二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.18 )
日時: 2013/09/23 22:31
名前: ランスロット (ID: 14pOvIO6)

「…今なんて?一生ここで暮らすって?」
「そうだよ〜、人の話を最後まで聞いてエライエライ!あぁ、この街はボクが完全に貸切にしてあるし、予算は豊富だからオマエラに不自由はさせないよ。そこは心配しないでね!」
「……そんな……信じられない……嘘……だよな……」
「ボクは嘘なんてつかないよ〜。純度100%本当のことしか言ってませんから!」
「じゃあ、公園に入る前に見た4方向の大きな柱もお前さんが?」
「うん。外の世界とオマエラを完全にシャットアウトさせるためにね!だから、汚れた外の世界のことなんて忘れて、ここで思う存分暮らしてください!」
「そんな…。それじゃあ助けなんて呼べるわけないじゃない…」
「だーかーらー、助けなんて呼ばずにここに住むことを受け入れればいいじゃん!」
「そんなこと出来るはずないでしょ?学園が用意したにしてはおふざけも大概よ」
「そうだよ…はやく私達をここから出してよ…!」
「でもオマエラは希望ヶ峰学園に入学するために学園に来たんでしょ?それなのに、学校行事の途中で帰っちゃうなんてさぁ…。オマエラ単位落として留年したいの?」
「留年するも何も俺達まだ入学したばかりなんだが」
「そうよ!早くここから出しなさいよ!!」


村上さんがモノクマに向かって反抗的な言葉を投げつける。
それに続くように、続々と「返せ」「ここから出せ」という言葉をモノクマにぶつけ始めた。


「あぁ〜、もう分かったよ。言えばいいんでしょ、ここから出られる方法」
「それがあるなら早く言えよな…」
「…本当に出る方法があるの?」
「もっちろん。学園長であるボクは、学園から出たい人のために、ある特別ルールを設けたのです。それが『卒業』というルール!では、この特別ルールについて説明していきましょう。
 オマエラには、この街だけでの『秩序』を守った共同生活が義務付けられたわけですが、もし、その秩序を破った者が現れた場合、その人物だけは、学園から出ていくことになるのです。それが『卒業』のルールなのです!」
「…ねぇ、『秩序を破る』ってどういう意味?」


恐る恐る、しかし感情を殺しながら、私はモノクマに気になったことを訪ねた。
するとモノクマは先程と変わらない明るい声で、こう言い放った。


「ヒトが、ヒトを、殺すことだよ」


モノクマの一言で空気が凍りつき、みなの表情が不安から恐怖へと変わっていった。
そんな思い雰囲気を打ち破ったのは、あろうことか影浦くんだった。


「こいつらの中の誰かを殺せば、ここから出られるんだな?」
「はい!殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺斬殺呪殺…殺し方は問いません。『誰かを殺した生徒だけがここを出られる』それだけの簡単なルールなのです。最悪の手段で最良の結果を導けるよう、せいぜい努力してください」
「…そんな…狂ってるわ…」


私は思わず拳を握りしめ、胸の奥から湧き上がる怒りをモノクマにぶつけたかった。
けど、頭の中では分かっていた。
こいつの言っていることは間違いなく本気だろう、と。
もちろん嘘なら一番いいけど、こんな状況で。こんな訳のわからない場所で。こんな奴に。おかしなことを言われた。嘘だとは思えなかった。


『誰かを殺した生徒だけがここから出られる』


そんな言葉を、学園長であろう者が使っていいはずもない。
私は、先程からの怒りを必死に心の中に抑え込んでいた。


「はにゃ?狂ってる?」
「そうよ…なんで私達が殺しあわなきゃいけないのよ…」
「狂ってるってなんだよ!こんな脳汁ほとばしるドキドキ感は、鮭や人間を襲う程度じゃ得られませんなぁ。さっきも言った通り、オマエラはいわば『世界の希望』な訳だけど、そんな『希望』同士が殺しあう、『絶望的』シチュエーションなんて……ドキドキしてこない?」
「こないよっ!殺しあうって、なんなのさ!」
「殺し合いは殺し合いだよ。辞書ならホテルの中に…」
「意味は分かってるっつーの。そうじゃなくて、なんで俺たちが殺しあわなきゃいけねーんだよ」


次々に反抗的な言葉がモノクマに浴びせられている。
東条くんや村上さんなんかは怒りの沸点を通り越して今にもモノクマに襲い掛かりかねなかった。


「そうよっ!さっきから聞いてたら、ふざけたことばっかり言っちゃって!!さっさとあたし達を家に帰しなさいよ!!」
「…ばっかり?」


急にモノクマは村上さんを睨み付けた。その顔は、精神が壊れた人形のようだった。


「ばっかりってなんだよ、ばっかりって…ばっかりなんて言い草ばっかりするなっての!ホントに物分かりの悪い連中だよ。何が帰してだ。同じ事を何度も何度も何度も何度も何度も…いいかい?これからは、この学園が、オマエラの家であり世界なんだよ?殺したい放題、殺して殺させるから、殺して殺して殺して殺して殺しまくっちゃえっつーの!!」


