二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編 ( No.243 )
- 日時: 2014/02/19 18:37
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: ObDIKV9W)
〜イチノマチ ホテル内 食堂〜
「まずは、裁判を進めるための情報をまとめなきゃね」
「もしかしたら前までの出来事も武器になるかもしれないから、一応思い出してみない?」
食堂に入りいつもの席に座る。閉じ込められて最初の集まりからは、随分人が減ってしまったけど…。今は、人数が少ないけれど、私達を繋ぐ確かな『絆』を感じる。
言い方は悪いけれど、今まで犠牲になった人がいたからこその絆。そう、表せるんじゃないかな。
私は手帳を広げ、みんなと話し合いながら情報をまとめていった。
「まずは…ニノマチで豊島くん達と一緒に見つけた、あの冊子のことね」
「あれには、『この街』について書かれてあったんだよね。ええと、住居予定者の欄には、確か前に『コロシアイをさせられた』16人の名前があったはずだよ」
「コロシアイをさせられたのが分かったのは、図書室で見つけた黒い本に、日記のようなものが書かれていたからだよね」
『学生隔離街計画案』ニノマチで見つけた冊子に書いてあった。この街の正体は、『かつて希望ヶ峰学園の生徒が住んでいた街』である。
『もう一つの79期生のコロシアイ』ホテルの図書室で見つけた黒い本に記されていた。この街に住んでいた生徒達は、自分達と同じように『コロシアイ』を経験している。
「……ゲームセンターで見つけたパソコンの中……。……アルターエゴが入っていたな……」
「アルターエゴには77期生と78期生のおしおきの画像と、彼らのデータベースがあったんだよね…」
「79期生のデータも入っているはずだよ。今は見れないけど、アルターエゴが見られるようにしてくれるさ!」
『77期生と78期生のデータ』アルターエゴの中に入っていたデータ。同じくアルターエゴの中に入っていた画像ファイルの人物と、一致する人物がいる。
『79期生のデータ』厳重なロックがかけられているため、まだ見ることはできない。恐らく、神谷達ともう一つの79期生の情報が書いてあるのだろう。
「神崎くんが見つけてくれたマスターキーのおかげで、私達はあの書庫へたどり着くことができた。そこには、いくつかの情報があったわね」
「まずは『絶望感染者ファイル』…。そこには、絶望におちちゃった人達の一覧とプロフィールが書かれていたんだよね。確か…『77期生の人達と79期生の人達』が書かれてあったはずだよ」
「ファイルには、『カムクライズル』として覚醒した人達も書かれてあったんだよね…。でも、その中の一つがかすれて見えなかった…」
「怪しい…怪しいよっ!」
『絶望感染者ファイル』絶望として活動していた人物が書かれている。何故か、カムクライズルのページのうち一つだけかすれて見えない名前がある。
『カムクライズル』超高校級の『希望』として人工的に創られた存在。複数存在する。
「……『希望再生プログラム』……。……死人を再生させるプログラム……」
「絶望とやっていることは一緒なんだけど、上手くいってほしいと思っちゃうのはなんでなんだろう」
「そこでわかったのは、『77期生と78期生の人達が今かけられている可能性がある』ってことだよね」
「そうね。みんなが無事に出てこれるかは、彼らしだいだと思うけど…。今は、祈りましょう」
「77期生と78期生といえば、彼らも『コロシアイ』を経験してるんだよね。コロシアイの後に、全員そろって『希望再生プログラム』にかけられてるんだけど…」
『複数のコロシアイ』コロシアイは今回だけではない。77期生も、78期生も、コロシアイを経験していた。
『希望再生プログラム』死者蘇生が出来るというとんでもないプログラム。77期生と78期生が現在かけられている可能性が高い。
「黒幕、といえば…。そうだ!神崎がやられた事件も関係あると思う!」
「彼を罠にはめておしおきまで導いてしまったのは黒幕…。モノクマが直々に言っていたのだから、間違いないでしょうね」
「動機になったかは分からないけど…。『あのDVD』も、関係してそうだよね。どれも全員と共通して同じことが起きてたし」
『羽柴殺しの真犯人』羽柴を襲い、神崎に罪を被せたのは黒幕。
『過去のDVD』冥雅の正体が分かった後に渡されたDVD。全員の見たものが同じ『特徴』を持っていた。
『冥雅雪斗の正体』冥雅は一度死んで絶望により蘇った存在。神谷達のクラスメイトではなかった。
———こんなところかしらね。確かにまだ謎は多いけれど…。少しずつ、見つけていかなきゃ。
「とりあえず今日は解散しようよ。やりたいこともあるだろうし」
「いつタイムアップを告げてくるか分からないけど、頑張ろうよ。みんなで頑張れば…きっとモノクマだって、その向こうにいる黒幕だって倒せるよ!」
これ以上全員で行動することはないと判断したのか、とりあえず今日は解散することになった。
