二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第5話 ガボの迷い ( No.8 )
日時: 2013/08/05 22:12
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

「はぁはぁ。」

 走り続ける。町の外まで!

「アルス・・・もう・・・いいんじゃない・・・・?」
「はぁはぁ・・・そ・・・そうだね・・・。」

 町から20メートルほど離れ、木の陰に隠れる。

「どうして・・・僕たちを・・・」
「人間だから・・・じゃない?」
「・・・・」
「ガボ?どうした?」

 ずっと下を向いて黙っている。ガボをのせている狼も心配そうにガボを見ている。

「・・・アルス・・・。オイラ・・・。」
「人間が嫌いになった?」

 首を振る。けど人間には自分しか見えてない人が命をやすく見ているひともいる。ガボが人間として生きていく限り知っておかなくちゃいけない。

「オイラ・・・アルスやマリベルや人間が好きだ。・・・でも、命を軽く見ているやつは好きになれない。」
「僕もだよ。」
「あたしだって。そんな奴には一度命懸けのことをやってもらいたいわよ。」

 それでもうつむく。少し・・・時間が必要かな・・・。

「ガボ・・・ここさ、僕たちがであったオルフィーの町の森に似ているんだ。ここで考えてみて。」
「これからあたしたちと旅を続けるなら、心が汚い人間を見ることもあるわ。」
「どうする?ガボ・・・?」
「アルスたちはオイラがいなくなっても平気なのか!?オイラは居ても居なくても一緒なのか!?」

 ガボの瞳から涙が落ちる。初めて見たガボの涙。心が痛む。・・・けど。

「さみしいよ。ガボが居るのと居ないのでは差が大きい。けど・・・」
「あたしだって。仲間と別れるのはバカ王子だけでも・・・今もさみしいわよ。でも・・・」
「「大切な仲間には自分が信じた道をいってほしい。」」

 声が重なった。ずっと素直じゃなかったマリベルが、今素直になった。ガボを・・・仲間を想う気持ちは一緒だ。キーファもガボも。魔王を倒してから会っていないメルビンも、エスタード城にいるアイラも。

「アルス・・・マリベル・・・。」

 今でもキーファを思い出す。キーファとの思い出がたくさんあった。キーファとはもう会えないけど、僕たちの心にはいつでも彼がいる。
 ガボも同じ。たとえここに残ったとしても、思い出は無限にある。

「ガボ・・・自分の心に素直に答えてみて。」

Re: 第6話 少女 ( No.9 )
日時: 2014/01/16 22:10
名前: らくじょう (ID: zPsmKR8O)

「アルス。こんなとこに食料なんてあるの?」
「わかんないよ。だから探すんでしょ?」
「何でケロッとしてんの?」
「ガボ・・・。心配じゃないの?」
「そりゃ・・・心配だよ。でも・・。」

 ついさっきガボを1人森に置いてきた。ゆっくり考えさせるため。僕たちがそばにいたらきっと・・・・。

「っ?マリベル、なんか言った?」
「何も言ってないわよ。」
「え。でも今声が・・・。」
「声?」

 目を閉じ耳をすませる。風の音。草木の揺れる音。その中に・・・聞こえる、微かな・・・・声。

「あっちだ。」
「ちょっと!アルス!?置いてかないでよ!!」

 危険を知らせるような声。ううん。あれはうめき声!?助けを求めている。誰かに助けを!!
 マリベルが慌ててついてくるがそんなことに見向きもしないで駆ける。

「ここだ。」

 そこは滝。とても澄んでいるきれいな滝。

「・・・すけ・・・。た・・・すけ・・・・て・・・・。」
「聞こえた。この近く。」

 どこだ!?あたりを見回す。周りの木には異常なし。滝で一番危ないのは足場が崩れて落ちること。
 滝の下。崖を見る。

「見つけた!!」

 一人の少女が崖にぶら下がっている。あの場ではすぐにでも崩れてしまう。

「風の精霊シルフ。姿を現したまえ。」

 以前風の精霊からもらった風のアミュレットを掲げる。
 声が聞こえる。

———アルス。そこにはあたしは行けない。何か強い力がはたらいている。だから、あたしは助けることができない。でも、あんたならできる。自分の中の風の力を信じるの。

「風の精霊シルフに認められし我に眠る風の力。今、力を開放するとき。その風で彼女を救え!バギクロス。」

 通常バギクロスは攻撃の呪文。でも以前あるものに教えられた。力を信じれば、攻撃呪文だって人を救う盾となる。
 自分を信じるんだ。
 巨大な竜巻が少女の下で回転する。その風で彼女の体は宙を飛び、草の元まで運ばれる。

「くっ!!集中して魔力を使いすぎた!?いや、ずっと呪文を使っていなかったからか。」

 ふらつきながらも倒れている少女のもとへ。

Re:第7話 痣 ( No.10 )
日時: 2013/08/31 23:32
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

SIDE:???

