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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ドラゴンクエスト8-光を求める者 ( No.90 )
- 日時: 2013/08/25 00:47
- 名前: 朝霧 ◆CD1Pckq.U2 (ID: ueXHoJNS)
〜とある異世界の冒険談〜
その日、シャウラとセシルは例によって夢の中で、白竜オデットの姿を見ていた。
ただ、この日に限ってオデットは落ち着いていなかった。琥珀色の瞳は不安そうに揺れ、腕と一体化した翼を忙しなく羽ばたかせている。シャウラとセシルの名を呼びながら、しきりに辺りを見回していた。目の前にいるにも関わらず、気が付かない程の慌てぶりのようだ。
何に焦っているのか分からないが、シャウラは腹の底から声を出して、オデットに話しかけた。
「オデットさん、どうなさったんですか?」
呼びかけられてようやく気が付いたのだろう、オデットはようやくシャウラの方を見た。そして、必死な形相で、
「あなた方のお仲間のエルニアが誰かに捕まったみたいなの!」
シャウラはそれが己の耳の間違いであると思った。
「オデットさん、エルニアが捕まったんですか?」
冗談だと思い、シャウラは他人事のように聞き返す。すると、オデットは真面目に頷きシャウラは思わず目を丸くする。シャウラはこのドラゴンと付き合いは短いが、冗談や嘘を好まない性格であることは分かっていた。そのオデットがエルニアが浚われた、なんて嘘をつく可能性はまずない。だが、納得できないらしいセシルが反論する。
「バカを言え。バンダナはあれでも近衛兵だ。そうやすやすと捕まるものか、ん?」
セシルの耳がぴく、と動き辺りの輪郭がぼやけはじめた。夢の世界が終わろうとしている。オデットの姿がゆっくり透明になる。
その中で、二人はオデットの囁きを聞いた。
——剣が交わりし時、奇跡は必ず起きるでしょう。
〜つづく〜
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