二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.103 )
- 日時: 2013/11/05 10:16
- 名前: ランスロット (ID: p17IpJNR)
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
「…朝、なのか…」
モノクマの声で起きるのも、もはや慣れてしまった。
ここに閉じ込められてから1週間ちょっと経過した。そう思いながら私はまだ疲れの残る身体を無理やり起こし、身支度を整えた。
…昨日、2回目の学級裁判を行った。起こしてはならない、あの恐ろしい裁判を。あの裁判が起きてしまえば、誰かしら犠牲になり、誰かしらが悲しんでしまう。
…止めることは、出来ないのだろうか。何とかして、止めることは……。
いや、私一人で解決できる問題ではない。とりあえず、朝食会に参加しよう。
私は沈む気持ちを何とか抑え、食堂へと向かっていった。
「神谷さん、おはようございます」
「おはよう花岸さん。みんなそろっているなんて珍しいわね」
今日は珍しく、私以外の全員が食堂に集まっていた。
…だが、誰かいないような気がする。
「ねぇ、佐藤さんは?」
疑問に思ったことを聞いてみる。
すると、花岸さんは浮かない顔で、こう答えた。
「…佐藤さん、しばらくひとりにしておいてほしいそうです。ただでさえ大切な友人を亡くしてしまったのです。すぐに立ち直れるわけがありません…」
「そう、だよね…」
そう思いながら、私は2回目の学級裁判を思い出す。
今回の議題は、『誰が影浦くんを殺したのか』ということだった。
殺し合い自体起こしてはならないが、今回は影浦くんが暴走してしまった結果、起こった殺人だった。
犯人はまさかの雨宮さんだった。雨宮さんは…親友である佐藤さん、そして狙われた私を守るために、殺人を犯してしまった。おしおきされると決まっても、彼女は絶望するどころか、私たちを信じて佐藤さんをたくした。
…本当に…心の強い、女の子だった。
影浦くんを刺してしまった時の彼女は、どんな気持ちだったんだろう。
証拠隠滅をはからなかったのも、「真実を見つけてほしい」という彼女の遺言だったのかもしれない。私はそう思う。
「ねぇ、私たちまた殺し合いしなきゃならないの…?」
「冗談じゃないわ。あんな裁判、二度とお断りよ」
「…でも、ここから出られる術は今のところないんだよね…」
「『絶対に殺さない』この気持ちを皆さんが持っていれば、きっと大丈夫です。お互いを疑うより、お互いを信じないと、迫りくる恐怖に怯えてしまいますよ」
花岸さんが頑張ってみんなを励ましてくれているけれど、彼女もきっと心の中ではつらい気持ちでいっぱいなのだろう。…一刻も早くここを出て、死んでいった仲間を弔ってあげないといけない。
「…死んでいった仲間達のためにも、私達は生き延びなければならないわ。モノクマが、どんな動機を持ってきてもね」
「でもよォ、そうなると一番危ないのは佐藤なんじゃねェか?あいつ今情緒不安定だから、モノクマに何か潰されたら殺人を犯しちまうかもしれねェ」
「…佐藤さんにも、後で声がけしないといけないね」
「俺たち…どうなっちまうんだろうな…」
雨宮さんの死は、想像以上に私達を苦しめている。それでも、だ。
私達は生き延びなければならない。先日、2人にそう教えてもらったのだから。
「皆様、話し合うのもよろしいかと思われますが、お食事の用意が出来ましたので、お食べくださいませ。
佐藤様には後で私が食事を持っていきます」
「ありがとう、モニャン。…まずは、食事よね」
「モニャンは本当気の利くやつだよな〜」
そして、モニャンの謎…。これも、解決しなくてはならない問題だ。
学級裁判が終わった後、彼は『自分はこの街に住んでいた』ということを口にした。…今までの情報を合わせてみると、モニャンは『希望ヶ峰学園の生徒で、ここに住んでいた人物』である可能性が高い。
…しかし、モノクマタワーの黒いファイルに、『モニャン』という文字は書いてなかったはず。じゃあ、モニャンはあの中の16人のうちの一人…ってことになるのだろうか。
とにかく、情報を集めなくてはならない。モニャンの謎、そして彼の正体を暴けば、私達をここに閉じ込めた犯人も、見つかる気がしたから。
- chater03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.104 )
- 日時: 2013/11/07 17:56
- 名前: ランスロット (ID: SG2pzqrf)
「せっかくの朝ごはんだけど、ボク登場しちゃうよ〜!!」
…現れると思った。呆れながら声の方向を向いてみると…。
そこには、いつも通りの憎たらしいクマがいた。
「オマエラいい表情してるね!う〜ん、写真に撮っちゃおうかな?」
「お断りよ。…早く要件を言ってちょうだい」
冷たく突き放すと、モノクマは一瞬だけしょぼーん、とした表情をして立ち直った。
…これも、いつも通りの光景。
…いつも通り、になってしまったのだ。これも。
「まったく神谷さんったらせっかちなんだから〜」
「御託はいいわ。早く用件だけ言って消えてちょうだい」
「むむむっ!その言葉は聞き捨てなりませんなぁ!
だけど、ボクは海よりも心が広いので許してあげます!というわけで、2回目の学級裁判を乗り越えたオマエラに、ロック解除のお知らせに来たというわけだよ」
「柱の解除と、ホテルのロックの解除か…」
「今回も好きに調べちゃっていいので、どうぞご自由に歩いてみてね!それじゃあ、またね〜!!」
…その言葉と同時に、テーブルの上から煙がモクモクと湧き上がる。その煙はすぐに消えたが、そこにいたはずのモノクマは跡形もなく消えていた。
消え方を変えてきたか…。飽きたのかしら。
…いやいや、そんなことを考えている暇はない。
今回も、グループに分かれて捜索する必要性がありそうだ。
「…佐藤ちゃんはどうするの…?」
安西さんの不安そうな声が、食堂にこだまする。
彼女がここにいれば、率先してくじを配り捜索に出発していた。しかし、彼女は……。
今はそういうことをできる状況ではない。
「佐藤は、しばらく一人にしておいたほうがいいんじゃないか?」
「でも、いつ何を起こしてくるか分からないよ…」
「そこはホテル組が監視と捜索を一緒にすればいい問題じャねェか?」
「…それしかありませんね。今回は、近くにいる人とグループを作り、捜索しましょう」
近くにいる人…。私が周りを見回してみると、2人の近づいてくる影が見えた。
「……神谷……俺……頑張る……」
「神谷さん。何としても、脱出口を、見つけましょう」
今回一緒になったのは、秦野くんと長月さんね。大人しい人達が多くそろったわね…。
…他のグループも、何とか分かれることが出来たみたいだ。
冥雅くん、豊島くん、安西さん。
神崎くん、羽柴くん、白戸さん。
シオンくん、花岸さん、星野くん。
今回も、うまく捜索できそうなバランスのとれたグループだ。
「捜索割り振りはどうするんだよ?」
「今回わたくし達はホテル内を捜索します。神谷さん達は新たな街の東、冥雅さん達は西、神崎さん達は北を捜索してください」
「分かった」
「それでは、皆さんいい成果を出せるように頑張りましょう」
その言葉を皮切りに、それぞれのグループは捜索に向かう。
しばらくして、食堂には私達3人だけが残っていた。
「……佐藤……大丈夫……かな……」
「佐藤さんのことは…今は、花岸さん達に任せておきましょう。私たちは、今できることをするのよ」
「えぇ。どんな街並みが広がっているか分からない。心してかかりましょう」
私達は互いを見て頷き、ホテルを後にして新たな街へ出発した。