二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 ( No.154 )
日時: 2013/12/17 18:25
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: .wPT1L2r)

私達が食堂に戻ってきた時には、既にホテル班の探索組も戻ってきていた。
佐藤さんの姿は…やっぱり見えない。あの状態だし、当然か…。
そう溜息をもらし、私は長テーブルにあった椅子に座る。


「お疲れ様なァ」
「ありがとう。佐藤さんはどうだった…?」
「私が佐藤さんに話を持ちかけたんだけど…。言葉は普段通り、だったかな。部屋に危ないものもなかったし…」
「白戸、凄いなぁ…。殺人予告した奴に話しかけられるなんてさ」
「…言い方は悪いかも…だけど、今までずっと人が殺されてきたから…。もう…怯えていられない…からさ」
「いい意味でも、悪い意味でも…。今までの殺し合いで…。私達の絆は強くなった。だからこそ、彼女を止めないといけない」


私の言葉に、その場にいる全員が黙って頷く。そして、しばらく時間がたってからいつもの報告会は始まった。


「じゃあ僕達ホテル班から方向を始めるね。まず…、4階のロックはまだ解除されてなかったんだ。それから、1階の小会議室、2階の倉庫と放送室のロックが解除されていたよ」
「放送室?モノクマがアナウンスなんかをしてたのなら何故解除したのかしら…」
「……違う……。……放送室……血まみれ……だった……」
「はぁ?!」


放送室が…血まみれ…?!じゃあ、このホテルで過去に誰か殺されたっていうの…?!
考えられる可能性は…。『前に殺し合いをしたという希望ヶ峰学園の生徒』が一番あり得る。その中で、放送室が殺し合いの場所として選ばれてしまった。そういうことなのね…。


「倉庫も何かないかなーと思って探してたんだけどさ、特に重要そうなのは全然なかったんだよね…。モノクマが全部隠しちゃった、とか?」
「それが自然だろうな。…なら、何で街はあんなに重要そうなものをほったらかしてるんだろうな…」
「神崎くん、何か思い当たることでも?」
「…ん?あぁ、ちょっとな」
「俺達の報告は以上だぜェ。神谷達の報告、頼む」
「分かった」


そう言って、神崎くんと冥雅くんに撮ってもらった街の風景の写真を見せてもらう。
屋敷にあった衣類、一部だけピカピカな庭園、針が取れた時計塔。
…みんなはそれを見て、驚きを隠せないようだった。


「屋敷はボロボロで入れなさそうだったんだけど、不自然に開いた穴から中に入ることができたの。これは…その中で見つけたものよ」
「……パソコンの……画像と……同じものが……ある……」
「うん。多分、ここに飾ってあるのは全部『希望ヶ峰学園の生徒』の私物なんだと思う。本当は持ち帰りたかったんだけど、モノクマに何か言われたら嫌だから写真だけ撮って帰ってきたんだ」
「これも、私たちが失った『1年間の記憶』について関係してるのかな?」
「恐らく…な。少なくとも俺は、心当たりがあるものがあったから」


多分、探してみればもっと見つかるだろう…。あの、紫色のストール…。何か、私に関係している…。あの画像の男の人が、私に関係している…。でも、どこで、どんな関係で…?
どうやら写真を見て、私と同じ考えに至った人が何人かいたらしい。
考えを深めていると…ふと、星野くんがこう呟く。


「そういえばさ、この『アリスフラワー』ってのもここに住んでいた人の、なのかな?画像の中には無かったよね?こんな長ラン」
「そうだなぁ…。おしおきもされないで、殺されもしないで生き残った人…なのかな?」


神崎くんとシオンくんが見つけたという『アリスフラワー』と漢字で書かれた刺繍が入った長ラン。確かに、アルターエゴが見つけてくれた画像の中には、そんな長ランなんてなかった。
…どういうことかしら?そう思った瞬間、モニャンが不思議そうに画像を見ながら…こう呟く。


「あの…一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「何かしら?」
「『東雲スミレ』。彼女を、ご存知でしょうか」
「…え?」


『東雲スミレ』?そんな人、聞いたことも見たこともないわ…。
モニャンはどうして、その名前を出したのかしら…。


「この長ランは…恐らく、『東雲スミレ』。彼女のものだと思われます。彼女は『超高校級の女番長』として希望ヶ峰に入学してきた生徒でしたから」
「へぇ…。モニャン、知ってたんだね」
「えぇ…」


冥雅くんが尊敬の眼差しでモニャンを見つめる。そんな彼を見て、彼は俯きつつこう返してきた。


「彼女は…神谷様達と同じ、『79期生の生徒』なのです」


…は?
『東雲スミレ』は、私達と同級生…?


