二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter03 学級裁判編 ( No.131 )
日時: 2013/12/05 19:13
名前: ランスロット (ID: lerfPl9x)

「議論の結果が出たみたいですね。では投票ターイム!!
 同じようにお手元のスイッチで『犯人だと思う人物』に投票してくださいねーっ!!」
「間違えんなよ?犯人は俺なんだからさぁ」


…どうしてだろう。目の前に2人を殺した張本人がいる。
普通なら、立花さんのように泣きわめくのが普通だろう。これから、死ぬのだから。
でも、どうして…。豊島くんは余裕そうに、むしろ喜んでいるように感じるのだろう…。


「さてさて、投票の結果、クロとなるのはいったい誰なのでしょうか!!!
 その答えは、正解か、不正解かーーーーーーーーーーー?!」


これを見るのも三度目だ。モノクマの席の真下で、カジノのスロットのようなものが回り始める。
……スロットは、豊島未来くんの顔で、全て、止まった。
それと同時に、スロットのファンファーレが鳴り響き、紙吹雪がスロットに舞う。
それと同時に、モノクマと豊島くんはニィ、と笑い滑稽に笑い始める。


「今回も見事!大正解だよーーーーーーーーーーーー!!!!!!
 『超高校級の弓道部』花岸美那子さんとの共犯を裏切り、『超高校級の図書委員』長月舞子さん共々殺したのは、豊島未来くんでしたーーーーーーーーーーーー!!!!
 えらいえらい、よく犯人を見つけ出せたね!!!」
「…豊島くん…。どうして…?」


私は笑みを零さない豊島くんに向かって、冷静を装いそう告げる。
豊島くん、自分がこれから処刑されるのに…どうしてこんなにも笑っていられるのだろう。
普段の笑みとは違う、狂気を帯びた。そんな笑い。
私にはそう感じた。


「なんでって?」
「…えぇ。どうして2人も殺したの?」
「そんなの…あるわけねぇだろ?」
「…はぁ?!」


豊島くんの殺人の動機が、ない…?思わず一部の仲間が彼に呆れの声を返す。
彼はその反応を見て、満足そうにこう続けた。


「真実を知ったときさぁ…。物凄く…絶望的な気分に陥ったんだよ。それで…ここから出ることにも興味がなくなって…。もう、『どうでもよく』なっちまって…。花岸も同じみたいだったぜぇ?だから、他人がどーなったってどうでもよかったんだよ」
「じゃあ…お前は…」
「最初は花岸にもここに立ってもらってさ、花岸の絶望した顔も見たいなーって思ったんだ。だけどさぁ…。それじゃあ、『ツマラネェ』だろ…?
 だから、長月を殺したところを殺してやったよ!!!あっははははははは!!!!」


…今の豊島くんは、絶望に飲まれている。
最早、『超高校級のダンサー』などという肩書では彼を表せなくなってしまったのだろう。
今の彼に似合うのは…。そう。









『超高校級の絶望』









そんな、思いたくもない言葉だった。


「だったら…なんで長月まで殺したんだよ。あいつは関係ないだろ!!
 花岸が連れてきて殺されただけなら…。巻き込まれただけじゃないか…!!」


豊島くんの動機に納得できない神崎くんが、彼に反論を翻す。だけど、豊島くんは笑顔でこう返した。


「長月のことはしょうがないだろ?誰か連れてきて殺せって花岸に言って、連れてきたのが長月なんだから。
 俺もびっくりしたけどさ。まぁ結果オーライなんじゃね?」
「みらいん、雰囲気変わっちゃったね〜☆」


もう彼に何を言っても駄目だろう。彼は最早おしおきすらも「つまらないもの」として認識してしまっている。
もう…元の豊島くんには…戻らないのね。


「モノクマ〜。こいつらと話してるのも飽きちゃった。だからさぁ、はやくやってくんね?『おしおき』」
「おやぁ?豊島クンから指名が来るとは嬉しいなぁ。それじゃあ、張り切っていくよ!!」
「豊島…!!」
「あぁ、テメーら。ひとつ言っておくぜ。『希望は絶望に飲み込まれる』」
「『超高校級のダンサー』である、豊島未来クンのために、スペシャルなおしおきを用意させていただきました!!!
 ではでは進行も押してるので、早速参りましょうっ!!!おっしおっきタ〜イム!!!!」


モノクマはいつもよりハイテンションに、赤いスイッチをハンマーで叩く。
モニターには、ドット絵の豊島くんがモノクマに引きずられている映像が映った。




『トヨシマくんが クロに きまりました。 おしおきを かいしします。』




彼は嬉しそうにしながらも、私達の方に向き直る。


「一つ言い忘れてたよ。神谷」


「何かしら」


「…お前らと過ごした時間、楽しかったぜ」



そう言い残して、豊島くんは鎖に引きずられていった。
…最期の言葉。一瞬だけだけど、元の豊島くんに戻ったような…。そんな気がした。