二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.110 )
日時: 2013/11/17 12:05
名前: ランスロット (ID: 3rH6u80U)

【コロシアイ職業体験 12日目】


朝食会を終えた私は、今図書室で調べ物をしていた。
報告の通り本当に様々な文献や本が揃っており、調べ物をするにはうってつけの場所だった。
偶然図書室で合った星野くん、羽柴くんと一緒に、学園、そしてこの街の過去について調べていた。


「…文献や辞書も沢山あるけど、小説や絵本なんかもあるのね。えーと、どれどれ…」


私は本棚から適当に一冊手に取ってみる。これは…漫画かしら?
中身をぱらぱらと読んでみる。…凄い。ストーリーも引き込まれていくし、絵も見やすくキャラの魅力を引き立たせている。コマ割りもバランスがいいし、何より内容が面白かった。
作者は誰なのかしら…。そう思って、私は見開きのページを開く。



「桑原 咲」
希望ヶ峰学園80期生。『超高校級の漫画家』



…80期生?待って、ちょっと待って。私達は『79期生』。彼女は『80期生』…。一体どういうことなの…?
思考が一気に混乱し始める。…もしかして、彼女ら『80期生』もこの街に住んでいたというの…?だったら、私達がここに入学してきたのは…彼女らよりも先、ということになる。
でも、私達はまだここに入学するために来てから2週間も経っていない。
…訳が分からなかった。
そんなことを思っていると、星野くんがこちらを呼ぶ声が聞こえた。


「神谷さーん!気になる本見つけたんだけど、見ないー?」


気になる本…?星野くんが私を呼ぶくらいだから、きっと重要な情報が隠れているに違いない。
私は少しの期待を胸に、星野くんがいる場所まで歩いて行った。


「星野くん、気になる本って?」
「これなんだけど…」
「いかにも『開いちャダメです』ッて感じの表紙だなァ」


本の表紙は真っ黒で、その上に小さな紙が貼ってあった。そこには、汚い字で『ひらかないでください』と書かれている。…恐らくこれを書いたのは十中八九モノクマだろう。
…あいつが見てほしくない本、ということは…。何か重要な情報がこの本に記されているに違いない。開くほかない。


「見てみましょう」
「えっ?でもここに『みないでください』って…」
「これは恐らくモノクマが書いたものよ。ということは、この中に私達が知ってほしくない情報が入っている。そういうことになるわ」
「そっか…。じゃあ、僕も中身を見てみるよ」


私は意を決して本の表紙を開く。
見開きのページには、『希望ヶ峰学園79期生コロシアイ日記』なるものが書かれていた。
…コロシアイ?私達の他にも、コロシアイをしていた生徒がいるというのかしら。それに…ここにも書かれている『79期生』という文字。この本が嘘でなければ、恐らくコロシアイをしていたのは…。


2回目の殺人が起こる前に見た、あの書類に書かれていた16人だろう…。


私は恐る恐るページをめくっていく。



○コロシアイ日記 3日目
私が動機を提示する前に、殺人は起きた。
被害者は『超高校級の警察官』水無月愛美。
身体にはメスが大量に刺さっており、出血多量のため死んだのだろう。
うふふ…私と同じく、快楽殺人者がこの中にいるってことね…。
まぁ、私は知ってるけど。

学級裁判の結果、犯人は『超高校級の精神学者』斬先信吾だということが分かった。
動機は特にないらしく、ただ殺人をしてみたかっただけだという。
私より…いえ、私と同じくらい狂ってる精神の持ち主ね。
そんな彼には彼の大好きな薬物によるおしおきを用意したわ。


○コロシアイ日記 6日目
2回目の殺人が起きた。今回は、私が動機付けを行った後。
被害者は『超高校級のベーシスト』赤平町華。
彼女愛用のベースによる撲殺だった。抵抗跡がないところから、一撃死なのだろう。
お金に動かされるなんて、人間ってなんて醜いんでしょう。……あぁっ、絶望的だわ!!

今回の犯人は『超高校級の会計』黒沢凛。
やっぱり、お金に動かされて殺人を犯してしまったみたい。うふふ…見た目に似合わず欲深いのね。
そんな彼女には、お金にまつわるおしおきを用意したわ。


○コロシアイ日記 8日目
3回目の殺人が起きた。動機付けを行う前に殺人がもう一度起きた。
被害者は『超高校級の脳外科医』須賀井良彦。
額から血を流して死んでいる。随分と…分かりやすすぎる殺人ね。まぁ、彼をそそのかしたのは私なんだけど。

犯人はやっぱり『超高校級のスナイパー』暗井リュウ。
彼、反論もせずに白鳥幸輔の意見を聞いていたわ。半分諦めていたのかしらね…。
そんな彼には超高校級の才能をフルに活かせるおしおきを用意したわ。


○コロシアイ日記 11日目
4回目の殺人が起きた。私はもう動機付けをするのをやめた。
被害者は『超高校級のニューハーフ』シャルン・ルミエール。
ダンベルでの撲殺だった。彼女もきっと一撃死…ね。争った跡がないもの。でも、犯人は自首しようとしているみたい。そうはさせないわよ。

犯人は『超高校級の喧嘩屋』渋谷零。
シャルン・ルミエールと口論になった際、ついカッとなって殺してしまったらしいの。まぁ、どんな理由があれ殺人は殺人なんだけどね…w
そんな彼には絶望を知ってもらうわ。うふふ…おしおきされてしまいなさい。


○コロシアイ日記 13日目
なぜ殺人が起きないのか。…裏切り者である『超高校級の変装家』一ノ瀬悠魔が白取幸輔に寝返ったから。
裏切り者には報復を。殺してやる…殺してやるわ…!!
私は彼をワイヤーで絞め殺し、彼の部屋にはりつけにした。
私を裏切ったこと、後悔して絶望するがいいわ…あはははは!!!


