二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編 ( No.237 )
日時: 2014/02/16 16:25
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: jBG6ii5p)

【コロシアイ職業体験 22日目】



『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』



「もう、朝…」


モノクマのアナウンスで、いつも通り目を覚ます。
———昨日、ついに5度目を迎えた殺人事件の裁判が終わった。神崎くんは、最後まであいつに抗って死んでいった。自分が罠にかかっていたとしても、最後まで諦めずに、私達に道を託してくれた。
……私も、頑張らなきゃ。彼のために。そして———みんなのために。
気持ちを引き締め、私は食堂へと足を踏み入れた。


「おはよう、神谷さん!」
「おはよう…。みんな、揃ってるよ…」
「……アルターエゴは……もう少しで強化終わりそうだから……来た……」


食堂には、既に私以外の生き残りメンバーが揃っていた。
その数———私を含め6人。3週間弱で、12人もの仲間が死んでしまった計算になる。こんなに短期間で、こんなに人が死ぬ。普通なら絶対に起きない不確定要素。———本当は、みんなで出たかったけど……もう、過去を振り返ることは許されない。
目の前に、『黒幕』が立っている。私達は、そういう場所に今立っているのだから。


「モニャンもいなくなっちゃったから…今日はわたしが朝ごはん作ってみたよ。お菓子職人の性でフルーツ入れちゃったけど…」
「ううん、ありがとう安西さん。とても助かるわ」
「人間腹が減ってはなんとやらというしね。とにかく、まずは朝ごはん食べようよ!」
「じゃあオレ自室からハーブティー持ってくるよ!みんな、何がいい?」
「……何でもいいよ……」
「爽やか系がいいな、僕!」


安西さんがフルーツサンドを用意したところから他愛のない会話が始まり、いつもと変わらない朝食会となった。
———そうだ。私はまだ一人じゃない。みんなが…いる。神崎くんも言ってたもんね。あきらめちゃ…駄目なんだ。
談笑しながらの朝食会を終え、私達は早速今日の行動について話し合うことになった。
もちろん、議題は『神崎くんの残してくれたメッセージ』について。彼のメッセージの内容が正しければ、神崎くんの部屋に何か情報があるはず。


「神崎のメッセージでは、神崎の部屋に何かがあるんだよね」
「うん…鍵は壊したらしいから自由に入れるらしいし…。行ってみたほうがいいと思うなぁ…」
「モノクマに見つかってなければいいけどね…」
「……それは……行ってみないと……わからない……」
「行ってみましょう」


話し合いの結果、まずは神崎くんの部屋まで行ってみることにした。うん、まずは行ってみなきゃ分からないわよね。
私達は互いに互いを確認した後、神崎くんの部屋まで歩いて行った。


「…本当だ!神崎くん、鍵壊してるみたい」
「……しかも……分かりにくい壊し方してるから……モノクマにも気付かれにくい……」
「それじゃあ…モノクマにはバレてないのかなぁ?」
「入ろうよ!!」
「うん」


意を決して、私達は神崎くんの部屋の扉を開く。
———キーボード、DJキット、ギター、ベース……。部屋の中には、彼らしく沢山の音楽機器が揃っていた。自由時間も、部屋の中で曲作りとかしていたんだろうか…。
部屋の中に入った私達は、早速彼が手に入れたという『あるもの』を探すことにした。
棚、クローゼット、箱……。色々探してみたけど、それっぽいものはなかった。ま、まさかモノクマがもう持ち去ってしまったのかしら…。いやいや、まだ諦めてはいけない。
粘りに粘って探していた、その時である。私は、ふと視界に入ってきた写真を見つめる。


「……写真?」


———写真には、どこかで見たことのあるような服を着た人達が、少し幼いイメージの神崎くんと笑顔で映っていた。この服は……もしかして、神崎くんのおしおきの時に一緒に演奏していた『モノクマお面』の人達……。間違いない、この人達だわ。
思わず私はその写真立てを手に取ってみる。———彼は、笑っていた。幸せそうな笑顔でピースをしていた。……彼も帰りたかったはずだ。『彼ら』の元へ。でも———それももう叶わないんだ。
写真を見つめながら、私は何とも言えない気持ちに襲われる。……その気持ちを胸にしまいながら写真立てを元の場所に戻そうとした———その時だった。


「……あれ?写真立ての中に何か入ってる…?」


写真が不自然にデコボコしているような感触がし、私は恐る恐る写真立てから写真を抜いてみる。
そこには———モノクマのマークが入った、鍵が1つ、入っていた。
鍵についているキーホルダーには、ご丁寧に『マスターキー』と書いてある。
ま、まさか———これが———


「神崎くんの…『あるもの』…?!」
「神谷、何か見つけたの…ってその鍵!!もしかして…?!」
「えぇ、そのまさかだわ。このマスターキーこそが…神崎くんの言っていた『あるもの』なのよ!」
「マスターキーだから…開いていない扉も開くんだね!!」
「……凄いな……神崎……」
「うん…。モノクマの部屋に行こうよ、神谷さん…!!真実を私達で見つけよう…!!」
「もちろんよ。みんな、心の準備は出来てる?」
「あったりまえだよ!!」


