二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.115 )
- 日時: 2013/11/20 17:54
- 名前: ランスロット (ID: LJWVvIF8)
「…おしおきの画像か…?」
恐る恐るフォルダをクリックして中身を覗いてみる。
すると、数枚の写真がブラウザに現れる。…画像が小さい今の状態でも分かる。この写真は、普通ではない…。
「そうみたいね。秦野くん…開いてみてもいいかしら」
「……あぁ……」
迫りくる恐怖と悪寒を必死に心で抑え、私は1番最初の画像をクリックする。
すると、画像が大きくなりその状況がよく分かるようになった。
画像には、派手な恰好をした男子高校生が何かの柱に縛られ血塗れで死んでいる光景があった。そして、高校生の周りには野球のボールが無数に落ちている。
血がついていたことから…このボールで滅多打ちにされて、彼は死んでしまったのだろう…。
…おぞましくて見ていられなかった。
「何、これ…?!」
『これは、何の画像なんだ?』
『78期生の殺し合いのおしおき画像だよぉ。この画像は…1回目の裁判での犯人がおしおきされてるねぇ』
アルターエゴが疑問に答えてくれる。…やはり、私達の他にも殺し合いをしていた生徒がいるのね…。
「他のも見てみよう」と神崎くんは私の背中に手を置き、そう言った。背中が無意識に震えていたのを、彼は見逃さなかったのだ。
…本当に、神崎くんがここにいてくれてよかったと感じる。
私は画像をスライドショー形式にして流してみる。
…ビンゴの球入れに使うような球体に、リーゼントの高校生がバイクに縛り付けられてグルグル回っている写真。
…ゴスロリ服の女子高生が、棒に縛り付けられて火あぶりになっている写真。
…小ぢんまりとしたコックの格好をした高校生が、パン粉と卵まみれになってマグマに落とされる写真。
…メガネをかけた三つ編みの女子高生が、モノクマ相手に戦っている写真。
どれもこれも、見ていられる代物ではなかった。
見たくない。そういう感情が脳裏をよぎる。スライドショーを終わればいいだけの話なのだが、少なくとも今の私達にはそんな考えは浮かばなかった。
スライドショーは無情にも、次々とおしおきの写真を写していく。
…そして、ある写真に差し掛かった時、私の心に何か刺さるものを感じた。
「待って。止めて」
無意識に私はスライドショーを一時停止して、その画像に見入る。
…なんだろう。この写真に写っている人物には見覚えがある。
写真に映っていたのは、紫色の長いストールを巻いた特徴的な髪の男子高校生。動物が一緒に映っていることから、動物関係の才能だったのだろう。
…でも、どこで会ったのだろう。…記憶の中を一通り調べてみるが、どの記憶にも写真の高校生と同じ容姿をした者はいなかった。
「…神谷」
誰かの声にはっとして振り向く。そこには、心配そうに私を見つめる3人の姿があった。
「急に止めてくれなんて言うからびっくりしたよ」
「……この人物に……覚えがあるのか……?」
「えぇ。誰かまでは分からないけど…。彼を見た途端、心に何かが刺さったの。私、彼についての何かを忘れているみたいなんだけど…」
「…もしかしたらさ、神谷と深い関係のある人物だったんじゃないか?この人。俺にも希望ヶ峰関係でそういう人、いるし」
神崎くんが一つの可能性を提示してくれる。…私も、頭の中でそういう答えしか導けなかった。
彼は、ストールの彼は、私と何か関係のある人物…。
もう、そうとしか思えなかった。
「もう一つのフォルダも見てみようよ」
「えぇ」
私はマウスを動かし、もう一つのフォルダを開こうとする。
その時だった。
バチンっ!!
「な、何だ?!」
「停電か…。タイミングが悪すぎたな」
「でもここには監視カメラなんてないはずだよ?!」
「……偶然……なのか……?」
急に辺りが真っ暗になり、パソコンの電源も落ちる。モノクマの仕業だと思いたかったが、ここには監視カメラは存在しない。…でも、偶然にしては出来過ぎている気がする…。
数刻して、電気が元に戻る。それと同時に、モノクマからのアナウンスが入った。
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします!
オマエラ、至急ホテルのロビーに集まってください。来なかった奴はタダじゃすまさないからね!いつものことだけど!