また、新たな謎が…増えた。
でもここで話し合うことじゃない、とのシオンくんの発言で報告会は終わりを告げた。
全員が解散し自由行動を開始する中、私とモニャンだけがその場に残っていた。
『東雲スミレ』…。なぜ彼女の名前が出てきたのか。モニャンに聞いてみようかな…。

chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 ( No.155 )
日時: 2013/12/18 18:13
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: BjWSzvYn)

「ねぇモニャン。ちょっといいかしら」


私は意を決し、昼食の食器を片付けようとしていたモニャンに話しかける。
彼は、はて?と首を傾げつつもこちらに来てくれた。さっきの『東雲スミレ』という生徒についての話を求めると、彼は複雑な顔をしてこう切り返してきた。


「…よろしいのですか?彼女の真実を知る、ということは…。神谷様方の失った『1年間』についても話さなければならなくなりますが」
「ここから出るための何かに繋がるかもしれないの。お願い、話してくれないかしら」


私は本気だ、と目でモニャンに伝える。
彼はしばらくは黙っていたが、ついに折れたようで小さな声で細々と話し始めた。


「…報告会の際、『東雲スミレは79期生』だということをお伝えしましたよね?」
「えぇ。ここにはいないから、あの本の中でコロシアイをしていた人たち…『モニャンがいたクラス』の人だと思うけど…」
「いえ、違います。『東雲スミレ』は私共とはコロシアイを行っておりません。『神谷様方と同じクラス』でございます」
「…どういうこと?」


東雲スミレは私達と同じクラスで、モニャンのコロシアイには関係のない人物。いや、関係あったのかもしれないけれど…。今はそう考えたほうがいいだろう。
でも、私達と同じクラスなのだとしたら、どうして一緒に閉じ込められなかったのかしら…。まさか…彼女が、【黒幕】なのかしら…?


「東雲スミレは、中学時代女性のみの暴走族『アリスフラワー』を立ち上げ、日本中を震え上がらせていた存在だと聞いております。あの、『クレイジーダイヤモンド』を束ねていたダイアモンド兄弟…。特に、弟君の『大和田紋土』様と親交が深かった人物だったそうです」
「そんなにすごい人だったんだ、彼女…。でも、どうして私達と一緒に閉じ込められなかったのかしら…」
「それについては…。『絶望』についてお話しなければなりませんね」


…『絶望』。俯きつつ彼はそう呟く。私は『絶望』というものが何なのかよく分からない。豊島くんみたいに、精神が狂ってしまう一種の『病気』なのか。それとも、他の何かなのか…。
モニャンがそれについて話すということは、『東雲スミレ』と『絶望』は深い関係にありそうね。


「『絶望』。言葉にするのは簡単ですが、一言では表し切れていない恐怖があります。
 …絶望とは、『江ノ島盾子』という女子高生と彼女に賛同した同意者が、自然に世界に現れた集団です」
「つまり、東雲さんはその『江ノ島盾子』に賛同していた、ってことになるのかしら」
「恐らくそうだとは思われますが…。何せ彼女は『超高校級の女番長』。そうそうヤワな精神の持ち主だとは思えません。何か大切なものを失って、絶望に染まってしまった…。そう考えるのが一般的です」
「大切なもの…。『アリスフラワー』の仲間達、とか親交の深かった『ダイアモンド兄弟』との何か、とかなのかしら…」
「それは私も存じ上げてはおりません。そして、江ノ島盾子とその賛同者達はとある事件を希望ヶ峰学園で起こしました」
「とある、事件…?」


…モニャンのつらつらと並べられていく言葉に、私はただ聞いていることしか出来なかった。
言葉の綾を見つけ、何とかモニャンに聞き返すも…。帰ってきた答えは現実味を遥かに超えている、恐ろしい言葉だった。


「『人類史上最大最悪の絶望的事件』そして、『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』。彼女らはそれを起こし、沢山の生徒達が死にました」
「……………………!!!」


モニャンからその言葉を聞いた途端、頭が何かで殴られたように痛くなる。その痛みから何かが脳裏に浮かんできた。これは………『失われた記憶』………?!
考えることはそれが精一杯。頭の痛みに神経が限界を訴えている。
…駄目だ…もう…意識が…!!!
モニャンが私の名前を呼んでいる気がする。だけど、聞こえない。
考えるより先に痛みが私を襲う。そして。







私は、意識を閉ざした。