二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 ( No.150 )
日時: 2013/12/15 18:15
名前: ランスロット (ID: 5p/ciDZ4)

新しい街。一言でいうならば、「冬」。辺り一面が雪で覆われており、私の目に見える全ての景色が白く染まっている。
…そう。まるで、カラフルな街に白い絵の具を塗りたくったかのような、そんな感触を感じた。
相変わらず、場違いなモノクマオブジェが大量に存在しているのは否めないけど…。


「今まで調べた街より、一回り小さそうだよね。ここ」
「雪を降らす面積を減らしたいのでしょうか?しかし…なぜここだけに雪が降っているのか…。僕には見当もつきません」
「ここを作った奴の趣味なんだろうな…。もしくは、『冬』生まれだから雪景色を見たかった…とか?」


確かに、雪がこの街だけに降っているのは不自然である。…だけど、それは大して重要ではないように感じる。まずは、歩いてここにどんなものがあるのか、調べなくてはならない。
私はそれを3人に伝え、街の探索を始めた。
しばらく歩いていると、カチコチと、秒針を打つような音が耳に入ってきた。
音の方向を向いてみると、そこには大きな時計が立っていた。
だけど…音はしているものの、その時計には「針」だけがすっぽり抜けていた。


「時計…みたいだけど…。針だけが取られているみたいだね」
「今何時かくらい、知らせてくれたっていいのに…」
「黒幕の思惑なんだろ、きっと…」
「得体のしれない黒幕…。今、何を考えているのでしょう…」


…記憶のことですっ飛んでいたけど、私達をここに閉じ込めたモノクマを操っている『黒幕』。そいつを暴かないと、ここから出ることは出来ない…、いや、黒幕がそれを許さないだろう。
いずれやらなくてはならない…が、今は考える時ではないだろう。
とりあえず、街を引き続き歩いてみましょう。
次に目についたのは、一目見ただけで「和」だと分かるような屋敷。…でも、ここに人が住んでいたとは思えないくらい、寂れていた。


「何、ここ…?」
「何かの屋敷のようですが…。寂れていて中に入れそうにありませんね」
「いや、そうでもなさそうだ」


神崎くんがある一点を指さす。そこには、まるでわざと開けたような、人が入れるような大きな穴があった。
…前に住んでいた人が開けたのかな。それとも…


「重要なモノの匂いがプンプンするよ…!神谷、入ってみようよ!」
「元々そのつもりだったし…。いいわ、入りましょう」


私達はその穴から屋敷の中に入ってみる。
屋敷は東京ドームの半分ほどの大きさで、沢山の畳張りの部屋が見て取れた。うーん…『超高校級の茶道部』の称号を持った生徒でもいたのかしら…。
とりあえず、2人ずつに分かれて探索することになった。冥雅くんが私から離れたくないと駄々をこね始め、結局私と冥雅くん、神崎くんとシオンくんのペアで行動することになった。
しばらく歩いていると、とある部屋のショーケースの中の物に目が付き、立ち止まる。


「どうしたの?神谷」
「…ねぇ。このストール、どこかで見たことない?」


ショーケースに飾ってあったもの。『紫色のストール』『深緑のリボン』『赤い腕章』『深緑のジャケット』など、どこか見覚えがあるようなものばかりだった。
…この紫色のストール…。何か、私に訴えかけている気がする。きっと、記憶の穴に関係するものだろうが…。ダメだ、何も思い出せない。
考えていると、冥雅くんがふとこう漏らした。


「あっ!これって…もしかして、あの画像の男の人が身に着けてたやつじゃないかな!」
「動物に轢かれた…あの?」
「うん。深緑のリボンは、金髪の女の人が着けてたし…。腕章とジャケットは写真館の血まみれの人達が着けてた!」
「ということは、これらは全部『希望ヶ峰学園の生徒の私物』ってことになるのかしら…」
「そう…なるんじゃないかな。俺には記憶とかないし、よく分からないけど」


