二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 ( No.217 )
- 日時: 2014/02/07 18:30
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: UXIe.98c)
〜神崎 side〜
———軽く軽食を取ろうと食堂にやってきてみると、何やら冥雅と神谷が仲良く話をしていた。
恐らく神谷が冥雅を元気づけた、と解釈していいんだろうが…。なんというか、それ以上に踏み込んでしまった感じがする。
冥雅が神谷に気があることは既に知っていたが、まさか神谷もそうだったとはなー…。リア充爆発しろ。永遠に幸せでいろよ。
ラブラブムードたっぷりな2人の空間をぶち壊すのもあれなので、俺はロビーで過ごすことにした。
「…はぁ」
やや硬めのソファーに腰を下ろすと、思わずため息が漏れる。
———ほとんどの記憶を思い出したとはいえ、まだ俺には知らなくちゃいけないことがある。『石丸清多夏』が俺にとって『どんな存在』であったか。いま、その彼は『どこで何をしている』のか。
写真館に彼らしき写真が貼ってあったが、まさか———死んでいるわけ、ないよな?一番ありえない可能性を考えては否定する。ここ数十分、ただそれを繰り返していた。
考え込んでいると、ふと白と黒のぬいぐるみが俺の隣に座った。
———何故、ここに来た?いやいや無視しよう。そう思いつつ彼を視界から追い出した。…だが、無情にも『そいつ』は俺に話しかけてくる。
「神崎クン、コロシアイ起きないねぇ?」
「…何が言いたいんだ?」
「そりゃそうだもんねぇ、神谷さんと冥雅クンはあんなことになっちゃうし、他のみんなも少しずつ希望を持ち始めてる。もちろん、その『他』にはオマエも入るよ。
だから〜、ボクは退屈で退屈で仕方ないのです!」
「———だから何が言いたいんだ」
「知りたくないの?オマエの『大事な奴』の居場所」
ふとそいつから紡がれた言葉の糸に、俺はあっさり引っかかってしまう。なぜ俺が考えていたことをさらりと言ってしまうんだ?
———ただ、こいつの言っていることは嘘ではない。冥雅の件、それからあのDVD…。『本当』がいくつも重なっている今、こいつが嘘をいうわけはなかった。
「知ってるのか」
「うん。だってボク学園長だから。でもねぇ、それをはオマエに誰かを殺してもらわなきゃ言ってあげないもーん」
「ならいい。情報のために人殺しなんて、もってのほかだ」
「ちぇ、ノリ悪いの〜。じゃあいいよ。オマエを罠にはめて殺してやるから」
「コロシアイはもう起こさないんじゃなかったのか?」
「ううん、動機を提供するのをやめただけだよ。オマエラを『真の絶望』に叩き落とす為には、ボク自身が動かなきゃダメだってことに最近気が付いたんだよ!
だから———オマエも、死ぬ準備をしておいたほうがいいよ?」
「今ここで殺すのか?」
身体の奥から湧き上がる恐怖心をポーカーフェイスで抑え、モノクマにそう問う。目の前のぬいぐるみは黙って首を横に振り、こう切り返してきた。
「———もう、罠にかかってるんだから。オマエは」
「……何?!」
「うぷぷぷぷ、明日が楽しみだねぇ…!!」
「お前っ…待てよ!!!」
俺の制止も無視し、モノクマはとてとてと音を立てながらロビーを立ち去って行った。
———残ったのは、だだっ広いロビーを通る風、それから……妙な不安が胸の中に生まれた、俺自身だけだった。
「『罠』…。どういうことだ…?」
———分からない。足りない頭をフル稼働して考えるが———納得する答えは、見つからなかった。
「…明日、か。何が起こるんだろう…」
思わず口に出す。俺が既にかかっているという、俺の知らない『罠』。
———もしかしたら、他のみんなも同じなのかもしれない。……なら、俺が守らないと。
そう気合を入れ、一旦部屋に戻ることにした。———まぁ、その後冥雅に偶然会って皮肉を込めたお祝いを言ったら怒られてしまったのだが。
堂々とイチャイチャしてた仕返し…だっつーの。はぁ…俺何考えてんだろ。
俺は…みんなを死なせたりはしない。あんな悲しい出来事…。止めてみせる。絶対に…。
『大切な仲間を、死なせるわけにはいかない。命を賭してでも…守ってみせる』
- chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 END ( No.218 )
- 日時: 2014/02/07 19:08
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: UXIe.98c)
【コロシアイ職業体験 21日目】
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
「う……」
モノクマのアナウンスで、私はいつも通り目が覚めた。
あの後、冥雅くんに『じゃあ…恋人らしい練習しよう!』と悪びれもなく言われ、食堂で一緒に食事をとったり、俗にいう『恋人つなぎ』でそれぞれの部屋に戻ったり、と周りから見たら思いっきり恥ずかしいことをしていた。……うん、今思い返してみればものすごく恥ずかしい。誰かに見られていないかしら…。はぁ、見られていたとしても嫌味は素直に受け入れましょう…。
嬉しい気持ちと悲しい気持ちが複雑に混ざっている変な感情を胸にしまい、私は食堂へと足を運んだ。
「おはよう、神谷さん!よかったね、へへへ!」
「神谷さん!おめでとう、本当におめでとう!!私結婚式用のレタービデオ制作手伝ってあげるね…!」
「式用のケーキ作りならまっかせなさ〜い!!」
「…………」
私よりも先に起きていた星野くん、白戸さん、安西さんが笑顔で私に挨拶をしてきた。…珍しいな、神崎くんが遅く起きるなんて。
何やらニヤニヤした表情が私の顔に突き刺さる。———ど、どういうことしら。
念のため尋ねてみると、どうやらモノクマが冥雅くんが思いを伝え、私が受け入れたことを変に捻じ曲げてみんなに話してしまったらしい。
———てか結婚って、どうしてそんなところまで話が飛躍しているの?!……あんの白黒パンダ、後で覚悟してなさい……!!
