二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter03 学級裁判編 ( No.138 )
日時: 2013/12/07 21:07
名前: ランスロット (ID: F.0tKRfu)

「…体が…バラバラになっちゃった…!!」
「生への冒涜だぜェ…!!」


…身体を切り刻まれていた最中、豊島くんは狂気っぽく笑っていた。
その光景をずっと見ていて、私はなんともいえない気持ちになる。大好きなもので、身体をバラバラにされて、それでも踊り、彼は死んでいった。
…狂気。それ以外の言葉で表せられる気がしなかった。


「あっははははははは!!!お望み通り絶望させてやったよ!!!ダンスしながら身体をバラバラにされて殺されるなんて、なんて絶望的なシチュエーションなんでしょーーーーーーーーー!!!!!!!
 久々にボクも楽しかったよ!!!!」
「バラバラにして殺すなんて…いくらなんでも酷いよ!!」
「はにゃ?豊島クンのご希望通りに、絶望的に殺してあげたんだよ?」


モノクマは星野くんの疑問に不思議そうに答える。…これが、このやり方が。本当に豊島くんが望んでいた結果だったのだとしたら…。
…いえ、考えるのはやめましょう。考えれば考えるほど精神が狂っていく感じが増すから。
私が考えるのをやめたと同時に、モノクマはこんなことを口にした。


「あ、そうだ〜。学級裁判の中で『ボクに真実を教えてもらった人』っていたよね?」
「…それがどうしたの?」
「殺人が起こる前ボクが言ったこと覚えてる?」
「…『真実を伝える』ってことよね。それがどうかしたのかしら」
「何人に伝えたかボクちゃんと言ったはずなんだけど〜」
「…まさか…!!」


その言葉を聞いた瞬間、神崎くんが表情を変える。
まるで、何か危険を察知したような、真剣な表情へと。


「…モノクマ。お前さんは…俺達の中にまだ『真実を知った奴』がいる…。そう言いたいんだな?」
「ちょっと待ってよ!!真実を知ったのは、豊島だけじゃないの?!」
「冥雅。モノクマは動機を提示するために俺達を集めた時、何て言った?」
「……あっ!!」


神崎くんの言葉に、私も気付く。『真実を知った』人は豊島くんだけじゃない…。
モノクマが言っていたのは、確か『3人に真実を伝える』ということ。一人は今回の殺人の犯人だった豊島くん。豊島くんの話から、2人目は彼と共犯関係にあり、殺されてしまった花岸さん。
モノクマのこのじらしから、長月さんには真実は話してなさそうね。と、いうことは…。


「…この中にまだ真実を知っている人がいる…!!」
「だいせいかいー!!ねぇ、それが誰だか教えてほしい?」
「…豊島くんみたいに狂ってなければ、ですが」
「うぷぷ、狂ってるかどうかは本人次第だけど…知りたいなら教えてあげるよ!それはね…」


モノクマが残りの1人を答えようとした、その瞬間。







『待って待って、自分で言うから言わないでよ〜!!』






…真実を、知ってしまった本人らしき声が、学級裁判場に響いた。
その声を私はよく知っていた。私は、思わずその『声』の方向を向く。
そこにいたのは…。


「あたしだよあたし、モノクマに真実を教えられたの!!」
















笑顔で手をあげる、佐藤さんだった。

chapter03 学級裁判編 ( No.139 )
日時: 2013/12/08 18:57
名前: ランスロット (ID: L7bcLqD7)

元気よく手をあげた佐藤さんを、私は何回も見る。
…何度見ても、そこには出会った当初と変わらない…、いや、少しだけ様子がおかしい佐藤さんがいた。
…それにしても、あっさりと真実を伝えられたことを明かすなんて。これなら…真実を教えてもらえるのかな…。
私は思い切って彼女に聞いてみる。


「ねぇ、佐藤さん。キミはモノクマから何を聞いたの?」
「え?う〜ん…。そうだな〜。『あたし達の他にも、コロシアイを起こした人達がいる』ってことと、『希望は潰えた』ってことかな?」
「…モノクマ。どういうことだよ?」
「あ、あとね〜。あたし達と仲の良かった先輩達の名前も聞いちゃった!!多分みらいんとみなみなも聞いてるはずなんだけど、そこは全員違う人だったと思うの〜」