そう言うモノクマは、ただの駄々っ子にも、恐ろしいオーラをまとった所詮「怪物」にも見て取れた。
どっちにしろ、私達はとんでもないところに閉じ込められてしまった、それを痛感させられることになった。

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.19 )
日時: 2013/09/24 08:24
名前: ランスロット (ID: njy0rZSb)

「さっきから聞いてりゃふざけたことばっかりぬかしやがって…」


不意に、モノクマの近くのクラスメイトを押しのけ、村上さんがモノクマの目の前にやってきた。彼女の表情は、怒りに満ちていた。


「あんたの悪ふざけは度が過ぎてんだよ!!!」
「悪ふざけ……?何のこと?もしかして、キミのそのくるくるポニーテールのこと?」
「てんめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」


今まで見たことのない表情で、村上さんはモノクマの首根っこをを持ち上げた。
感情が高ぶっているからなのか、最初に話した時とは違う、ひどく乱暴な口調でモノクマを罵っていた。


「てめぇ、ふざけてんじゃねえぞゴルァ!!ロボットでもぬいぐるみでも関係ねぇ!!!今ここでボコボコにしてやるよ、覚悟しやがれ!!!」
「うわわわわっ!!学園長への暴力は校則違反だよ〜?!」
「校則なんて知らねぇよ!!!ボコボコにされたくなかったらあたし達をここから出しやがれ!!!!」
「…うぷぷ。あんまり調子に乗るんじゃないよ」
「はぁ…?」


ふと、モノクマが微笑んだ気がしたが、次の瞬間には動かなくなった。
「なんだ、動かねぇのか?」と村上さん。
…なんだろう、この違和感。嫌な感触。異様なほどの危険信号。
頭で考える前に、私は村上さんに向かって叫んでいた。


「村上さん!!!!そいつを離し……」


刹那。


「……あ……え……?ど……し……て……?」


村上さんから赤いものが飛び散った。…それは紛れもなく、村上さんの血液だった。
動かなくなっていたモノクマからは千本ほどの針が飛び出し、村上さんの全身を…刺していた。
村上さんを刺していたそれは、彼女の意識が途切れ、倒れると共に消え去った。
…そこには、さっきまでモノクマに果敢に立ち向かっていた女子高生の亡骸が…


『超高校級のリポーター』村上一夜さんの亡骸が、あった。


「いやあああああああああ!!!!!!!!!」
「村上さん!!村上さん!!!」


初めて見る人の死に様。私はとてつもない絶望感に覆われた。
さっきまで、村上さんは果敢にモノクマと戦っていた。でも、こんなにもあっさり殺されてしまった。
もう、あの村上さんの笑顔を見ることは、出来ないのだ。


「全く…ちゃんと校則違反だよって注意したのにさ〜」
「うわああああああ!!!」
「また出てきやがった!」


村上さんの亡骸の真ん前に、さっきとそっくりそのままのモノクマが現れた。
…きっと、モノクマを完全に壊すことは無理なのだろう。私はそう判断した。


「どうして?!どうして村上を…!!」
「え?どうしてって?わかんない?校則違反したからじゃん。やっぱり見せしめって必要だよね〜。オマエラも気を付けてね。校則違反したらこうなるんだからね!!」


そう言うモノクマの表情は満足そうだった。
…人が死んでいるのよ?それなのに、こんな表情が出来るなんて…。あいつは、モノクマは、狂っている。


「あぁ〜、一つ言い忘れてたや。これからオマエラの身の回りの世話をしてくれる執事のご紹介をします」
「執事?」


かも〜ん、という言葉と同時に、モノクマとそっくりの白と黄色のネコが現れた。モノクマと唯一違うところは、右側の体の色と形が明るめの色、そして左半分と同じ体つきをしていたということである。


「彼は『モニャン』なのです。食事の用意やらベッドルームの用意やら、死体の後処理やら雑用はぜーんぶ彼にやらせるから。オマエラもモニャンを有効活用してね!」
「モニャンです。皆様、これからよろしくお願いいたします」

そういうと、モニャンと呼ばれたネコは深々とお辞儀をした。その表情は…登場時と何一つ変わっていなかった。こちらも…何か不気味だ。


「モニャンの紹介も終わったことだし、オマエラにこれを渡しておきましょう。この学園の生徒手帳です」


モノクマは、そのどこからか出した生徒手帳を、自分の近くにいた人達から順番に渡していった。


「カッコいいでしょ?電子化された生徒手帳、その名もなんと…電子生徒手帳です!!」
「…そのままのネーミングだな」
「突っ込んで欲しくなかったんだけどなぁ。まぁいいや。電子生徒手帳は学園生活に欠かすことのできない必需品だから、絶対になくさないようにね!!それと、起動時に自分の本名が表示されるから、ちゃんと確認しておいてね。単なる手帳以外の使い道もあるんだから。ちなみに、その電子生徒手帳は完全防水で、水に沈めても壊れない優れもの!耐久性も抜群で、10トンくらいの重さなら平気だよ!詳しい“校則”も書いてあるんで、各自、じっくり読んでおくよーに!何度も言うけど、校則違反は許さないからね!ルールは人を縛りもするけど守りもするんだ。社会でも、法律がないと平和は成立しないでしょ?それと一緒!だから、違反者は厳しく罰する必要があるのです!ではでは、開催式はこれで終了となります!!豊かで陰鬱な職業体験をどうぞ楽しんでください!それじゃあ、まったね〜!」


