二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ドラゴンクエスト8-光を求める者 ( No.215 )
日時: 2013/11/13 14:11
名前: あさぎり (ID: 9kyB.qC3)

 それを聞いた魔物は、シャウラを見上げる。

「うむ、シャウラよ。実は頼みがあるのじゃ」
「頼み、ですか?」

 シャウラが聞くと、魔物は心配そうな顔になる。

「エルニアとヤンガスを探してきてくれんかの? 朝早くにはあの洞窟の中に入ったが、まだ戻ってこなくてのう」
「ここは、迷うような洞窟ではないと聞きましたが……」

 商人曰く、滝の洞窟内部は一本道なので迷わない。それにさほど深くないので、腕試しにはいいとシャウラは聞いていた。
 空を見れば、太陽は高い位置にある。朝早くに入ったにしては、時間がかかり過ぎているような気がした。怪我、迷うと言った単語がシャウラの頭をよぎる。

「なら、ますます心配じゃ。わしも心配して、入口までは行ったが、魔物が邪魔をしおって、先に進めん。すまんが、水晶探しのついでに探してはくれんか?」

 その話でシャウラは、魔物がかなり弱いであろうことを悟った。こうしてシャウラに話しかける辺り、無害な魔物のように思える。見た目は怖いが、悪い魔物ではないようだ。

「分かりました。水晶探しのついでに、お二人を探してきましょう」
「おお、そうか!すまんが、頼んだぞ」

 シャウラは頷き、洞窟の入口に向かって歩を進めようとすると、魔物に呼び止められた。

「待て、シャウラよ」
「まだ何か?」

 立ち止まって振り返ると、魔物は不思議そうな顔付きで首を傾げた。

「お前は落ち着いておるが、わしが怖くないのかの?」
「怖くはありませんよ」

 当然そうな顔付きで言うと、魔物は感心したように、

「お前は変わった娘さんじゃのお……」
「では、行ってきますね」

 もしかしたらエルニアさんやヤンガスさんが怪我をしているのかも、と思うとシャウラはいてもたってもいられなかった。
 魔物の質問に答えると、すぐに前を向き、歩き始める。
 すると、魔物は遠ざかるシャウラの背に大きな声で呼び掛けた。

「うむ、頼んだぞ、我が家臣よ!」
「か、家臣って……」

 その言葉にシャウラは唖然としたが、気にせず進む。短い橋を渡り、洞窟の入口をくぐった。

〜つづく〜