結局、怒りの表情を瞬間的に顔に出してしまい、白戸さんにおびえられてしまった。うん、その分も文句言ってやろ。
みんなの誤解を解きながら残りの人を待っていると、神崎くんと冥雅くんが食堂に現れた。何やら冥雅くんは神崎くんに悪態をつかれていたらしい。…あぁ、彼もそれか…。
「おはよう、神谷」
「あっはは…、思いっきりばれちゃった」
「モノクマのおかげでみんなにもバレバレよ…」
「性質が悪いにも程があんだろ」
「ま、まぁ別にオレはいいけどね!」
「私が駄目なのよ!!」
———はぁ。朝から疲れるわ…。
そういえば、羽柴くんが来ていない。秦野くんは今日も更衣室でアルターエゴの強化に勤しんでいるはずだし、彼が遅れてくるはずがない。そもそも彼は『低血圧』のため、私よりも早く起きているはずだ。———思い出してみても、殆どの時間帯で私よりも早く起きていた。
「羽柴くん、来ないね…」
「具合が悪いのかなぁ」
「でも、『超高校級の科学部』だよ?風邪はひかないように勤めてるはずじゃないかなぁ」
「まだ寝てるとか?」
「いえ、彼は低血圧で早起きのはず。私よりも遅く、しかも最後に起きてくるなんてありえないわ」
「じゃあ…どうしたんだろう…」
———ふと、突然胸の奥に小さな不安が現れる。…まさか、もうコロシアイは起きないはずなのよ…?
そう、思ったその瞬間だった。
ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
———爆破音?!音は…厨房からだわ!!
「ねぇ、今の爆発音なに?!」
「僕にも分からないよー!」
「とりあえず様子を見に行きましょう!厨房にはモニャンがいたはず!!」
私達は厨房へ走った。そして、中をのぞいてみる。
———そして、焦げ臭い匂いと大量の煙ともに現れたのは……。
「モ………ニャン………」
——————黒焦げになって倒れている、モニャンの姿だった。
「モニャン!モニャン!しっかりして?!」
「駄目だよ、全身焦げちゃってる…。もう、モニャンは…」
「でもモニャンもぬいぐるみなんでしょ?!だったらスペアみたいなのがモノクマみたいに…」
モニャンは全身が黒く焦げていて、顔も見られない状態だった。
———まさか。モノクマはモニャンまで狙ったの…?……違う、まだ、何か…………
考えたくなかった、私の嫌な予感は見事に的中することとなった。
ガタン!!!
———すぐに訪れる暗闇。恐らく、電気のブレーカーが落ちたのだろう。朝からの停電……。何か、まさか、本当に……?
「俺、ブレーカー探してくる」
「気を付けてねー」
「えっと……あった。これだ」
神崎くんがブレーカーを上げて、暗闇に光が差し込む。
偶然の停電だったのかしら……。モニャンの爆発と伏せて、何かつながりがあるとしか思えない。
モノクマは……私達に何をさせたいの…?
「と、とりあえず食堂に戻ろうよ。ここにいても…何もできないよ」
「そうね。戻りましょう」
そう思って私達は食堂にもど——————
「…………え?」
———しばらくの沈黙。そして、今の状況を理解するのに、少しの時間を要した。
目の前に飛び込んできた恐ろしいこと。夢であってほしかった。彼が起きて、『科学の実験ドッキリだった』って言ってほしかった。
———でも、そんなことはない。
起こってしまった。5度目の殺人が。起こらないと信じていた、殺人が。
私は、目の前で——————
『超高校級の科学部』 羽柴陸斗くんの、変わり果てた姿を、
ただ、言葉も発せずに見つめていた。
———そして、女性2人の悲鳴とともに、『あのアナウンス』は響き渡る。
『死体が発見されました!死体が発見されました!一定時間の自由時間の後、学級裁判を行います!
もう一度、お伝えします!死体が発見されました!死体が発見されました!』
———何故?分からない。どうして?分からない。
私はひたすらに、彼の亡骸を見ながら自問自答を繰り返していた。
<死亡者>
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
ホテル内の1F食堂で発見。
身体をロープで縛られ、頭から血を流している。
<生き残りメンバー> 残り:7人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙
chapter05 〜キオクのウタ〜 (非)日常編 END