『私達の他にもコロシアイに巻き込まれた生徒がいる』…。これで、確信が持てた。
恐らく、あのパソコンに入っていた画像データは『過去のコロシアイ』のもの。モノクマ…こんな残酷なことを、期生を超えてずっとやっていたってことなのね…。
…でも、一つ引っかかることがある。佐藤さんが言っていた、『希望は潰えた』という言葉と『仲の良かった先輩』の存在。
…ということは、過去に私達が1年間、希望ヶ峰で過ごしていることも真実だということになる。


「ボクはただ真実を教えただけさ。勝手に絶望したのは花岸さんや豊島クンだよ」
「誘導した可能性はまだあるよっ!!」
「はにゃ?だったらここにいる佐藤さんもおかしくなっているはずだよね?」
「…佐藤さん…。私達に協力してくれないかしら。私達の過去を暴くことが、脱出の手がかりになるかもしれない」


あっさり中身を告げた彼女に、そう提案してみる。
しかし、彼女はすぐに首を横に振って、残酷な言葉を私達に突き付けてくる。


「やだ☆」
「なっ…てめェ、何言ってんのか分かッてんのかよォ?!」
「うんっ♪だってさぁ、くるみんがいない生活なんてあたしもう嫌だもん♪でも安心してね〜?『あたしはみらいんやみなみなみたいに分かりやすく人は殺さないからさっ♪』」
「…なんですって?!」
「佐藤さん…!!」


…代わりに返ってきたのは、殺人予告をほめのかす言葉。真実にしろ、真実でないにしろ。私達に恐怖と不安を植え付けるのには十分すぎる言葉だった。
真実がこんなにも人を変えてしまうなんて…。知りたいと思っていたけど…。今はそんなことを思っていられる状況じゃなかった。


「まったくもぅ、佐藤さん駄目でしょー?裁判場での殺人はボクが許しませんっ!」
「えっへへ〜、ごめんねモノクマ♪それじゃ〜、かえろっか?」
「……佐藤……」


そう言って彼女は我先にとエレベーターに乗ってホテルへと帰ってしまった。私達に『いつ殺されるのか分からない』という不安を残して…。
私は、彼女が帰った後も、しばらくその場を動くことができなかった。


「…神谷さん。いつまでもここにいても…。モニャンも心配してるよ?」


ふと、星野くんの声が聞こえる。私がその声に気付いて周りを見回してみると、彼と神崎くん、白戸さん以外のメンバーは既に裁判場を後にしていた。


「佐藤さん…。人を殺すって言ったよね、あの時」
「あぁ。大々的に、な。いつ仕掛けてくるか分からないから余計に性質が悪い…」
「怖いよ…。私もう嫌だよ…。これ以上人がいなくなるなんて…」


…佐藤さんは思いを変えてくれることはなさそうだ。となると…。今生き残っている誰かが犠牲になるか、彼女を殺すことで犠牲になるか。…私達に残された選択肢は…。それしかないのかな…。
とにかく、彼女が校則違反を起こして殺されるようなヘマはしないという課程を立てて、出来るだけ集団行動を心がけなきゃ。
…今まで以上に、ね。


「神谷。何か思ってることあるんだろうけどさ、裁判場からそろそろ出ようぜ。…俺も後で話したいことがあるから」


神崎くんの言葉で我に戻り、私はエレベーターに乗る。
空間が…とても広く感じる。


いつかは…こんな人数で学級裁判を行わなくてはいけない日が…来るのだろうか。
それだけは絶対に避けなければいけない。
一人でも多く、この街から…脱出するのよ。
そして、失った1年間の過去も…見つけ出す。

chapter03 学級裁判編 ( No.140 )
日時: 2013/12/09 18:07
名前: ランスロット (ID: R7lCf21o)

…ホテルに戻って夕食を食べたんだけど、結局佐藤さんが食堂に現れることはなかった。ただ私達と居たくないだけなのか、それとも今この瞬間殺人計画を練っているのか…。どちらにしろ、普通ではない。
佐藤さんは変わってしまった。雨宮さんの死をきっかけに、精神が崩れ落ちてしまい、モノクマによって狂気に染まってしまった。
…雨宮さんに、本当に申し訳が立たない。彼女と約束したのに。「佐藤さんを守る」って。約束したのに。
…そんなことを思っていたせいか、神崎くんが私を呼ぶ声にしばらく気づかなかった。


「神谷」
「ひゃあっ?!」


…驚いて後ろを振り返ってみると、そこには呆れ顔の神崎くんがいた。どうやら、数分前から近くにいたらしい。
そういえば、彼が私に話したいことがあるって言っていたわね。もしかして…そのことなのかな。


