二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter05 〜キオクのウタ〜 非日常編 ( No.222 )
日時: 2014/02/09 16:45
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: dzOOPrh1)

赤い扉の前に着いた時、他のみんなはもう集まっていた。
しかし、仲間を疑う目ではない。みんな、覚悟を決めた目で私達を見ていた。
もう、数えるほどにしか残っていない人数。そして…再びエレベーターに乗ることになるのは…6人か、1人。
…ううん、思い詰めてもだめね。とにかく、エレベーターに乗りましょう。
私は黙ってエレベーターに乗り、みんなが乗ったのを確認して目を閉じた。


「また…始まっちゃうんだね」
「ねぇ、誰なの?!羽柴くんを殺しちゃったの…。わたし…もう仲間を失いたくないよ…」
「それが分からないから困ってるんだよ…。僕達…いつまでこんなこと続けるんだろう…」


各々が口に出す、覚悟と不安。それは、不安を言葉にしているようなものだった。
…とはいっても、私は…。みんなを疑うことは、もうしたくない。
目を閉じながら声で不安を感じる。視界に広がる暗闇は、私を底なしの『絶望』へと落としていく。でも……信じなきゃ。仲間を、信じなきゃ。
——————不意に、エレベーターが大きく揺れた。
着いた。仲間を処刑する…裁判場へ。


「うぷぷ、こんなに減っちゃって…。東条クンが殺されちゃった時の人数は何人だったっけ?15人?」
「モノクマがみんなをそそのかしたから!」
「……ううん。ボクは何もやってないよ。とにかく…さっさと立ってよ。時間も推してるし、ボクもこの展開に飽き飽きしてるし。さっさとはじめましょー!」


モノクマに急かされ、私は自分の名前の教壇に立つ。
今回も、学級裁判の装飾は大きく変わっていた。しかし———気になるのが装飾の種類。なんだろう……。どこかのクラブでライブをやっている、そんな状況。そんな感想。
…でも、おかしいな。今までは曲がりなりにも『被害者』のイメージの装飾だった。だけど……今回は違う。今まで通りだったら、もっと化学らしい装飾にするつもりだ。
モノクマは何を考えているの……?


そして、18台の教壇を見てみる。前回おしおきされたシオンくんと、今回殺されてしまった羽柴くんの遺影が、彼らの席に立っていた。
———2人も、確かに生きていた。生きて、モノクマに抗っていたんだ。
2人の分まで、生きてここから出なきゃ。そうでなきゃ…彼らに失礼だ…。


「それじゃ、議論を始めてください。うぷぷぷ、今回は飽きそうけどすごく楽しみな裁判になりそうだね!!ま、間違えないように気を付けてね〜!!」


———おかしい。今回のモノクマも、装飾も、行動も。今までとは違う。
なんなのかしら。私達を試しているのかしら、それとも…。
でも、今は目の前の裁判に集中しなきゃ。私達が生き残る道は……それしかない。









自分に出来ることを探して、曲がりなりにも前へ進んでいた羽柴くん。










自分の過去を明かし、私の道を正してくれた。









だけど…………彼は志半ばで殺されてしまった……。








そんな彼を殺してしまった犯人が、この中にいる。信じたくないけど、この中に…。














———出来るなら羽柴くんを助け出したかった。だけど。起こってしまったことはしょうがない。
目の前の障害に…立ち向かっていかないと…希望は、見えない。







命がけの言及。



命がけの弁明。



命がけの騙し合い。



…今、命をかけた最後の裁判が。



始まる。