○コロシアイ日記 14日目
やばい。白取幸輔達生き残りが黒幕が私だということを見抜きそうだ。…殺さなくては。白取幸輔を殺せば、裁判は乗り切れる。
そうだ。あの一ノ瀬悠魔殺しの犯人をあいつに仕立て上げよう。そうすれば…私の夢が叶う…。
待ってて、スザク。待ってて、−−−。みんな、私に酔いしれるのよ!!


…その後のページは、血で『白取幸輔 殺ス』の文字で全て埋まっていた。
これは…。私達とは別の79期生がコロシアイをした時の、黒幕の日記なんだろうか。
それにしても、酷すぎる…。私達の他にも、コロシアイを強要された人達がいたなんて…!!

chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.111 )
日時: 2013/11/18 16:49
名前: ランスロット (ID: INaKOfii)

「…みんな、大丈夫?」


本を一通り読み終えた後、私は2人の顔を見てみる。実際に人の死に直面していたからなのか、2人の顔はそれほど青ざめていなかった。


「なんとか大丈夫。実際に直面したわけじゃないしね…」
「にしても、ひでェ話だよなァ…。俺達の他にも殺し合いさせられていた奴らがいたなんてよォ」


全くだ。もしかしたら、私達やこの本の中に書かれていた人物の他にも殺し合いをさせられていた生徒がいるかもしれない。
…考えるだけで、恐ろしかった。
そう考えていたその時だった。図書室の扉が、小さな音を立てて開かれる。
私が音に気付いて振り向いてみると、そこにいたのはモニャンだった。


「…見て…しまわれたのですね…」
「えっ…?」
「表紙に『見るな』と書いたのは…私なのです。もう少し綺麗な字で書いていれば、誤解を招くことはなかったですね…」
「書いたのはモノクマじゃなかったんだ…」
「勝手に見たのは、本当にごめんなさい。でも…この本とモニャンに何か関係性があるの?」


モニャンが『見るな』と書いたのならば、この本は彼と関係性があるに違いない。
私はそこを彼に指摘した。すると、彼は重々しく、こうつぶやいた。







『私は……その本の中の殺し合いに…参加していました』






…………なんですって?
モニャンは…この中の殺し合いに…参加していた?
でも彼は人間ではない。2回目の学級裁判が終わった後、彼は『自分はこの街に住んでいた』と発していた。このことから、彼は『希望ヶ峰学園の生徒』という可能性が浮上した。
だけど…彼も殺し合いに参加していた…?


じゃあ、彼は元々…人間だったってこと?!


「…驚くのも無理はありません。ですが、私は確かに参加していたのです」
「じゃ、じゃあ!この殺し合いの結末も…」
「ええ。知っています」


そういうと、彼は静かに本の殺し合いの結末を語り始めた。


「…その本には、5回目の学級裁判の後の話が載っていませんよね?
 実は、私達は裁判をもう1回、行っていたのです」
「その裁判って何だよ?」
「『黒幕を暴く裁判』。そこで、私達生き残った6人の79期生と、この殺し合いを引き起こした張本人との対決となりました。
 私達は見事黒幕を暴き黒幕はおしおきされました。しかし…」
「し、しかし…?」
「黒幕のおしおきに、私は巻き込まれてしまいました。おしおきで私の命が潰えようとした時、殺された『須賀井良彦』という生徒の残したプログラムのお陰で命拾いしました。
 黒幕はそれに対応しきれずに、おしおきされていきました…」
「…そうだったのね…」
「その後、私は他の生徒と共に裁判場を出ようとしました。しかし、黒幕はまだ死んではいなかった。最後のあがきとして、銃を何発か撃ってきたのです。
 私は…それを同級生から庇いました。そして…目が覚めたら、この姿になっていたのです」


モニャンは語り終えると、悔しそうに膝をついた。
…私達は、彼の口から出される真実に、何も言うことなど出来なかった。…出来るものか。こんな残酷すぎる現実…。私達も、今同じ状況に立たされているんだ。
監視カメラから、きっと黒幕は私達を見ているだろう。



「すみません、こんな話をしてしまって…。少し、外の風に当たってきます。それでは皆様、御機嫌よう」
「モニャン…」


そう最後に残して、彼は図書室から去って行った。
その場には、何も言えずに立ち尽くしている私達だけが残っていた。


私は、何をバカなことを思っていたのだろう。
モニャンはモノクマ側の存在じゃなかった。
最初から、『私達の仲間』だったんじゃない…。
殺し合いに巻き込まれた、『被害者』なんじゃない…!!