二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 ( No.23 )
日時: 2013/09/25 23:17
名前: ランスロット (ID: A7M9EupD)

『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』


…耳障りな声と共に私は目を覚ました。
つい先日、その声の主に『ここで一生暮らす』ことを強要された。
『ここから出たいなら誰かを殺せ』とも言われた。
…そして、私達の大切な仲間が、殺されてしまった。
今も脳裏に焼き付いている。村上さんの、針が刺さった瞬間の、あの、絶望的な顔。
助けられなかった自分を私は悔いた。
その思いに浸っていたのか、私は自分の部屋のドアからノック音が聞こえているのに気づいていなかった。


「神谷ー、起きてるー?」


あの高い声の主は恐らく冥雅くんだろう。
私はドアを開き、改めて彼だということを確認した。


「おはよう、冥雅くん」
「おはよう。モニャンが、朝食出来たからみんなを集めて来いって。一緒に行こうよ」
「ええ。分かったわ」


冥雅くんに言われるまま、私は食堂へと向かった。
途中、彼にも昨日のことを聞いてみたが、私と同じ考えだったようだ。


「おっはよ〜はるちゃん!」


佐藤さんの明るい声がこだました。辺りを見回してみると、他のみんなもすでに集まっていた。
…昨日のこと、みんなは大丈夫なのかしら。


「お食事が覚める前に、お召し上がりください」
「うっひょ、うまそ〜な朝飯じゃねーか!」
「ちょっと待ってよ…モニャンの料理なんだよ…?毒が入ってるかも…」


白戸さんが恐る恐る口に出す。
それを聞き、モニャンははぁ、という表情で白戸さんを見た。


「大丈夫です。毒は入っておりませんから」
「…本当に?」
「モノクマ様から、『食事に毒なんか入れたら承知しないからね!オマエが神谷さん達を殺しても面白くないんだから』と仰せられまして。それに、私は皆様のお世話をするのです。料理に毒など入れて、どうするのでございますか?」
「でも君はモノクマの仲間なんだよね?」
「…ご想像にお任せいたします」
「そんなことはどうでもいいから早く食っちまおうぜ!せっかくの料理が台無しだ!」


東条くんが早く、早くと急かしている。こんな状態なのに元気でいられるって、逆に凄いことだと思った。
「いただきます」と私は呟き、朝食を食べ始めた。…あれ、本当に美味しい。


「おいし〜い!流石執事ね!」
「ありがとうございます」
「でも、そんな手足でよく調理が出来るわね〜。うらやましい」
「仕込まれてますから」


仕込まれている、という言葉に雨宮さんが反応し、モニャンにずんずんと迫っている。モニャンは微笑みを浮かべ「冗談です」と返した。
朝食を食べ終わり、部屋へ戻ろうとしたが、花岸さんに呼び止められた。


「皆さん、ちょっと待ってください。私に提案があります」
「どうしたの?花岸さん」
「モニャンさん、明日からもこのように朝食をご用意いただけるのですか?」


花岸さんはモニャンの方を向き訪ねた。


「ええ。しかし、皆様が『バラバラに食べたい』と仰るのであれば、それぞれの時間帯に合わせ食事をご用意いたします」
「マジで?!サービスいいじゃん」
「そこで、です。明日から、このように朝食会を開こうと思うのです」
「朝食会?」
「はい。皆さんの安否、この生活で気付いたことなどを朝食会で話し合うのです。モノクマに殺し合いを強要されてしまった今、わたくし達が出来るのは情報の共有、そして絆を高めあうことなのです」


花岸さんはそんなことを考えていたのね…。
最初は不安そうな面持ちをしていたみんなだったが、彼女の言葉に勇気を貰ったのか、明るい表情を出し始めた。
…ただ、一人を除いては。


「…下らんな。俺は人殺しとなる奴とは一緒にいれない」
「ちょっと!まだそんなことを言ってるの?!」
「…安西さん。そうですか。まぁ、強要は致しませんが」
「ふん」


そう言って、影浦くんは自室へ戻ってしまった。
安西さんはまだ納得出来ないようで、「何よ、あの態度!」と悪態をついていた。


「じゃあ、影浦を除いた16人が朝食会の参加者だな」
「…後で影浦くんにもう一度誘ってみるよ。無理だと思うけど…」
「あ、そん時は俺も一緒な!白戸ちゃん♪」
「では、明日からここで朝食会を開きましょう。時間は7:00から。よろしいですね?」
「「はーい!」」


佐藤さんと雨宮さんが元気よく返事をした。
…花岸さんのお陰で、みんなが一つになった。私はそう感じていた。

chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 ( No.24 )
日時: 2013/09/26 22:41
名前: ランスロット (ID: Ex8RKlaC)

「そういえば、神谷は電子生徒手帳もう開いてみた?」


不意に、冥雅くんがそう聞いてきた。そういえば、モノクマに貰ってから一度も開いてないわね…。この際に起動しておこう。
私は、手元にある電子生徒手帳を起動させた。すると、


