二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter03 非日常編 ( No.118 )
- 日時: 2013/11/23 15:21
- 名前: ランスロット (ID: .MCs8sIl)
死体アナウンスの直後、生き残っているメンバーが続々とホールへと集まってくる。
そして、花岸さんと長月さんの死体を見ては、それぞれに反応を見せていた。
…安西さんは事の重大さに気付き、崩れ落ちる。彼女は、「自分が幕を開けなければ花岸ちゃん達は死ななかった」と言い続けている。
でも、何かが違う…。犯人は安西さんではない気がする。
「…学級裁判…始めようよ…。私が2人を殺したんだよ…!」
「決めつけるのはまだ早いわ。安西さんは犯人じゃないと、私は思う」
「でも…!!」
「とにかく、捜査をしましょう。安西さんに今回捜査は任せないわ。羽柴くんと一緒にここの見張りを頼めるかしら」
「う…うん…」
泣きつつ、彼女は頷いてくれた。…これでしばらくは安心だろう。
その後、またもやタイミングを見計らったように登場したモノクマから事件のファイルを貰い、捜査を始める。
今回の見張りは、羽柴くんと安西さんが担当することになった。
〜サンノマチ ダンスホール 内 花岸、長月ノ死体 前〜
「まずは、モノクマファイルね」
私は慣れてしまった手つきで、モノクマファイルを開く。
今回も、被害者の情報が簡単にまとめられていた。
被害者:「超高校級の弓道部」花岸美那子
「超高校級の図書委員」長月舞子
死因:不明
死亡時刻:不明
死体発見場所:サンノマチ内「ダンスホール」 ステージ上
備考:死体はお互いにお互いのレイピアを刺している。
「…死因が『不明』?レイピアでの殺人じゃないってこと…?」
『レイピア』2人の胸に刺さっている。今回の凶器?
「とりあえず、検死が終わるまで調べてみましょう」
ホールの中を歩いて、何かないか調べてみる。
…だが、倉庫からレイピアが無くなっていること以外は、前に私達が調べたものとなんの変わりもなかった。
そして、今回の死体の配置…。
普通の人なら、そんなことはしない。恐らく、モノクマに何かを吹き込まれた人…。
『真実を知った人』が犯人の可能性がある。
『犯人の候補』死体の配置から、モノクマに何かを吹き込まれ犯罪を起こした可能性がある。
…改めて、ワイヤーから外された2人の死体を見てみる。
レイピアも羽柴くんが取ってくれたようだけど…。あまりにも酷すぎた。
2人には、抵抗した跡はなさそうね。
ちょうどそう思っていたとき、羽柴くんの検死が終わったとの報告を受けた。
「よォ。また妙なモン見つけちまッた」
「何?」
「死体…なんだがよォ。レイピアでの刺し傷の他に、別の刺し傷を見つけた。恐らく、レイピアで刺される前に何かで刺されたんだろうなァ」
「…と、いうことは…。『安西さんがボタンを押して幕を上げる前に、2人は殺されていた可能性がある』ってことね?」
「そう考えるのが自然ッてモンなんじャねェか?」
『羽柴の検死結果』レイピアの刺し傷の他、何かの刃物で刺された跡があった。凶器はレイピアではない可能性がある。
「そういえば…」
「どうした?」
「2人にくくりつけられていたワイヤー、どうやってつけたのかしら…」
「マルチショップから持ッてきた奴を、ここで犯人はつけたんだろうなァ」
「…羽柴くん、ちょっと協力してもらえないかしら。申し訳ないんだけど、もう一度2人をワイヤーでくくってほしいの。死体発見時みたいに」
「…何か考えがあるんだな。分かッた、やッてみるぜェ」
羽柴くんはそう言ってから、二人をワイヤーでくくりつけ、幕に取り付ける。
…そうか。最初は…。2人とも、地面にいたのか。
何かに気付いた私は、その考えが正しいかどうか確かめるために、放送室へと足を急ぐ。そして、ボタンを素早く押した。
幕が開いて行くと同時にワイヤーは引っ張られていき、幕が完全に上がり切った時には、2人は死体発見時と同じような位置にぶら下がっていた。
「やっぱり…。犯人は幕とボタンを利用して、このボタンを押した人を犯人に仕立て上げようとしていたんだわ」
『ワイヤー』2人をくくりつけていたワイヤー。幕が上がるとワイヤーも動くようにセッティングしてあった。
『放送室のボタン』幕を上げ下げするボタン。ワイヤーの動きから、ボタンを押した人物を犯人にしようとしていた可能性がある。
「…安西さんは犯人じゃない、って可能性が高まったわね…」
「…私…ごめんなさい…長月ちゃん…!!」
「でも、安西を安心させるにはまだ証拠が足りねェんじゃねェか?」
「えぇ…。今からみんなに話を聞いてみるわ。羽柴くん、安西さんのこと、よろしくね」
「あぁ。任せとけ」
不安がる安西さんを羽柴くんに任せ、私はダンスホールを出る。
…安西さんが犯人じゃない証拠を、一刻も早く見つけなくては。そして、真犯人を…見つけるのよ。
- chapter03 非日常編 ( No.119 )
- 日時: 2013/11/24 21:27
- 名前: ランスロット (ID: ol9itQdY)
〜ホテル内 食堂〜
食堂に立ち寄ってみると、星野くんと秦野くんが何やら話をしていた。…珍しい組み合わせね。
「2人とも、なにかいい情報は得れた?」
「うーん…犯人に繋がりそうな手掛かりはなかったよ」
「……あの……レイピアが……凶器……なんだろ……?」
どうやら、2人ともあのレイピアが凶器だと思っているらしい。
私はダンスホールで羽柴くんから得た情報を、事細かに2人に話した。
