シャウラとサラは少し吹き飛ばされました。シャウラがマジックバリアを唱えたので威力は下がっています。そして、暴れ疲れたのか動きが鈍ってきたエルニアにまたトロリーナが口づけを迫ります。
「ダーリン、あたしと結婚してぇん」
「嫌だ!絶対に嫌だ!」
エルニアの悲痛な叫びがこちらに伝わってきます。
エイトやセシルも、普通のトロルが邪魔でエルニアには近付けないようです。
シャウラもトロルクイーン姉妹が邪魔で進めません。急がないと、と呟くとシャウラは一気に勝負することにしました。
「サラ、一気に決めるわよ」
するとサラは自分の手をシャウラに差し出してきました。
「シャウラ、私たちの魔力を合わせましょ」
シャウラは頷き、サラと手を組みました。軽く握ると、ぎゅっとサラは握り返してきました。二人の身体が触れ合うことで、二人の魔力を合わせ、呪文を強化する魂胆のようです。
お得意の反射でメラゾーマが飛んで来る中、二人は呪文を唱えて立ち向かいます。
「炎の精霊よ、我が怒りの力を解き放ち、全てを焼き尽くせ。メラゾーマ!」
「水の精霊よ、その眼で全てを氷に閉ざせ。マヒャド!」
その瞬間、メラゾーマとマヒャドが混ざりあい、とても強力な魔法へと姿を変えました。トロルーナ、トロレーナはマホカンタを唱えますが、魔法は跳ね返りません。むしろ、マホカンタにぴしぴしとヒビが入り、とうとう割れました。
トロルーナとトロレーナ、エキストラの普通のトロルが炎と氷に飲まれ、青い光となって消えます。
「やったわ!」
「ありがとう、サラ」
「えへへ」
お礼を言い合う二人ですが、サラはシャウラの背中を押します。
「さあ、私が援護するから」
「おっと、僕を忘れて貰ったら困るな」
エイトも来ました。
どうやら援護をするから、エルニアを取り戻してこいと言うことらしいです。
シャウラは二人に援護を頼み、セシルと共に正面から突っ込みました。エルニアが人質にとられているため、魔法が使えないのです。
「ダーリンは私のものよン!」
トロリーナは片手でエルニアを掴んだまま、棍棒をぶんぶん振り回します。
ですが、トロルの巨体さ故に動きがとっても鈍いです。その隙を狙ったエイトが間合いへと突っ込みました。
「それ、しっぷうづき!」
エイトは槍でトロリーナを凪ぎ払います。トロリーナはバランスを崩しました。と、そこへ立て続けにサラが躍り出ます。
「はやぶさぎりっ!」
素早い二回攻撃で、トロリーナの肩を裂きます。服が破れました。
「きゃああ!」
痛みのあまり、エルニアを放り投げます。
「うわ!」
放り出されたエルニアですが、ちょうどセシルがそこに回り込み、エルニアはセシルの背中に頭からダイブ。しかし上手いことセシルがクッションになり、怪我はせずにすんだようです。ちなみにその際、セシルがトーポをぶっ飛ばました。哀れ、トーポよ。
「セシル、ありがとう。助かったよ」
「この礼は、しもふりにくですませてもらうぞ」
いつもなら言い返すエルニアですが、今日ばかりは無理です。
だが、平和な時間はトロリーナの一言で終わりを告げます。
「よくも……よくも私の妹たちを、よくも私のダーリンを……」
トロリーナ復活。
顔を真っ赤に染めながら、棍棒を振り上げて襲いかかってきました。
「貴様らぁ! 許さないわよン!」
ですが、皆さん冷静。
「やるよ、サラ、シャウラ、エルニア!」
エイトの掛け声にエルニア以外がお返事します。
「オッケー!」
「あれ、トーポは何処行ったの?」
シャウラがぶん投げたトーポは部屋の片隅で、気絶中。
「エルニア、最後はあなたがびしっと決めて」
「へ?」
訳の分からないエルニアですが、なんか思い付いたみたいです。みんなに手を重ねて、と言いました。
エルニアの手の上にみんなの手が(一匹は前足です)重ねられ、エルニアは、みんなは呪文を唱えます。
「ミナデイン!」
その瞬間、空間に轟く稲妻。みんなの思いを乗せたミナデインは、トロリーナに直撃します。ぎゃあ、とトロリーナが悲鳴を上げながら消えていきます。
ようやく終わった、と思う最中。今度は空間に不思議な渦が。
「空間が崩れてる!?」
「……残念だが、お別れの時間のらしいな」
セシルが何か悟ったようです。
「どういうこと?」
シャウラが顔をしかめながら、聞きます。
「時空が乱れている。混ざりあっていた時間が分離して、元のようにバラバラになろうとしているのさ」
「そんな! もうお別れなの!? 私、もっとシャウラやエルニアと話したいよ!」
サラが言って、シャウラも叫びます。
「私ももっと、みんなと話したいわ。まだ友達になったばかりなのに」
時間は残酷です。
みなの姿がどんどん薄くなっていきます。
そのなかでシャウラとサラは、笑顔でした。世界は決して交わりませんが、今回のような奇跡はまたあるかもしれません。それを信じて。
「シャウラ、また会いましょう!」
「ええ、またねサラ!」
その瞬間、世界は崩壊した。
〜つづく〜