二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.108 )
- 日時: 2013/11/14 19:01
- 名前: ランスロット (ID: VnmAEQod)
「お帰りなさい、探索お疲れ様でした」
「いつもありがとうね、花岸さん」
「いえ、わたくしは人として最低限の礼儀をまかなっているだけですので」
もはや恒例となった花岸さんとのあいさつも終わり、私は食堂の椅子へと座る。
今回はかなり重要な情報が手に入った。ただ、それが信頼性のあるものかどうかは分からないが…。
とにかく話してみるほかない。
「皆さん集まってようですね。それでは、定例の報告会を始めたいと思います。まずは、冥雅さんのグループから報告をお願いします」
「分かったよ」
今回も1番目は冥雅くんなんだ。…こういっちゃ悪いけど、冥雅くん、殺人が起きるたびになんだかたくましくなっている。
他の人との交流を得て、精神的に成長したのかしら…。
え、えーっと…。違うんだから、冥雅くんにそんな気持ちなんて持ってないんだから!って、何を言ってるのかしら私…。
「西方面には…。まず、交番があったな」
「交番…ですか?」
「うん。恐らくこの街でも悪いことをする奴らがいるから、それを守るために建てたんじゃないかなぁ」
「この街に住んでいた奴の中に『超高校級の警察官』って肩書の奴がいた可能性もあるな」
「後は、ペットショップとコンビニがあったぜ。中に入ってみたんだけど、まぁ当たり前なんだけど人はいなくて、ペットの死骸だけが残されていたんだ」
「死骸?!」
「ここから人がいなくなって、随分と経っているのを物語っているようね」
「動物たち、可哀そうだった」
ペットショップの中に動物の死骸…か。確かに、長月さんの言う通り、『住人がいなくなってから随分と時が経っている』と考えた方が納得できる。…ということは、ここが無人になったのは少なくとも『近いうちの出来事』ではない、ということになるわね…。
「他は、特に何もなかったよ」
「ありがとうございました。それでは、神崎さんのグループの報告をお願いします」
「分かった」
「北方面は西方面とは違って、建物と言えるものがほとんどなかったんだ。あるのは、一面の草原と、草原の真ん中に作られた大きい噴水」
「噴水?そんなもの作って何の意味があるのかしら…」
「それ、俺達も考えたんだがよォ、結局納得できる答えは見つからなかったぜェ」
「単にモノクマの趣味で置いた、ってのもありそうだけどね…」
…北方面には、あまり情報になりそうなものはなかった。というわけね。
「では、わたくし達ホテル版の報告を始めます」
「待ってました!」
「ホテルの3階のシャッターが上がってたんだ。恐らく、2回学級裁判を起こして、僕たちがそれを乗り越えたからモノクマなりの『ご褒美』なんだろうね…」
「まず、3階にはシアタールーム、道場、図書室が開いていました。今まで行ける1階や2階も捜索しましたが、ロックのかかっている場所はありませんでしたね」
「ただ、図書室の書物には何やら脱出の手掛かりになりそうなものはありました。後日、わたくしは調べてみるつもりです」
…3階の解放、か…。本当、モノクマは何を考えているのか分からない。私達をもてあそんで、何が楽しいんだろうか。…いや、私達がこうして焦っているのを楽しんでいるんだろうか。だとしたら…本当に性質の悪い冗談だわ。
それにしても、図書室の開放は大きいわね。私も時間がある時に寄ってみましょう。
「報告は以上です。では、神谷さん。報告をお願いします」
「分かった。今回、私達は重要な情報を手に入れたわ。過去にここに住んでいた可能性のある人物の、所持品らしきものを持って来たの」
「それは凄いな…」
そう言って、私はいつも通りに深く深呼吸をする。
秦野くんが古いパソコンの包みを開けると同時に、私はこの目で見たものを話し始めた。
- chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.109 )
- 日時: 2013/11/16 12:19
- 名前: ランスロット (ID: 3lsZJd9S)
「それじゃあ、報告を始めるわね。まずは、何かの劇場があったわ」
「劇場…ですか」
「ちょ、何の劇場?!」
予想通り豊島くんがまず話に食いつく。
意外にも、花岸さんも興味を持っているみたいだ。
「中にはダンスに使うような道具が置いてあったわ。ダンスホールと捉えても間違いではなさそうね」
「マジか?!うっは気分盛り上がってきたー!!!」
「豊島くんったら…」
豊島くんはハイテンションになりながら私の話を聞いている。
彼のキラキラした目を私は苦笑しながら、話の続きを始めた。
「次に私が見つけたのは神社。古そうなデザインをしていたわ」
「……こんな文字……書いてあった……」
そう言って秦野くんは電子生徒手帳の写真のファイルを開く。あの、赤い色で書かれた不吉な言葉を…。
「これは…?」
「文字が掠れてるけど、読めないわけではないな」
「えぇ。長月さんが解読してくれたわ」
「…ここには、『しらとりこうすけ殺す 過去と未来の果てに 妹と共に闇に堕ちる』って書いてあったわ」
「どういう意味でしょう?」
「…恐らく、この『さいとうこうすけ』は、過去にこの街に住んでいた人だと思う。そして、この文字を書いた人物は、彼の命を狙っていた…。私はこう考えたわ」
私は街で考えたことを喋ってみる。
「その『さいとうこうすけ』という人物を狙っていた奴と、今回俺達をここに閉じ込めた人物。同じやつなのかな…」
「そこまでは分からないわ。でも、ここに人が住んでいたのは確実になった。それだけでも進歩よ」
「……これ……みて……」
話の区切りが一旦ついたところで、秦野くんは包みから古びたパソコンを飛び出す。
そのパソコンを見た彼らの反応は様々だった。
「パソコン、ですか?」
「……ゲームセンター……そこにあった……」
「ゲーセンもあったのか…」
「……中身は壊れてない……直せば使えるから……中に何か……情報があるかも……」
「それは大収穫じゃないですか!」
「……でも……直すのに……時間がかかる……。……終わったら……神谷に知らせる……それまで……待ってて……」
秦野くんは弱弱しく自分の意見を言う。彼の言葉を聞いて、みんなは彼に向き直り、こう切り返してきた。
「待っている。結果が出たら教えてね」と。
「……ありがとう……」
「良かったわね、秦野くん」
「……うん……」
私の方を見て頷いた時、彼の素顔がまた一瞬見えた。
彼は……照れながら微笑みを浮かべていた。
まるで、「やっと自分が受け入れられた」と、弱弱しくも明るい表情だった。
「私達の報告はここまでよ」
「それでは、解散することにしましょう」
「…もう絶対に、殺人なんか起こしちゃいけないよね」
「当たり前だろ!人を殺すなんて…悲しすぎるし」
「みんながそれを忘れなければ大丈夫よ。絶対にみんなでここを出ましょう」
個々に決意を口にしたところで、報告会は終わりを告げた。
もう殺人は起こらない…私はそう確信していた。
でも、なんだろう…。この胸の違和感。1度目の殺人が起きた時も、2度目の時も、同じ違和感がした。
…まだ、殺人は起こる。私の本能が、そう警告しているような気がした。