———これからどうしようかな。犠牲になったみんなの部屋でも…回ってみようかしら。
そう思いながら、私は自室へと戻っていったのだった。
- chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編 ( No.244 )
- 日時: 2014/02/19 19:03
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: ObDIKV9W)
翌日、朝食会に間に合わせるために早めに食堂を訪れたところ、秦野くんが私に用事があるといって更衣室まで連れて行った。
更衣室に入ってみたところ、既に全員が揃っている。秦野くんが呼ぶ、ということは…アルターエゴに何かあったって考えていいのよね。
『おはよぉ!みんな、朝早いねぇ』
「秦野くんがみんなを呼んできたのよ。多分…何か新しい発見があったんじゃないかしらと思ってるわ」
『流石神谷さんだねぇ!実はね…79期生のデータベースのロックの解除が終わったんだよぉ!』
「え?!」
どうやら、厳重にロックがかかっていたものの解除が完了したらしい。アルターエゴは、『もっと早く解除できれば沢山の人が助かったんだよねぇ、ごめんねぇ』と、申し訳なさそうに謝っていた。
……いや、アルターエゴが謝ることではない。終わらせたことが、今は私の胸を安心感で満たしている。
「そんなことないわ。解除してくれたのは本当にありがとう」
『えへへぇ…。それじゃあ、すぐ見られるようにしてくるからちょっと待っててねぇ』
そう言って、アルターエゴは機械音を鳴らしながらファイルと取り出す。
ウィンドウに現れたファイルの名前には、確かに『79期生データベース』とついていた。
「……開くよ……」
「うん。みんなのプロフィールが…入っているんだよね」
秦野くんがマウスをカチッと押し、データベースを開く。
———そこには、確かに私達のプロフィールがあった。だけれど…何か違和感がある。冥雅くんのプロフィールがないのは当たり前だ。だって、彼は『私達のクラスメイトではなかった』のだから。でも…問題はそこではない。
『なきゃいけないはずの名簿がない』という予感を、私は頭の中に浮かべた。
「…ない…ない気がする…」
「オレのプロフィールはないに決まってるだろ?オレは…」
「違うの。冥雅くんのプロフィールがないのは当たり前。…なきゃいけないはずのデータがない気がするのよ」
「どういうこと?」
違和感を覚えつつ、私はマウスをスクロールさせて全員のプロフィールを確認する。
しかし……確かに、『彼女』のプロフィールが存在せず、あってはいけないはずの『彼女』のプロフィールが存在した。
「…『村上さん』。村上さんのデータがどこにもないわ…。それに…私達のクラス…今は『79-B』と仮に名づけておくわね。そこに…『東雲スミレ』さんのデータがあるのよ」
「モニャンの言ってたことは本当だったんだね…!」
「じゃあ、彼女が黒幕なのかなぁ…。肩書も『女番長』だし、怖いよ…」
「(何か違う気がする…。彼女は、黒幕ではない気がする…)」
「その線が高いかもね。だって村上さんは…………」
−−−−−−−−−−−−−−−
「てめぇ、ふざけてんじゃねえぞゴルァ!!ロボットでもぬいぐるみでも関係ねぇ!!!今ここでボコボコにしてやるよ、覚悟しやがれ!!!」
「うわわわわっ!!学園長への暴力は校則違反だよ〜?!」
「校則なんて知らねぇよ!!!ボコボコにされたくなかったらあたし達をここから出しやがれ!!!!」
「…うぷぷ。あんまり調子に乗るんじゃないよ」
「はぁ…?」
「……あ……え……?ど……し……て……?」
−−−−−−−−−−−−−−−
「みんなが閉じ込められちゃった最初の日に、殺されちゃってるんだから」
「東雲スミレ、か…。なんか怖そうな人だなぁ。彼女のプロフィールだけ写真が貼ってないし、想像することしかできないよ」
———黒幕は『東雲スミレ』。そう思えば、一見全てが丸く収まる気がする。
だけど…何か違う気がする。黒幕が彼女だと断定すればするほど、おかしな感覚が私の全身を襲っていく。
こんなとき、神崎くんがいたら「それは違うんじゃないか」とか言ってくれるんだろうけど…彼もいない。
確かめなきゃ。彼女が眠っているのは…死体安置所のはず。
「やっぱり納得できない。彼女は黒幕じゃない気がする」
「え?!でもここにいない人って彼女だけなんだよ?!」
「…死体安置所に行ってくるわ。冥雅くんもついてきてくれるかしら?」
「うん。いいけど…」
「……データベースの解析……やってみる……。……行ってきて、いいよ……」
「秦野くん…?」
「ありがとう。それじゃ、行ってくるわね」
言葉を繋いでくれた秦野くんに感謝しながら、冥雅くんの手を引き私は更衣室を後にした。
「どうして行かせちゃったの?」
「……神谷の目……本気だった……。……俺は……神谷を信じたい……」
「…そっか。いやー、秦野くんには参るよ」
「……どういうこと……?」
「なんでもないよ」
私達のいない更衣室で、そんな会話が繰り広げられていたという。