『神谷 春子』


という名前と私の顔写真が見て取れた。
モノクマの言う通り、これには持ち主本人の名前が表示されるようだ。


「あ、開けたみたいだね。それじゃ、メニューの『校則』って書いてあるところにタッチしてみて」
「ええ」


冥雅くんの手ほどきを受け、私は表示されたメニュー画面の中から、『校則』と書いてあるアイコンをタッチした。
すると、画面上に箇条書きの文章が浮かび上がった。
…きっと、これが『校則』なのね。ざっと確認してみましょう。


1.生徒たちはこの街内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜11時から朝7時までを“夜時間”とします。夜時間は閉まっている店などがあるので注意しましょう。

3.就寝はホテル内に設けられた個室でのみ可能になります。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。

4.街内を調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラ・鍵のかかった扉の破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

7.なお、校則は順次増えていく場合があります。


これが校則、か…。見ていてあまり気分のいいものではなかった。
私がそのことを伝えると、みんなは渋い表情を浮かべる。
どうやら、私と同じことを思っているらしい。


「……守らないと……殺される……んだよな」
「そうね。ムカつくけど、モノクマに殺されるのだけは勘弁だし」
「…なぁ、ちょっと校則で気になったところがあるんだけどさ」


神崎くんが発した言葉に気づき、私は彼の方に向き直る。


「校則の6番目の項目…これって、どういう意味なんだろう」
「後半の『他の生徒に知られてはならない』って部分だよね。実は僕も不思議に思っててさ」
「んー…くるみは、『ここにいるみんなに知られないように殺せ』って解釈したぞ」


確かに文面通りに受け取れば、雨宮さんの言った意味が一番正しいだろう。
でも、それだけなのかしら。それだけじゃない気がするのは私だけ…?


「でも、殺し合いなんて起こらないだろうし、あんまり気にする問題でもないんじゃねーの?」
「東条さんの言う通りです。わたくし達は今出来ることをしないと。ありもしないことを疑問に思うのはあまりよろしくありませんよ」


…確かに、今は気にする問題ではないのかもしれない。
心の奥に疑問をしまい、私はみんなの方に向き直った。


「それにしても、凄いわねこの手帳。私の情報じゃなくて、みんなの情報も載ってる。…嫌いなものが載っていたことは意外だけど。いつ調べたのかしら?」
「じゃあ、今日の朝食、あたしの嫌いなトマトが入ってなかったのもそのせいなのかな?」
「お前トマトが嫌いなのかよ!」
「なんか文句でもありますー?」


豊島くんのおでこをつんつんつつき始める佐藤さん。
「止めろって!」と言いながらも、彼の表情は明るかった。


「ねぇ、この街を探索してみない?」


私の隣から発せられる冥雅くんの提案。
確かに、この街に閉じ込められて、何も出来ないのは辛いし…。
校則の欄にも、『捜索は自由』と書いてあったはずだから、まず先に私達がやることはそれね。


「でも、一人だと影浦が言ったみたいに変なこと考える奴が出てきそうだよ?」
「ふっふっふ、そんなことを思ってあたしがくじを用意しておいたのです!」


ニヤニヤと笑いながら両手を目の前に出すと、そこには割りばしが16本握られていた。
テーブルの上に1本あることから、影浦くんが自室に戻ってしまったので抜いたのだろう。


「16人いるから、4人ずつで探索ね!割りばしの先端に色がついているから、同じ色の人とグループを作ってね!」


はい、はい、と、彼女は割りばしを引かせていく。
私が引いた割りばしの色は…緑、か。


「あ、神谷。俺も緑なんだ。一緒だね!」


笑顔で冥雅くんが近づいてきた。


「あら、あなた達と一緒なのね。よろしく」
「俺も緑。神谷、冥雅、立花。しばらくお世話になるよ」


…残りのメンバーは、立花さんと神崎くんみたいだ。
赤の割りばしを持っているのは、花岸さん、長月さん、羽柴くん、秦野くん。
青の割りばしを持っているのは、東条くん、豊島くん、安西さん、佐藤さん。
黄色の割りばしを持っているのは、雨宮さん、白戸さん、シオンくん、星野くん。
他のグループも、無事に4人集まったみたいだ。


「じゃあ、どこを調べる?」
「赤グループはホテルの中、青グループは街の北方面、黄色グループは東方面、緑グループは西方面でいいんじゃない?」
「分かりました。それでは探索を始めましょう。終わったら、ここに戻って報告会です。よろしいですね?」
「おう!」


颯爽と青グループが飛び出していった。元気のいい威勢のある人が集まったなぁ。
次に、黄色グループが出発した。シオンくんが他の3人をエスコートしている。彼がいれば大丈夫だろう。


「では、わたくし達も探索を開始いたします。無事いい報告が出来るように頑張りましょう」
「ええ。気を付けてね」


そう言って、赤グループもホテルの探索を開始した。


「じゃあ、私達も行きましょ」
「あんまりみんなを待たせるのも、あれだしな」
「神谷、行こうよ」


…ここに出口はあるのだろうか。そして、ここは一体どこなのだろうか。何があるのだろうか。
私達には知らなければならないことが多い。


「…ええ、始めましょう」


私達は、ゆっくりとホテルから出て、街に繰り出した。