それじゃあ、待ってるからね〜』
ぷつり。
「こんな時にアナウンスかよ…!」
「でも、今は行くしかないわ。写真の続きは後にしましょう」
「そうだな。それじゃ、モノクマの気が変わらないうちにロビーに向かおう」
「……何か……仕掛けてくるのかな……」
随分とタイミングの良すぎるモノクマのアナウンス。…恐らく、次の動機を持ってくるのだろう。
だけど…。私達はもう殺し合いなんてしないわよ。覚悟して待ってなさい。
そう思って私達は更衣室を出て、ロビーへと向かった。
…この後、モノクマからとんでもない言葉が発せられることになる…。
- chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.116 )
- 日時: 2013/11/21 18:27
- 名前: ランスロット (ID: WpG52xf4)
ロビーへとついた時には、もう既に全員集まっていた。
一番心配だった佐藤さんは、今長月さんと安西さんに支えられて、椅子にへたり込むように座っている。
…もちろん、モノクマもロビーのテレビの前に、でんと座っている。
今度はどんな動機で、私達を惑わそうとしているのだろうか。
「こほん。実は、ボク言い忘れてたことがあるんだよね」
「なんだよそれ」
「…まさか、また何か私たちにやろうっていうの?!」
豊島くんと安西さんが、モノクマの言葉に反論する。
しかし、モノクマは「そんな物騒なことじゃないよ」と一言返し、話を続けた。
「オマエラに朗報です。オマエラ、実は『1年間を共に過ごした仲間』だって、知ってる?」
…は?
待って、ちょっと待って。…今モノクマは何ていった?
私達は『1年間を共に過ごした仲間』…?
いやそんなはずはない。私達は希望ヶ峰学園に入学する前に、一週間前に学園へとやってきた。そして、この街に閉じ込められた。
…その『真実』を、覆す内容だった。…少なくとも、私にはそう感じた。
「そんなわけねーだろ!!俺らは一週間前に初めて合ったばっかりなんだぞ?!」
「そうですよ!あなたの言っていることはでたらめです!!」
予想通り、続々と反論の声があがる。
そんな光景を見ていたモノクマは、最初のうちは「わ〜オマエラ想像力豊かなんだね〜」と褒めているのか貶しているのか分からない返答を繰り返していたが…。
次第に彼も呆れ始める。
「全く、オマエラはボクの告げた真実を頑なに拒否し続けるんだから〜…。ボク飽きちゃった」
「全くも何も、あんたの言ってることはでたらめじゃないの!!」
「じゃあ教えてあげるよ。今夜、盛大なる抽選によって選ばれた3人に、ボクの知る『真実』をまるっとぜ〜んぶ」
…え?
それって、モノクマによって選ばれた3人は、モノクマの言っていることが本当であれば…。本当かは信じたくないけど…。
『学園の全て』
を、知ることになる…。
「誰が当たりか、ドッキドキのワックワクだよね〜!!それじゃあ、まったね〜!!」
そう言ってモノクマは超速でロビーから去って行った。
その場に残されたのは、モノクマの言われたことがいまだに信じられない、私達生き残りメンバーだけだった。
「…僕達は、1年間を共に過ごした仲間だと彼は言っていましたよね」
シオンくんが口を開く。
もし本当にモノクマの言っていることが正しかったら…。その失った1年間の記憶はどこに…?それに、文献や画像で分かった「77期生から80期生」までの生徒は今どこにいるのかしら…。
「モノクマが、わたくし達を脅すためのウソに決まってます!例え今夜誰かがモノクマによって真実とやらを伝えられても、絶対に屈してはなりませんよ」
「…えぇ。花岸さんの言う通りよ。ここで黙っていたって、何も起こらないわ。戻りましょう」
そう言って花岸さんと長月さんは自室へと戻る。
「…佐藤ちゃん、かえろっか」
「…うん…」
うつろな目をしながら、佐藤さんと安西さんは自室へ戻っていく。
次第に他の仲間達も、無言で自室へを去っていく。
いつの間にかこの場に残っていたのは、私と神崎くんの2人だけになっていた。
「…神崎くん。キミはモノクマの話をどう見るの?」
「『真実か否か』だよな。…信じたくないけど、今まで調べたことを一つにまとめてみると…。あいつの言っていることが本当だって、嫌でも分かってしまうんだよ」
そうつぶやく彼の顔は…少しだけ、哀愁を漂わせていた。
…まるで、何かを思い出したように。
「モノクマには…お互い、注意しようぜ。それじゃおやすみ、また明日な」
それだけ言って、神崎くんも自室へと戻って行った。
…ここで私だけ立っているわけにはいかない。
とりあえず…。私も自室へ戻りましょう。嫌な予感はするけど…。長月さんの言う通り、ここにいたって何かあるわけではない。
そう心に釘を刺して、私は自室へと戻った。
- chapter03 〜We are so Zetsubou〜 ( No.117 )
- 日時: 2013/11/22 18:09
- 名前: ランスロット (ID: NnY0ylQj)
【コロシアイ職業体験 14日目】
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
…朝、だ。
結局、私のところにはモノクマはやって来なかった。いいのか、悪いのか…。
そうでなくても、私以外の誰かが真実を知っている。
モノクマは嘘をつかない。だから…必ずいる。その人物から話を聞ければいいんだけど…。あいつのことだ、余計なことも吹き込んで殺人を助長しようとしているに違いない。
…みんなの所で話を聞いてみましょう。
そう思って私は身支度を済ませ、食堂へと向かった。
「おっはよ〜はるちゃん♪」
「さ、佐藤さん?!」
「おはようございます、神谷さん」
食堂にはいつもの早起きメンバーと……。佐藤さんがいた。
昨日までの面影はなく、いつもの元気な少女に戻っている。…でも、どうして?
