二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエスト8-光を求める者 ( No.126 )
- 日時: 2013/09/08 00:10
- 名前: 朝霧 (ID: cASJvb5A)
エピローグ
シャウラは羊皮紙を丸めると、小瓶の中に入れました。そしてしっかりと蓋をしめると、目の前を見やります。
ポルトリンクから外れた、小さな海岸。目の前には青い海が広がり、キラキラと輝いています。時折吹く潮風がシャウラとエルニアの髪を揺らします。
「後はこれを海に流して……」
シャウラは慎重に砂浜を降り、靴が濡れない程度に波打ち際ギリギリまで近付きます。
前屈みになり、小瓶を波打ち際に置き、砂浜へと戻りました。
小瓶は波にさらわれ、ぷかぷかと海を漂います。時折陽光を反射し、キラリと輝く光はシャウラからどんどん遠ざかっていきます。
シャウラはエルニアの横に並び、小瓶を見つめます。見つめる、と言っても小瓶はもう見えません。小瓶が消えた、水平線の方角をじっと見つめているだけです。
「届くかな?」
エルニアが言って、シャウラは薄い笑みを浮かべます。
「さあ。神のみぞ知るってやつよ」
ふふ、と笑いあいながら、エルニアとシャウラは海に背中を向けます。ふと前を見ると岩場の向こうで仲間たちが手を振っています。
「いこ」
「うん」
エルニアとシャウラは仲間に手をふりかえすと、仲間の元にかけていきました。
*
一方のエイトとサラもまた、日常の生活に戻っていました。
元の世界に戻ってすぐ仲間たちにこの話をしましたが、夢だろうと笑われました。トロデーンにエルニアと言う近衛兵はいないし、マスターライラスに娘はいない。話すキラーパンサーもいない。使い魔なんていない。そう仲間たちが話すたび、シャウラたちとの冒険は夢だったのではないかと思えてきました。そう、この日までは。
たまたま海辺を散歩していたサラとエイトは小瓶のようなものを見つけました。蓋の部分には、サラ、エイトへと書かれた紙が張られています。
「え、私の名前が書いてある!?」
「サラ、開けてみてよ」
蓋を開けると、中には羊皮紙が入っていました。それを広げて、サラとエイトは丸くしました。そして、時々笑ったり泣いたりしながらその羊皮紙を読みました。
「やっぱり、夢じゃなかったのね」
サラは顔を上げると、エイトに笑いかけます。
そして二人は揃って、海になにかを言います。
「————」
「————」
波の音にかきけされ、その声は聞くことが出来ませんでした。
さあ行こう、とエイトが言うとサラは頷きます。
海に背を向け、仲間たちのところへ帰っていきます。
〜おわり〜