二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter03 非日常編 ( No.122 )
- 日時: 2013/11/27 21:16
- 名前: ランスロット (ID: ZpTcs73J)
〜イチノマチ内 ゴミ捨て場〜
「…本当にここにあるのかしら…」
「探してみなけりゃ分からないさ。さ、行こう」
神崎くんの提案だから乗ってみたけど、本当にゴミ捨て場に凶器があるのかしら…。
いくら犯人が普通の状態じゃないとはいっても…。裁判に不利になる証拠を残したりはしないだろう。
もし本当に凶器がここにあるのだとしたら…。犯人は私が思っている以上に狂ってしまった可能性が高い。そうではないことは願いたいわ…。
こうして、しばらくゴミ捨て場を見て回っていた時である。神崎くんがふと、声を漏らした。
…自信たっぷりな余裕な音色だったことから、目的のものが見つかったのかしら…。
「あった。恐らくこれが凶器だろう」
そう言って彼は私に「凶器」を見せてくれた。凶器は…包丁?
包丁といえば、星野くんが見つけたあの「なくなった包丁」なのかしら…。
それに、包丁には血がべっとりついている。手を怪我しただけならこんなにつかないし、羽柴くんの検死の条件にも合う。
『包丁』ゴミ捨て場で発見。花岸、長月を殺した真の凶器。
「…これの血がついた時間が分かれば、長月と花岸のどちらが『先に殺された』のかが分かるかもしれないな。早速羽柴のところまで持って行こう」
「でも羽柴くん、安西さんを励ますので精一杯かもしれない。無理に仕事を押し付けちゃダメだと思うわ」
「…そっか。じゃあどうすれば…」
「どうかしましたか?」
神崎くんとは明らかに違う、高い声がしたのでそれに振り向いてみる。そこには、不思議そうに私達を見つめるモニャンがいた。
「どうしたの?」
「いえ、その包丁ですが…。凶器に使われてしまったのですか」
「あぁ。羽柴に血のついた時間を調べてもらおうとしたんだけど、神谷に止められてさ。困ってたんだ」
「…それなら、私でもできそうですね」
「何?!」
…モニャンも検死ができるの…?意外だわ…。
「いえ、検死は出来ませんが…。血が誰のものか、くらいなら分かりますよ」
「…本当に、分かるんだな…」
「えぇ。これを使うんです」
そう言うと、モニャンは懐から怪しい液体の入った小瓶を差し出す。…というか、どこから出してきてるのかしら。
…違う違う、今はそんなことを考えている暇はない。モニャンにこの血液の正体を調べてもらわないと。
私は何も言わずに、モニャンに包丁を差し出した。
「…………」
「……わぁ」
「……すげぇ」
思わず、驚嘆のため息が出る。
モニャンが包丁に液体を一滴たらすと、血がどんどん変色していく。
…最終的には、青い血の上に紫色の血が被さっている、という光景になった。
「この液体は、見ていただいた通り血に液体が触れると血が変色する効果を持っています。
A型色素があると紫、B型色素があると青、両方の色素があるとピンク、色素がないと色は変わりません。
…つまり、B型の方が先に殺された、ということでしょうね」
「B型が先…か。神谷、殺された2人のうち、どっちがB型だった?」
B型の人…?確か、花岸さんはA型のはず。じゃあ…
「…先に殺されたのは、長月さんってことね…」
「あぁ。…これで分かった。犯人が、花岸と共犯関係にあったことがさ」
「…え?」
『殺された順番』血の重なりから、先に殺されたのは長月。
ん?神崎くん、今「犯人と花岸さんは共犯関係」だって言わなかった?でも…共犯関係にあって得をすることなんかないのに…。
確かに今日の朝の花岸さんの様子はおかしかった。でも、何よりも殺し合いを止めようとしていた花岸さんが…。何よりも仲間を大切にしていた花岸さんが…。
殺人に加担していたなんて、信じられる光景ではなかった。
「…どういうこと?」
「それは学級裁判で話すよ。今ここで話せばモノクマに聞かれる恐れがある」
「分かったわ」
私の胸の中に疑問が残ったまま、神崎くんとの会話を終える。
と、その時だった。
「神谷ーーー!!!神崎ーーー!!!」
向こうから一人の人影が。声からして、冥雅くんだろう。
…一体なんなのかしら?
「モノクマのアナウンス聞いてなかったのかよ!!もう学級裁判始まるぞ?!」
「えぇっ?!」
「捜査に集中しすぎてアナウンスが聞こえてなかったらしいな…」
「…すみません、私が捜査に加担したばかりに」
「いや、モニャンのおかげで事件の真相が暴けそうだ。感謝してるよ」
「…必ず、生きて戻ってきてくださいませね」
「出来れば犯人も一緒に戻ってほしいけど…。無理なのよね」
「そうです、ね…。ですが、皆様の無事をお祈り申し上げます」
そう言ってモニャンは軽くお辞儀をする。
…今回はやけに早いアナウンスね…。と思ったけど、冥雅くんに聞いた限りだとそうでもないらしい。
私はモニャンにお礼を言って、いつもの赤い扉に向かって走り始めた。
…これで、3回目。
一体いつまで、こんな悲しいことを続けなければならないのかしら…。