みんなを見回すと、各々が覚悟を決めた表情に満ちていた。
……よーし、場所はモノクマの部屋よね。……神崎くんの努力は…、絶対に無駄にはしない。
そう心に決めて、私達は4階へと向かったのだった。

chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編 ( No.238 )
日時: 2014/02/16 20:27
名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: 9/uwdCta)

モノクマの部屋にやってきた私は、中を見て驚愕した。
学級裁判の時とはまた違う装飾や部屋の間取り。なんというか…冥雅くんの言っていた通り、「徹○の部屋」を思わせるようなつくりになっていた。
モノクマはここで何をやっていたのかしら…。と、違う違う、私が用事があるのはその奥の隠し部屋だったはず。早く探さなきゃ…。
隠し部屋の扉は壁と模様が同化していて、全然見つけられない。うぅ、本当に隠し部屋なんてあるのかしら…。
探している途中、安西さんが声をあげる。何か見つけたのかしら…。


「ねぇ、見てこれ!!綺麗なドレスだよ」
「そりゃあこのくらい豪華な部屋ならドレスくらいあってもおかしくないけど…。ん?これ意外にサイズ大きいね」
「…秦野くん辺りなら似合うかもしれない…。ねぇ、着せてみてもいいかなぁ!」
「……やだよ……」


声の方向を見てみると、何やら星野くん以外の4人が一点に集まって話をしている。恐らく安西さんが見つけたもののようだが、一体何なのかしら…。
思わず見てしまったのが運のつきだったのかもしれない。


「あ、神谷ちゃん!!見てよこれ秦野くんに似合いそうなドレス!!」
「私久しぶりに興奮しちゃった…。こんな時になんだけど、秦野くんに着せてみていいかなぁ…!」
「神谷ーーー!!ナース服もあった、オレ着たいんだけど!!」
「……神谷……助けて……!!」


秦野くんが怯えた声を出しながら私の後ろへ隠れる。訳が分からなくなって、とりあえず事の元凶であるものを見てみたんだけど…。
ドレスはところどころにフリルがついている所詮「ロリータ調」のものらしいんだけれど…見つけた安西さんよりも白戸さんのほうが興奮気味なのは気のせいかしら。いや気のせいじゃないし…。
冥雅くんに至っては女物のナース服を着たい着たいと騒いでいる。世間知らずもここまでくるとむしろ笑えてくる。


「というわけで秦野くん!!覚悟しなさいよね!!」
「私…意外に頑固なんだよね…!!神谷さんが相手でもあきらめないよ…!!」
「変な方向に諦めないでちょうだい!!」
「……素顔見せたくないよ……!!」
「「覚悟ーーーーーーーーーーー!!!!」」
「……いやーーーーーーー……!!」


女性、強し。ごめん、秦野くん。
好奇心に打ち負けて彼女達の特攻を避けてしまい、秦野くんはあっさり捕まって武器庫へ連れ去られてしまった。
その後を嬉しそうな表情をして冥雅くんが追っていく。……冥雅くんはもう放っておこう。
そして…………しばらくした後、白戸さんがカメラを持って帰ってきた。てかカメラなんて持ってたのね…。
そのすぐ後……安西さんとノリノリの冥雅くん、そして捕まった『彼』だった人が戻ってきた。
———その姿に……私は絶句した。


「ちょっとメイクも施してみたんだけど…どうかなぁ…。秦野くん、たぶん影浦くんよりも顔が綺麗だと思う…」
「…綺麗……なんだけど…。男子とは思えないわ…」
「ねぇねぇオレはーーー?!」
「冥雅くんはお笑いレベル…」
「ひどい!!」


冥雅くんの露骨なアピールを横流ししながら、私はつい秦野くんを見つめる。元々中性的な美形男子だとは思っていたけれど、まさかここまでチェンジするとはね…。
……当の本人は恥ずかしさのあまり泣いていたけど。


「……恥ずかしい……戻して……」
「でも…戻す時間ないよ…」
「じゃあこのまま隠し扉を探しましょー!!大丈夫だって、黒幕以外はわたし達しか見てないから!!」
「……ひどい……!!……安西怖い……!!」
「じゃあオレもそのまま」
「冥雅くんは着替えてきなさい!!」


……当初の目的を忘れてないかしら。
寄り道はしちゃったけど、まぁ隠し扉を探すという目的に戻ったんだからいいか…。
と、思っていたのだが。








「ねぇ、何してるの?」








———後ろからの怒声。思わず振り向いてみると、笑顔で拳をふるふるさせている星野くんがいた。うん、怒ってる。
その後、5人で星野くんのお説教を受けたのは言うまでもない。
……そして、しばらく素顔を見られたせいで秦野くんの心が折れっぱなしだったのも言うまでもない……。


…まぁ、冥雅くんが持ち前の幸運を発揮させてすぐに隠し扉を見つけてくれたのは幸いだったんだけど…。
全員の違う一面を見られたひと時であった。こんな時に思うのもおかしいんだけど。