二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter04 〜大モノクマ帝国倶楽部〜 学級裁判編 ( No.182 )
- 日時: 2014/01/14 18:49
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: jAlsi5R.)
「議論の結果が出たみたいですね。では投票ターイム!!
前回と同じようにお手元のスイッチで『犯人だと思う人物』に投票してくださいねーっ!!」
「………くっ!!」
犯人は分かった。でも、なぜ彼が佐藤さんを殺してしまったのか。
私には見当もつかなかった。あの時、「殺人を犯してはいけない」という誓いを立てたのは嘘、だったのだろうか。
心の中で彼は「いつか誰かを殺そう」と考えていたのだろうか。
よくない考えだけが、私の頭の中を駆け巡る。……あぁ、何故なの。
「さてさて、投票の結果、クロとなるのはいったい誰なのでしょうか!!!
その答えは、正解か、不正解かーーーーーーーーーーー?!」
もう見慣れてしまったスロットの柄を私は見てみる。今回も、モノクマの席の真下で、カジノのスロットのようなものが回り始める。
……スロットは、シオン・スカーレットくんの顔で、全て、止まった。
それと同時に、スロットのファンファーレが鳴り響き、紙吹雪がスロットに舞う。
———おかしい。こんなのぜったいおかしい!!
「今回も大正解!!凄いねオマエラ、これで4問連続正解だよ!!!
『超高校級のマジシャン』佐藤かがみさんを殺したのは、シオン・スカーレットくんなのでしたーーーーーーー!!!!!!
えらいえらい、よく出来ました!!」
「どうして!!どうして佐藤さんを殺したのよ!!!だって…あの時みんなで約束したじゃない…『コロシアイなんて起こさない』って…!!!」
私はありったけの思いをシオンくんにぶつける。
許せなかった。彼を止められなかった自分を悔やんだ。どうして…彼の気持ちを汲み取ってやれなかったのだろう。
自責の念に駆られ私の涙は留まるところを知らずに流れ続ける。確かに、シオンくんがおしおきされることで被害は最小限に抑えられる。だけど……こんなやり方、間違ってる!!!
なおも泣き止まない私に向かって、シオンくんは優しくも凛とした声でこう切り返してきた。
「神谷さん…いえ、皆さん。僕は確かに許されないことをしました。これから死ぬのも…妥当、だとは言えます」
「でも…シオン、どうして佐藤殺しちまッたんだよ…。お前も言ってたじャねえか、『コロシアイは駄目だ』って」
「……僕の言い訳を、聞いてくれますか」
「もちろんじゃない。どうして、佐藤さんを手にかけてしまったの…?」
溢れる涙をこらえながら、私は彼に動機を聞いてみる。シオンくんは黙って頷き、佐藤さんを殺した『動機』を話し始めた。
———彼の口から出たその『答え』は、私の遥か想像の上を行っていた。
「朝…確かに僕は佐藤さんの姿を見かけ、何かよからぬことを考えているのではないか、と考えて小会議室に向かいました。
しかし……その時に聞いてしまったのです。彼女の、『ここにいる全員を皆殺しにして自分も死んでやる』という声を」
「え…………?!」
佐藤さんは、私たち全員を皆殺しにしようとしていた…?それって、ルール違反にならないの……?
そう思ったところで私の考えは一旦止まった。…そして、とんでもない考えがふっと頭に浮かんできたのだった。
『佐藤さんは校則違反を犯すことで、自分も雨宮さんと同じところに行こうとしていたのではないか』という考えが。
———じゃあ、もしかしてシオンくんが佐藤さんを殺したのって…『私達を全滅させない』ため……?その為に、自分が犠牲になろうと思ったの…?
彼の真意を胸で紐解いた瞬間、私は後悔でいっぱいになった。彼に謝りたくなった。いや、謝らなければならなかった。
「シオンくん…本当に…本当にごめんなさい…!!私がもっと早く気づいていれば…!!」
「いえ…あそこで僕が彼女を追いかけていなかったら…今頃この裁判場にいる人間は…もっと少なかったと思います。佐藤さんには申し訳ないですが…これしか方法がなかったのです…」
「それにしてもシオンくんも変だよねぇ、なんで佐藤さんを殺したのに自分が不利になる証拠神谷さんに言っちゃうのさ?もし捜査の時黙ってたら、独り勝ち出来たかもしれないのに」
「いえ、僕は人を殺してここから出る、ということは考えていませんよ。しかし…人間の性なのでしょうか、やはり神谷さんの推理に反論してしまいました。
これでは…モノクマが提示した『人を殺して外に出る』という考えに至ってしまいますね…」
「なぁ…どうしても、佐藤を助けることは、できなかったのか…?」
涙ぐみながら冥雅くんがシオンくんにこう聞く。
そう。でも、彼女が私達を皆殺しにしようとしていたんだったら…そんな悠長なことは言ってられないはずだ。
シオンくんの犠牲がなかったら…。私達は全員ここに立っていなかった可能性が高いのだ。
私は———また助けられてしまったのだ。雨宮さんに続き、シオンくんに……。
「僕だって…『助ける』という選択肢があれば、即座にそちらを選んでいました。しかし…こうするしかなかったのです…。こうする…ことしか…!!」
「もういい…シオン…ごめんな…ごめん…」
「さ〜て、それでは張り切っていきましょー!!!」
「こんな僕ですが…最後に…一言だけ言ってもいいでしょうか…」
「『超高校級のディーラー』である、シオン・スカーレットくんのために、スペシャルなおしおきを用意させていただきました!!!
行きますよっ!!!!早速参りましょうっ!!!おっしおっきタ〜イム!!!!」
モノクマは彼が最期の挨拶を済ませようとする途中で、赤いスイッチをハンマーで叩く。最期くらい自由に言葉を言わせてくれないのか、この非情なクマは。
モニターには、ドット絵のシオンくんがモノクマに引きずられている映像が映った。
『シオンくんが クロに きまりました。 おしおきを かいしします。』
彼は改めて私に向き直り、お辞儀をする。
「ど、どうしたの…?」
「皆さんと過ごしたこの時間、僕は忘れたりなどしません」
「………え………?」
「皆さんの『希望』。僕は…それを信じています」
そして、彼は最高の微笑みと涙を見せながら、鎖に引きずられていった。
彼は彼なりに信じていたのだ。私達の力を。私達の『希望』を…………。