…すると星野くんが「そういえば」と声を漏らす。
「朝食会が終わった後厨房に飲み物を取りに行ったんだよ。その時ふと調理台の方を見たんだけど、包丁が1本無くなっていたんだ」
「包丁が…?」
「うん。昨日はあったから、今日の朝以降に無くなったと考えるのが普通だよね」
「……モニャンが……持ち去った……とか……」
「それはありませんよ。私は包丁を持ち去るなんてことはしません」
声の方向を向いてみると、そこにはモニャンがやって来ていた。どうやら、昼食の皿洗いに来ていたようだ。
…モニャンの言っていることが嘘でなければ、包丁は犯人が持ち去ったことになる。
『星野の証言』朝食会後、包丁が一本なくなっていた。犯人が持ち去った可能性が高い。
「……だったら……これも……伝えておいた方が……いいかな……」
「秦野くん?」
秦野くんは何かを思い出したように私に向かって喋り始めた。
「……朝食会が終わった後……花岸と……豊島が……話し合っているのを……見かけたんだ……。……そこには……神埼と……白戸も……残っていたけど……2人は……別々に……行動していた……」
「…今回の事件と、何か関係性がありそうね?」
「……分からない……。……でも……覚えておいて……」
『秦野の証言』朝食会後、花岸と豊島が何かを話し合っていた。神埼と白戸もその場にいたが、別々に行動していた。
…そろそろ、神崎くんや冥雅くんにも話を聞いておいたほうがいいわね。
私は彼らのいる場所を、星野くん達に聞いてみた。
「神崎くんか冥雅くんの場所、知らないかな?」
「神崎くんならモノクマを探しに行ったよ。『死体アナウンス』について聞きたいことがあるんだって。モノクマは…今の時間なら、シアタールームで映画を見ているんじゃないかなぁ」
「分かった。ありがとう」
「……学級裁判……乗り越えような……」
星野くんと秦野くん、それぞれと互いに顔を見合わせうなずいた後、私はシアタールームへと急ぐ。
…神崎くんが聞きたいこと…。一体なんなのかしら。
- chapter03 非日常編 ( No.120 )
- 日時: 2013/11/25 18:16
- 名前: ランスロット (ID: tXtJgBFl)
〜ホテル内 シアタールーム〜
「…神崎くん」
「神谷。どうした?」
「おやおやぁ?恋人のお出ましですかい?」
「それは冥雅に言ってやってくれ…」
シアタールームに行ってみると、星野くんの言った通りそこにはモノクマと神崎くんがいた。モノクマはゆったりと椅子に座って映画(恐らく白戸さんの作品だろう…)を見ており、神崎くんはそれを何も言わずに見ていた。
私は神崎くんに近付き、疑問に持っていたことをぶつけてみる。
「神崎くん、さっき星野くんに聞いたんだけど…。モノクマに聞きたいことって?」
「あぁ。『死体アナウンス』のことだよ。安西が犯人だと仮定した時、あの場にいたのは…確か、神谷と佐藤が一緒にいた。
死体アナウンスは『死体を3人以上の人間が見た時』発生されるんだったよな」
「えぇ」
そう言うと、彼は真剣な表情になって私に語り始める。
「その死体を見た人間が『クロ』だった場合、『そいつはカウントされる』のかな、って思ってさ。こいつを探していたんだ」
「それで…何がわかるの?」
「今回一番疑われているのは、幕を上げるボタンを押した安西なんだろ?
もし、死体を見た人間にクロがカウントされない場合、『安西は必然的にクロ候補から外れる』。同じように、佐藤と神谷もな」
「…神崎くん…」
「俺も、今回の犯人は安西じゃないと思うんだ。今回殺されたのが長月だけならともかく、『超高校級の弓道部』である花岸も殺されてるんだ。いくら油断していたとはいえ、黙ってワイヤーに縛られるような意識は持ってないはずだ」
「…それで、モノクマ?神崎くんの疑問には答えたの?」
神崎くんの推理を聞いた後、私はモノクマへを視線を移す。モノクマは一息ため息をついた後、のらりくらりとした口調でこう答えた。
「はいはい、その答えですがッ…。
なんとっ!!『クロは死体発見のアナウンスの人数に含まれません』!!
だから、安西さんは犯人じゃないよ〜」
その言葉を聞いた瞬間、私の中に何か光るものが現れたような気がした。安西さんが犯人ではない…絶対的な証拠を手に入れたのだ。
モノクマは人一倍ルールにうるさい。だから、嘘をつくことは絶対にない(と私が思っているだけかもしれないが…)。
『死体アナウンス』クロは死体を発見した人数に含まれない。
「…分かった。ありがとな、モノクマ」
「うぷぷ、オマエラを惑わすことはあってもボクは嘘が大嫌いなので、嘘は言わないよ〜!!
オマエラの学級裁判が楽しみ、楽しみ♪」
「神谷。もう一つ確認したいことがある。一緒にゴミ捨て場まで来てほしいんだ」
「…え?」
「凶器だよ。恐らく犯人は普通の状態じゃない。恐らく、凶器がどこかにそのままの状態で置かれている可能性が高い」
「…で、なんでゴミ捨て場なの?」
「そこが一番凶器が見つからないと踏んだ。普段はモニャンが管理しているから誰も近づかないと俺は思ってる。
…ダメか?」
ダメなもんですか。神崎くんは学級裁判でも、日常でもかなり助けてもらっている。
彼の選択は、いつも正しい方向を向いている。私はそう感じた。
私は「もちろん、付き合うわ」と答え、モノクマの方を一瞬見てからシアタールームを出て行った。
もし、ゴミ捨て場に凶器があるのだとしたら…。犯人が安西さんではないという根拠が出来上がることになる。
…でも、どうして犯人はあんな手口を使ったのかしら…。