『なぜ、私の言うことがきけないの!?』
『お前は何のために存在していると思っているんだ!?』
『ごめんなさい・・・。でも・・・でも・・・私は・・・・』

 怖い。怖い。何で私がこんな思いをしなくてはならないの?
 誰か・・助けて・・・・。

 ポツン。

 こぼれた涙が光り出す。暗かった先には青い光。あれは・・・水の精霊の・・・?

 2匹の竜。槍を挟んでいる。









「ん・・うぅ・・・ここは・・・。」

 目が覚めたのは見知らぬところ。洞窟の中・・・。

「あっ君。目が覚めた?」
「あ・・・・ある・・・す・・・・。」
「何で・・・僕のなま「アルス———!!」

 会えた。会えた。久しぶりに・・・アルスに・・・。

「ちょっと待って!誰かと勘違いしてない!?」
「勘違い・・・?いいえ。あなたはアルス。」
「確かに僕はアルスだ。でも、君に会ったのは今が初めてだよ。」
「違う。違う。あなたはアルス。アルス・フール・クロー。」

 間違えるはずがない。この魔力。この感じ。
 腕が・・・うずく・・・。

「どうしたの!?」
「共鳴している。アルスの紋章と、私の紋章が。」

 腕をまくる。そこに描かれていたのは形は違うものの同じ色、同じ力を発している痣。

「これは!?」
「時が動き出した。止まっていた120年の時が・・・。」

Re: 第8話 少女の言葉 ( No.11 )
日時: 2013/09/01 01:05
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

SIDE:アルス
「時が動き出した。止まっていた120年の時が・・・。」

 120年の・・・・時・・・・。

「やっぱり人違いだよ。」
「そんなことないわ。絶対に。私はアルスの幼なじみだもの!!」
「でも・・・」
「うぅっ!!」

 少女が頭を抱えた。とても痛そうに。

「どうしたの!?大丈夫!?」
「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!わ・・・我が・・・・復活する・・・・とき・・・が・・・ついに・・・・。2りが・・・・そろ・・・え・・・ば・・・・我の・・・・復活・・・・だ・・・・・。」
「えっ!?復活!?何が!?ねぇ!!ねぇ!!」

 少女は倒れ、返事をしない。意識を失った感じだ。どうしよう。マリベルは走っているときにはぐれたし、外は雨で出れないし・・・・。

「ここで看病するしかないか・・・。」

 鞄からタオルを1枚取り出し、雨で濡らす。それを眠る少女の額にのせる。
 顔が真っ青だ。さっきから、どんどん青くなっているような・・・。

Re: 第9話 託された天命 ( No.12 )
日時: 2013/09/04 16:30
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

SIDE:???

『フィーナ!!』
『?アルス!!』
『『久しぶり〜!!』』

 今までのは夢だったのかな・・・。どうでもいい。今、こうしてアルスと触れ合えているから。

『アルス!フィーナ!』
『『ベルボさん。』』
『こっちにきてくれ。お前たちに会いたいってやつが来てるんだ』

・・・・・・ドクンっ・・・・・・

『わかりました。今行きます。』
『ほら、フィーナも早く行ってくれよ。』
『・・・や・・・だ・・。いや・・・いや!!!』
『フィーナ!?どうしたの!!??』
『ダメよ。アルス!!その人の言うことを信じてはいけない。』

 そうだ。思い出した。ベルボさんは・・・ベルボさんは・・・・!!

『何を言ってるの?』
『そうだよ。フィーナ。何でおれの言うことは聞いちゃいけないんだ?』
『だって・・・あなたは・・・本物じゃないから!!』
『フィーナ!?』
『!?アルス!!後ろ!!!』

 ベルボは短剣をアルスに振り下ろす。

『ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
『フィーナ!!』

 二の腕が斬られる。骨まではいってないものの、出血がひどい。

『ベルボさん!?何をするんだ!!』
『その小娘がうるさいからよ〜殺しちまおうとな。』
『何が目的なんだ!!』
『それはな・・・・』
『!!アルス!!こっち!!』

 アルスの腕をひき、走る。あの場所へ。秘密のあそこへ!!!

