二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.105 )
- 日時: 2013/11/10 17:25
- 名前: ランスロット (ID: 9BxfvGUD)
しばらく歩いていると、街の風景が変わる感触を感じた。…時間的にも、そろそろ新しい街についた頃だろう。
辺りを見回してみると、落ち着いた風貌の街並みが見て感じ取れた。
一言で表すなら…そう、「秋」。まるで、山の紅葉を見ているかのような街の風景だった。
相変わらず、モノクマオブジェが大量に存在しているのは場違いなのだが。
「…ついたみたいね。さて、どこから調べましょうか」
「……適当に……見つけたものを……調べる……それでいい……と思う」
「それじゃあ、早速歩いてみましょう」
探索方法も、結局前回と同じ。私達は、のんびりと街を歩き始めた。
しばらく道なりに進んでいると、ドーム状の建物が見えた。
「何かの競技場かしら」
「入ってみましょうか?」
「……うん……」
入ってみると、観客席とホールが見えた。どうやら、何かを演技する会場のように感じた。
ステージの方には幕がかけられるようになっており、幕を上げ下げするボタンは、別に見つけた個室の中にあった。
「演劇をする場所…なのかな」
「他の部屋も一通り調べてみたけれど、ダンスをするような道具がたくさん揃えられてあったわ。ここは踊りをする場所のようね」
「……豊島に……ぴったり……」
「それじゃあ、帰ったら豊島くんに教えてあげましょう」
私達は劇場を後にし、再び捜索を始めた。
次に目についたのは、神社のような建物。奥に小さく見えたので、それなりの敷地内にあるのだろう。
「神社…かしら」
「……でも……なんで神社が……」
「…ここに住んでいた高校生の中に『超高校級の巫女』がいたりしてね」
「そうかもね…」
神社を調べていると、秦野くんが一点を集中して何かを見つめているのを見つけた。
…何を見つけたのだろうか。声をかけてみるか…。
「…どうしたの?何か見つけたの?」
「……これ……」
秦野くんは細々と喋り、目の前の何かを指差す。彼が指差した先には…………。
「…赤い、文字?」
「……触ってみた……けど……乾いていた……。多分……昔についた……もの……」
「…かすれていてあまり読めないわね」
「どうしたの?」
話している私達に気付いたのか、長月さんが話しかけてきた。
長月さんに文字のことを話すと、彼女はそれをまじまじと見つめた。
「…読めるかもしれない」
「本当?!」
「えっと…『しらとりこうすけ ころす かこと みらいの はてに いもうとと ともに やみに おちる』…かしら」
「…凄いわね。流石長月さん」
「いえ、古い文献の中にはかすれてる文字もあるから。こういうのは慣れているの」
彼女の方を向いてみると、長月さんは照れていた。
…案外、かわいいところもあるのね。
「…それにしても、どういう意味なのかしら。この文字の意味」
「『白取幸輔』…。前に見た書類に、この名前が書いてあったわ。あの書類に書いてあったことは、本当だったのね…」
「……その『白取幸輔』……は……何者かに……狙われていた……のか……?」
普通に考えると、その結論に至るだろう。…恐らく、その『白取幸輔』が狙われていたのは『黒幕』。私達をここに閉じ込め、殺し合いを強要した犯人と同一人物なのかは分からないが…。
まだ、調べてみる必要がありそうだ。
「…それ以外にはなにもなさそうね。そろそろ出る?神谷さん」
「そうね。この赤い文字についても…もう少しみんなで話し合ってみる必要がありそうだし、この場は引きましょう」
「……次……行く……」
私達は神社を出て、街を再び歩き始める。
…神社を出た瞬間に、誰かの視線を感じたんだけど…。気のせいだと思っておこう。
…今は、そう、思っておこう。
- chater03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.106 )
- 日時: 2013/11/11 18:37
- 名前: ランスロット (ID: F1B4nr3O)
次に目についたのは、派手な外装の建物だった。
中からうるさく音が漏れ出しているところから、ゲームセンターだろうか。
「…随分と賑やかな音がするわね。誰か入っているのかしら」
「いえ、これはゲームのBGMだと思うわ。多分…ゲームセンターね」
「……入る……」
私達が建物の中へ入ると、そこには新旧様々なアーケードゲームが揃っていた。
デパートのゲームコーナーでよく見るエアホッケーのような筐体から、神崎くんが楽曲提供をしているという音楽ゲームのような筐体まで、色々ある。
長月さんはこういうのには慣れてなさそうだが、秦野くんはある程度把握してそう。まぁ、さすがの私でも詳しくは知らないけどね…。
中を調べて回っていると、とある筐体の前で秦野くんが立ち止まった。
「……これ……『beatun maniax』……」
「あぁ、神崎くんが楽曲提供をしているっていうゲームね。秦野くんはよく遊ぶの?」
「……人のいない時間帯……狙ってよくやる……」
「へぇー。見てみたいな、秦野くんの腕前」
…単純に気になったので彼にやるように言ってみる。すると、彼は急にフードを深くかぶり長月さんの後ろに隠れてしまった。
…どうやら、人前でゲームをするのは恥ずかしくて出来ないらしい…。
ちょっと、残念だと思った。
「…無理にやれとは言ってないから、深くかぶらなくてもいいわよ…」
「……ごめん……」
「ここには何も手掛かりはなさそうね…」
そろそろ帰ろうか、という話になったその時だった。
長月さんが「あ…」と、ある一点を指さしてその方向へ歩き始めた。…その方向に、いったい何があるのかしら…。
彼女について行くと、店の奥にちょこんと、古びたパソコンが置いてあった。
「パソコンね。随分と古びてるようだけど」
「…もし何かデータが入っていたとしたら…。これは重要な手掛かりになりそうだわ。でも、直せないんじゃ使えないわね…」
パソコンは所々が錆びれており、使えるという代物ではない。…もし情報が入っていたとしても、取り出せない。
…諦めかけていたその時、秦野くんがふとこう口にした。
「……直せるかもしれない……」
「本当?!」
「……外面……錆びれてるだけだから……中身は……まだ……動かせる……」
「じゃあ、ホテルに持って帰りましょう!」
「……俺が持つ……」
パソコンが直るかもしれない、と彼は言ってくれた。…確かに、彼は『超高校級のハッカー』だ。コンピュータの直し方などはお茶の子さいさいなのかもしれない。
可能性。それを、小さく生まれた希望というのかもしれない。
パソコンは秦野くんに預け、私達はゲームセンターを後にした。
「他には目星のつく場所はなさそうね」
「結構手掛かりが見つかったわね。赤い文字、それから古びたパソコン…」
「赤い文字…誰が書いたのかしら。気になるわ」
「……直したら……神谷に……教える……。……俺の部屋まで……来てくれると……嬉しい……」
「分かったわ」
「それじゃ、ホテルに帰りましょう」
その後、私達は他愛のない話をしながらホテルへと戻った。
…ゲームセンターで見つけた古いパソコン。これが、後に私達の大きな武器に進化するとは、今は誰も思っていなかった。