記憶がない…?その言葉に何か引っ掛かりを覚え、冥雅くんに尋ねてみる。
すると、彼は俯きつつこう返した。


「俺…実はさ、家族以外の記憶…ないんだよね。学校に行った記憶も、友達がいた記憶も全くなくて。だから、モノクマに『1年間をオマエラは共に過ごした』って言われても全然ピンと来なくて…。
 もしかしたら俺、本当は『希望ヶ峰学園の生徒ではない』んじゃないかって思い始めて、さ…」
「そんなことないわよ!希望ヶ峰学園の生徒でなきゃ、ここにはいないはず…」
「本当に…そうなのかな…」


どうやら、冥雅くんはそれを考えたくなくて無理して明るく振舞っていたらしい。『記憶についての心当たりがない』。聞こえはいいが、それは『私達と関わっていない可能性がある』ということを私の頭の中に植え付ける結果となった。
冥雅くんの過去…。何か、この街と繋がっている。そう感じずにはいられなかった。

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 ( No.151 )
日時: 2013/12/16 18:14
名前: ランスロット (ID: 0TdvNrVL)

「…ごめんな、辛気臭い話して。とりあえずさ、ここにあるショーケースのもの撮っていかない?かなり重要そうなモノだし」
「え、えぇ」


そう言って彼はいつもの笑顔に戻り、電子生徒手帳を取出し写真を撮り始めた。
…『自分は希望ヶ峰学園の生徒ではない』かもしれない。モノクマに動機を提示されてから、ずっと彼はそう考えていた。そして、深く考えたくないから、ワザと今まで明るく振舞っていた。
私がもう少し気を付けていれば、彼にこんな辛いことをさせずに済んだのかもしれない。…私は自分を恥じた。


「冥雅くん…。辛くなったら、いつでも私を頼って。そのための仲間でしょ?」


考えた末、私の口から出たのはそんな言葉。…そう勇気づけることしか、考えが行き着かなかった。
それを聞いて、冥雅くんは照れつつ「…うん」と頷いた。
彼の過去に何があったのかはわからない。でも、冥雅くんにどんな過去が待っていたって…。私は…。彼を見捨てたりしない。
…そう自分に改めて言い聞かせていると、ふとメールの着信音がした。
神崎くんからだわ。『調査が終わった。神谷達も終わり次第あの穴に集まってくれ』。…さすが、素早い調査だわ。
それを見た冥雅くんも黙って頷き、私達は急いで屋敷の探索を進めた。
…結局、あのショーケース以外には目ぼしいものはなかったけどね…。


「神谷、冥雅。おかえり。どうだった?」
「過去に学園に住んでいたらしき人達が身に着けていたものを見つけたわ。詳しくは報告会で話すつもり」
「偶然ですね。僕達も同じようなものを見つけたのですよ?」


シオンくんが調査の結果を簡単に話す。どうやら、神崎くん達が調べたとある部屋の中に、『クレイジーダイアモンド』と刺繍が入った黒い長ラン、それから『アリスフラワー』という刺繍が入った薄紫色の長ランを発見したらしい。
…恐らく、これらも希望ヶ峰学園の生徒が来ていたものなのだろう。


「呼び名は当て字だから自信ないけどな…。詳しくは俺達も報告会の時にな」
「分かったわ。とりあえず、残りの建物も探索してみましょう」


そう促し、私達は再び街を歩きだした。
次に目に入ってきたのは…。庭園…?のような敷地。こちらもボロボロで寂れているが、所々はまるで新品のように輝いていた。不自然に。


「なんだろうここ。庭園?」
「『超高校級の令嬢』や、『超高校級の御曹司』なんかが使ってそうな場所ですね」
「何で一部だけピカピカなのかも気になるな。とりあえず撮っておこう」


そう言って神崎くんがパシャリ、とカメラのシャッター音を鳴らす。…今でも誰か使ってるのかな…。使える可能性としたら…黒幕?


「他は特に目につく建物はありませんね。どうしましょう?」
「流石に人工雪でも寒いよ…。早くホテルに戻ろうよ…」
「羽柴くん達からのメールがまだだけど…。そうね。そろそろ潮時みたいだし、戻りましょう」


冥雅くんが体をブルブル震え上がらせながら先陣を切って歩く。私達もそれに続き、ホテルへと戻って行った。






…ヨンノマチを出た瞬間に、羽柴くんからメールが来たのは…みんなには内緒、ね?