そして、彼女の無邪気な笑顔には…何か怖いものを感じ取れた。
「佐藤さん、雨宮さんのことは…」
「くるみんのこと?それは今でも悲しいよ…。でもね、このままじゃいけないって昨日わかったの。だから、あたしもくるみんの為に一緒に戦うよ!」
「佐藤さん…無理、しなくてもいいのよ?」
「無理なんかしてないよ〜、はるちゃんったら心配性なんだから♪」
元気になったのはいいが、何かおかしいような。彼女の様子はどこか変だった。
…その後、食堂に来たクラスメイトも佐藤さんの変わりっぷりにただただビックリしていた。
「…ぷっは〜!!久しぶりのみんなでの朝ご飯は最高だね〜♪」
「何にせよ、佐藤が元に戻って良かったよな!」
「えぇ。元気なことは良きことかな、ですよ。うふふ」
「うん、うん!」
ふと、花岸さんの顔を見てみる。彼女の笑顔はいつもと変わらないように感じたが…。
どこか、様子がおかしいように感じた。この気持ちが気のせいであれば、良いのだけれど…。
朝食会を済ませ、私は佐藤さんに頼まれてサンノマチの案内をしていた。彼女は捜索に参加していないため、説明するのにも少し骨が折れた。
途中で安西さんとはち会い、草むらで他愛のない話をしていた。…まだ怖い気持ちはおさまってないが…。とにかく、彼女が元気になってくれてよかった。今はそう思っておくことにしよう。
しばらく草むらで寝転がっていると、ふと佐藤さんがこう発した。
「ねぇねぇ、あたしダンスホールに行きたいな♪」
「ダンスホール?」
「はるちゃんの話だと、中にダンス用の道具があるんでしょ?それだったら、マジックに使えるものがあるんじゃないかなーと思ってさ♪」
「そっか!佐藤ちゃんのマジックショーにも使えるもんね、あの劇場!」
「そうそう♪何か見つかったら軽いマジックをしてあげるよ〜♪」
「おぉっ!楽しみー!ねっ、神谷ちゃん!」
「え、えぇ…」
…佐藤さんと安西さんの会話は、噛み合っているようで噛み合ってなかった。
そんなこんなで私達はダンスホールへと向かう。
「ここだね♪」
「それじゃ、道具を取ってきましょう」
「おーっ!」
張り切る佐藤さんと安西さんを見守りながら、私はダンスホールへと入っていく。
…入った途端、異様な違和感を感じたけど。初めて来た時には電気はついていたはず…。でも、今は周りが見えないくらい真っ暗なのだ。
「(何かしら、この違和感は…)」
「うっわ、真っ暗!私電気つけてくるよ!」
「ついでに幕も開けといてね〜♪」
「はーい!」
安西さんは下手の方にある放送室に入り、幕を上げるボタン、そして電気をつけるボタンを押した。
幕はゆっくりと上がっていき、ステージ全体が見渡せるように……。
急に、佐藤さんが私の服の袖をつかみ、一点を見つめる。
「はるちゃん、あれ…!」
佐藤さんの指差した方向を、私も見る。
「………!!」
「どうしたのー?2人とも固まって…」
「あ…安西さん…。あれは…」
安西さんも私と同じ方向を向く。そして、絶句した。
「きゃあああああああああああ!!!!!!!!」
嘘でしょ…?殺し合いは起こさないって、起しちゃダメだって…。
…みんなでそう決めたじゃないの。
でも…どうして…いるの?どうして?
私達の見つめた方向には。
『超高校級の弓道部』花岸美那子さんと、
『超高校級の図書委員』長月舞子さんが、
ワイヤーにくくりつけられ、互いの持っているレイピアを心臓に刺して……変わり果てていた。
「いやっ…いやあああああああっ!!!!!」
「安西さん、しっかりして!!」
「ももっち…殺されちゃうの…?」
『死体が発見されました!死体が発見されました!一定時間の自由時間の後、学級裁判を行います!
もう一度、お伝えします!死体が発見されました!死体が発見されました!』
二人の死体は、皮肉をいうようだけど…。さながら、人形劇を見ているようだった。
<死亡者>
「超高校級の弓道部」花岸美那子
ダンスホールで発見。
長月が持っていたレイピアでの刺殺だと思われる。
「超高校級の図書委員」長月舞子
ダンスホールで発見。
花岸が持っていたレイピアでの刺殺だと思われる。
<生き残りメンバー> 残り:11人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級のディーラー」シオン・スカーレット
「超高校級のマジシャン」佐藤かがみ
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のダンサー」豊島未来
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙
chapter03 〜We are so Zetsubou〜 (非)日常編 END