「あのさ。モニャンと冥雅も連れて話がしたいんだ。更衣室まで来てくれないかな」
「…?ここじゃ駄目なの?」


私が聞き返すと、彼は黙ってこくり、と1回頷く。監視カメラがないところを話し合いに選ぶなんて、モノクマに知られたくないことなのだろうか。
私は分かった、と一言だけ返し、更衣室へと足を運んだ。


…しばらくして。


「酷いじゃないか神崎!!シオンに淹れてもらったハーブティーが台無しだよ!」
「悪かったよ…。後でまた淹れてもらえばいいだろ」
「神崎の鬼〜!!悪魔〜!!」
「まぁまぁ、後で淹れてあげますから」


更衣室に現れた3人は、まるでコントでもしているような雰囲気だった。
…これ、どこからつっこめばいいのかしら。
神崎くんはまだぐずっている冥雅くんを床に座らせ、話を始める。


「…とにかく、重要なことが分かったから知らせに来たんだ」
「なぜ、私も入ってのお話なのでしょうか」
「モニャンも入らないと駄目なんだ」


そう言って、神崎くんは真剣な表情をする。そして、こう言った。


「…思い出したんだ。過去のこと…」
「えっ……?それって…」


過去…?それって、失われたあの『1年間のこと』…?思わず私はそう聞き返す。


「いや、そうじゃない。実は、俺も神谷と同じようにここに閉じ込められてから変な夢を見るようになったんだ。
 『白い学ラン』の男子中学生に抱えられて、炎の中を逃げる夢。それが俺の夢の始まりだった」
「それが…今回思い出されたことと何か関係があるのですか?」
「…そうだ。それで、学級裁判が終わった後に、必ずその夢を見る。シチュエーションは違ったが、俺は毎回そいつに助けられていた。そしていつも最後には、ハンマーで殴られて死ぬ。…そんな怖い夢だ」
「…神崎くん…」
「それで、モノクマから『失った1年間』の記憶の話を聞いたとき閃いた。もしかして、あの夢は俺の失っている記憶に関係しているのではないか、と…。
 …その考えは図星だったよ。佐藤から少し真実が出た時、思い出した。歯抜けになっていたピースがはまったような、そんな感覚だった」
「その歯抜けになったピースって?!」


冥雅くんが早く続きを知りたいと催促する。
神崎くんは、一旦深呼吸をして私達にこう告げた。








「恐らく…。モノクマが奪ったのは『学園生活』の記憶だけじゃない。『希望ヶ峰学園関係者』の記憶も一緒に奪っていると思う」
「学園生活の…記憶だけじゃない…?」
「…………」
「神谷も感じないか…?今まで過ごしてきた記憶に、希望ヶ峰に関わっている人間がいるのなら…。とてつもない『違和感』をさ」


…違和感。私は神崎くんに言われたことを意識して、自分の過去の記憶を駆け巡っていく。





…普通に小学校を卒業して。


…普通に中学校生活を満喫して。


…家族と世界中を旅して。


…知識をいっぱい身に着けて。


…そして、今こうして閉じ込められている。


…なにも違和感はない、はずだった。


「…どうして…?」


記憶の中に、何かがぽっかり空いているような。そんな気がする。
誰なの。私の違和感の正体は…誰なの…?




『春子。僕は世界一に執事になって、必ず戻ってくる。だから、———と一緒に待ってて。…大丈夫、お兄ちゃんは死なないから』




『春子。貴様が望むものはなんだ?…お前は生涯の特異点。俺様の心を開いてくれた、鍵なんだよ…』





…突然聞こえてくる謎の声。
その後、冥雅くんの声で現実に引き戻されるまで、私はその声の正体をずっと、ずっと…







追いかけていたんだ…。








<死亡者>
「超高校級の弓道部」花岸美那子
豊島未来によって殺害される。
厨房から持ってきた包丁による刺殺。


「超高校級の図書委員」長月舞子
花岸美那子によって殺害される。
厨房から持ってきた包丁による刺殺。


「超高校級のダンサー」豊島未來
3回目の学級裁判のおしおきによる処刑。
モノクマに全身を切り刻まれ死亡。



<生き残りメンバー> 残り:10人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級のディーラー」シオン・スカーレット
「超高校級のマジシャン」佐藤かがみ
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙



chapter03 〜We are so Zetsubou〜 非日常編/学級裁判編 END