そして、唖然とする私達を残して、モノクマはホテルの方向に走り去っていった。
反対方向を向いてみると、モニャンが村上さんの遺体の処理に入っていた。よく平気でこんなことが出来るわね…。
私の嫌な予感は、現実に…なってしまったのだ。

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.20 )
日時: 2013/09/23 23:44
名前: ランスロット (ID: 14pOvIO6)

…いつの間にかモニャンと村上さんもいなくなっていて、公園には私達17人が取り残されていた。
沈黙を破ったのは、またしても影浦くんだった。


「村上も、モノクマに突っかからなければ無駄死にせずに済んだものを」
「…そんな言い方ないでしょ?!村上さんはモノクマに必死に立ち向かっていた!!何もしなかったあんたよりは数倍カッコいいわよ!!」


村上さんに対して皮肉交じりの嫌味を言い放ったが、立花さんに言い返されてしまった。
ふてくされてしまったのか、影浦くんはそっぽを向いて黙り込んだ。


「…ねぇ、私たちどうなってるんだろう…」
「さぁ…。展開が急すぎて全然わからないよ…!!」
「……殺し合いなんて……一生暮らすなんて……絶対に嫌だ……!」
「もももももういやぁぁぁぁぁ」
「安西さん、しっかり!」


各々が不安を口にする中で、神崎くんがこう呟いた。


「みんな、とりあえず落ち着こう。慌てたり、焦ったりすればアイツの思う壺だぞ」
「神崎くん、よく落ち着いていられるわね…」
「俺だって本当は嘆きたいよ。もっと早くにモノクマの異変に気づいていれば、村上を助けられたんだ。…神谷がいち早く叫んだようにな」
「…でも、村上さんを救うことは出来なかった。叫ばなかったのと一緒よ」
「だからだ。これ以上犠牲者を増やしちゃダメなんだ。とりあえず、モノクマの話をまとめてみないか?」
「そう…だな」


私達は円になって、モノクマに言われたことをまとめ始めた。


「モノクマがあたし達に突き付けた選択肢は二つ」
「この場所で、『無期限の共同生活』を送るのと、ここから出るために『仲間の誰かを殺す』ことよね」
「誰かを殺すなんて私には無理だよ…!」
「そうだよ。いきなり知らないところに飛ばされて、そこで閉じ込められて、殺し合いしろって…悪夢以外の何ものでもないだろ」
「ふん。そんなだからお前らは甘いんだ」


影浦くんがすべて悟ったように私達に言い放った。


「問題となるのは、そのモノクマの話を本気にして殺人を犯す奴がこの中にいるかもしれない、ということだ。将来の人殺しと一緒にいるようなものなんだよ、俺達は」


…言ってはいけないことを言ってしまった。何も言えなかった。
ただ、押し黙ったまま、互いの顔を見回していた。
視線が誰かのものと交差するたび、うっすらとした敵意を感じる。


私は、モノクマが提示したルールの本当の恐ろしさを知ってしまった。


『誰かを殺した生徒だけがここを出られる…』


その言葉は、私達の心に根深く「恐ろしい考え」を植え付けていた。


『誰かが裏切るかもしれない』


という疑心暗鬼を。


こうして、私の華々しい高校生活は始まった。
でも、「華々しい」なんてのは真っ赤な嘘だ。この学園は、『希望の学園』なんかじゃない。
………ここは、『絶望の学園』。
そして、私達の『絶望の日々』が幕を開けたのであった。


…その後。私はホテルでモニャンとすれ違った。村上さんはどうなったのか、と聞いたところ、「死体安置所」という場所に閉まってあるらしい。冷凍庫のようになっているから体は腐らないそうだ。
村上さんの最期を見届けられなかったのは残念だけど、これ以上被害を増やしてはいけない。そう思ってモニャンから離れようとした、その時だった。


「神谷様」
「…何か言いたいことでも?」


『コロシアイには……くれぐれもお気を付けくださいませ』


私が呼び止める前に、モニャンは歩き去ってしまった。
このモニャンの言葉の真意をしるのは…まだ当分先の話だった。





<死亡者>
「超高校級のリポーター」村上一夜
校則違反のため、モノクマによって全身を針で刺され死亡。



<生き残りメンバー> 残り:17人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級の着ぐるみ職人」雨宮くるみ
「超高校級の女形」影浦凍耶
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級の弓道部」花岸美那子
「超高校級のディーラー」シオン・スカーレット
「超高校級のマジシャン」佐藤かがみ
「超高校級のスキーヤー」東条健悟
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のダンサー」豊島未来
「超高校級のバイトマスター」立花実貴
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
「超高校級の図書委員」長月舞子
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙


chater00 〜絶望職場体験・スタート〜  END