『ぐぅぅ!!』
『フィーナ、それ以上走ったらいけない。せめて手当てを!!』
『そんな時間はないわ!!』





『つ・・つい・・・た・・・』

 目の前がかすれ、足に力が入らない。崩れ落ちる。

『フィーナ・・・。ベホマ!!』
『早く・・・行って。我らの願いを聞き届けよ。扉よ!開け!!』

 石でできた祭壇の前に青く渦を巻く光。

『アルス。早く・・・。』
『それか〜・・・・への扉は。』
『ベルボ・・・。』
『いきなり呼び捨てかよ。フィーナ。』
『あなたは本物じゃないからよ。』
『まあな。さ。こっちに来てもらうぜ。』

 アルスだけでもこの扉の中へ・・・。

・・・・・・・・・・・・バッ・・・・・・・・・・・・・・・・

 え・・・。私は扉の中にいた。青い渦が光を増していく

『アルス!!』
『フィーナ。見つけるんだ。僕たちの光を。』
『ガキが!!』

 ベルボの短剣がアルスの胸に刺さった。口から血を吐き、それでもベルボを扉に近づけさせまいとしている。

『フィーナ。僕の天命・・・託したよ。』
『アルス——————————!!!!!!!!!!!!』

Re: 第10話 儚い笑顔 ( No.13 )
日時: 2013/09/08 01:59
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

「アルス!!」
「起きた?」

 目の前にはアルスがいた。あの事を思い出し涙が溢れる。止められない。
 多分アルスも驚いたと思う。でも涙のせいでよく顔が見えない。
 違う。私が泣いている顔を見せたくないんだ。

SIDE:アルス
 少女は泣き続けている。僕はどうすることもできない。

「ねえ。何があったの?」
「うぅ・・・いえ・・ない・・・。」
「どうして?」
「わた・・し・・・ひ・・どい・・こと・・した。」
「・・・。」
「泣き止んでよ。君が泣いていると僕も悲しくなるよ。」

 ハンカチを差し出す。受け取り、涙を拭いている。少しは落ち着いたかな?

「改めまして。僕はアルス。フィッシュベルに住んでいる。君は?」
「フィー・・・ナ。」
「フィーナ。いい名前だね。よかったら僕と一緒に来ない?」
「いい・・の?」
「もちろん。」
「うれしい。」

 微かに笑ったフィーナの顔は今まで見てきた誰よりも綺麗だった。でも、少し儚く、いつか消えてしまいそうに思えた。

 雨が上がり虹が浮かぶ。まるで少女が天気を操っていたかのように。

Re: 第11話 コロン ( No.14 )
日時: 2013/09/08 17:33
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

「ちょっと!!今までどこに行ってたのよ!?」
「ご・・ごめん!!いろいろあって・・・。」
「はぁ〜!?」
「あ・・・アルスは悪くないです。私を・・・助けてくれて・・・。」
「ってか誰!?」
「フィーナといいます。」
「お前不思議なにおいするぞ!!」

 雨がやみ、ガボが居るところまで戻ったらマリベルの大声が・・・。それとガボさん・・・。初対面の人のにおいをかぐのはどうかと・・・。

「とりあえず、町に行きましょう?」
「いや・・それは・・・。」
「?」
「あたしたちどういうわけかあの村の人たちに嫌われてんの。」
「失礼ですが、コロン・・・付けました?」
「コロン?」

 ポケットから小さな小瓶を取り出して説明を始めた。

「これはこの世界のにおい。私たち異世界の住民はここの人とにおいが違う。それなので異世界の者だとわかる。」
「なんで異世界の住民だったらダメなの?」
「異世界には魔物がいます。モシャスを使って化けているのかもしれませんから。この匂いは魔物が嫌うにおいです。それなので、これをつけてないと魔物と思われます。」
「この世界の魔物は!?」
「特定の場所にしかいません。それぞれの町々は鉱山に囲まれ、森に囲まれてあります。このコロンのにおいを嫌ってそうそう来ません。ただ、においがわからない魔物は来ます。」

 初めて知るこの世界の事実。みんな魔物は怖いよな・・・・。
 僕たちは戦い続けていたから慣れてしまった。でも、町の人々はそうじゃないんだ。わけもなく町から追い出したりしない。

「なあ。フィーナも別の世界からきたのか?」
「ええ。」
「どこなんだ?」
「・・・知らないと思うよ。もう・・・滅びた・・・から。」

Re:第12話 旅の扉を復活させる少女 ( No.15 )
日時: 2013/11/06 23:01
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

昨日、フィーナからコロンを借り、町にとまった。そして夜が明け、町の外で話し合った。これからどうするか・・・。

「どうするのよ?お金もない、武器もない、それに何も言わないで来ちゃったけどパパたち絶対に心配するわ!」
「?帰ればいいじゃないですか?」

 そうか。フィーナは何も知らないんだ。

「僕たちがこっちの世界に来た旅の扉は力を失っているんだ。」
「だったら私をそこに連れて行って?」
「一体何をする気?」
「それはそのばに行ってから。」

 穏やかな笑顔を僕たちに向けたフィーナ。でも、何もしないよりはいいか・・・。
 フィーナをすぐ近くの旅の扉へと案内した。

「これね。」
「そうよ。どうする気?」
「こうする気。少し離れてくれる?」

 2,3歩後ろに下がるとフィーナが両腕をあげた。!?気のせい・・?フィーナから魔力が出てくる。それもどんどん強くなっている・・・。

「我、汝の守りし扉を開けよう。我の魔力を吸い込みし、蒼き光、蘇らん!!」

 すごい・・・。旅の扉から光が溢れてくる・・・。さっきまで何もなかった石段の上に蒼い渦を巻く光が・・・・。

「さあ。みなさん。どうぞ。これで元の世界に戻れますよ。」
「フィーナはどうするんだ!?」
「私は・・・。」
「いくところが無いなら・・・僕たちと来ない?」

 戸惑っている顔。でも、そんなのお構いなしにマリベルが後ろから背中を押す。

「さっさと入んなさいよ!」
「え!?まって!!」

 僕たちを揺らすような感覚が襲う。旅の扉での移動の時は毎回襲ってくる感覚。

Re: 第13話 邪悪な魔力 ( No.16 )
日時: 2013/10/29 22:14
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

「もど・・・・た?」
「戻ったぞ!!」

 喜ぶマリベルとガボ。床に座りこんでいるフィーナ。何か様子がおかしい?

「フィーナ・・・大丈夫?」
「あ・・・・あぁ・・・・・!」
「ちょっと・・・どうしたのよ・・・。」

 顔が青ざめている。さっき感じた魔力が微塵も感じられない。

「!?」

 腕を抑えている。前に見せてもらった痣があるところを。服の上からでもわかる、青い輝き。

「ああ・・・・。はぁ・・・はぁ・・・。」

 輝きがおさまった。でも、フィーナの顔色は悪いまま。休ませなきゃ。

「フィーナ、ごめんね。ラリホー。」

————バタン

 床に倒れこんだ彼女を抱える。

「アルス?」
「マリベル・・・・何でだろうね。さっきから胸騒ぎがするんだ。」
「・・・。あんたの勘はよく当たるもんね。何があっても対応できるようにしましょ。」
「オイラもアルスのうちに行くぞ!!」
「うん。」

 マリベルとガボに言った方がいいか・・・。神殿から邪悪な魔力が流れてくる。
 オルゴ・デミーラと戦ったとき以上の邪悪な魔力が・・・。


Re: 第1話 みんながいたから ( No.17 )
日時: 2013/11/16 22:50
名前: らくじょう (ID: viAVUXrt)

「ただいま、父さん、母さん。」
「おう!アルス!その子は?」
「フィーナっていうんだ。昨日あってね。具合悪そうだから連れてきたんだ。」
「まあ。早く寝かせてやんな。」
「うん。」

 フィーナを抱え2階の僕の部屋まで連れていく。ベッドにゆっくり横たわす。

「はぁはぁ・・・。」

 さっきよりも苦しそうな少女。

「アルス、これを。」
「ありがと。」

 母さんに渡された桶をベッドの近くに置き、タオルを絞る。汗を拭き、洗って今度は額に置く。

「あぁ・・・・っ!はぁはぁ・・・・。」
「フィーナ・・・。」

 さっき言っていた言葉が気になる。『我が復活する』『止まっていた120年の時が』何かが引っかかる。それにフィーナから感じた魔力。謎の神殿から感じた邪悪な魔力。

「アルス?フィーナの様子どお?」
「マリベル。お父さんなんか言ってた?」
「パパは心配そうに半泣きしてたわよ。まあちょっと急いでたから眠らせたけど。」
「こわ・・・。」
「それが勇者の言う言葉?」
「僕じゃないよ。皆がいたから、斃せたんだよ。」

 僕1人ならすぐに殺されていた。ガボがマリベルがアイラがメルビンがいたから。