二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 学級裁判編 ( No.268 )
- 日時: 2014/03/16 14:57
- 名前: ランスロット ◆/.5aaSlLPY (ID: pOz8vLGm)
目の前の儚き『絶望』は、目の前で泣き崩れていた。
こんなの違う、こんなの求めていた答えとは違う、と繰り返しながら。…彼女も、被害者なのだということを改めて感じさせられた。
「どうして…アタシは…絶望なのに…」
「村上さん。もう思いつめるのはやめましょう?キミだって…巻き込まれただけなんでしょ?『絶望に…飲み込まれてしまった』だけなんでしょ?」
精一杯の励ましを彼女に贈る。
だけど、彼女がその手を握ることはなかった。ただ、強く私の手を振り払う。意地でも認めなくないのだ。『絶望』が『希望』に負けたという真実を。
「アタシは…『能力を持っている本科生の人間』が憎かった…。才能を持たずに金で入った愚か者、と本科生に何回も言われてきた…。それが嫌で嫌で仕方なかった」
「だから…村上さんは『カムクライズル』に…『あらゆる才能を持った希望』になることを望んで、実験を受けたんだね…」
「そうよ。東雲のアタシの才能として考え出した『リポーター』っていう才能も、その中の一つ。アタシは…絶望によって希望へと作り変えられた…。これで、アタシを見下す人はいないんだと思った…だけど」
「本科生が立場を見直すことはなかった…そうだね?」
「そうよ。だから…アタシは本科生をもっと憎む結果になった。そして…『絶望』として動いていくことになったのよ」
彼女の口からぽつり、ぽつりと真実が零れていく。
どれだけ辛かったのだろう。どれだけ、苦労をしてきたのだろう…。彼女が『予備学科』として入ってきたせいで『絶望』と化してしまったなんて…。
黒幕なのに。12人もの仲間を殺してきた憎き敵なのに。今は……同情せずにいられなかった。
「…ですが、貴方様のやられたことは許されることではありません。ここで犠牲になられた12名のクラスメイトの方々…そして、外で犠牲になったであろう沢山の人々…。貴方様は、それを背負って生きていかなければならないのです」
「白取くん…」
もう戦う力もなくなった村上さんに、白取くんは突き刺すようにそう言う。彼女は…ただ、黙ってそれを聞いていた。
———そうだ。これから彼女は罪を償っていかなければならないのだ。私達と一緒にここから出て。絶望から復帰しなければならないのだ。
彼女も———そう、思っているはずだ。
「…村上一夜。脱出スイッチを、渡してはくれませんか。そして…罪を償うのです」
「脱出スイッチ…。えぇ。渡してやるわよ。でも…アタシを連れてここから出るですって?
反吐が出るような綺麗ごと言わないで頂戴。アタシはもう…こうなっちゃったら『用済み』なんだから……」
『そうだ。そいつはもう『絶望』とも呼べない存在だ』
———ふと、この裁判場に響いていなかった声がした。
なんというか……完全に、『大人』の声。声の方向に振り向いてみると。
そこには、炎のように赤く揺らめいた長い髪の毛を持つ男性が、立っていた。
そしてその眼は———『絶望』に、満ちていた。
「『スザク』……!!どうしてアンタがここに…!!」
「スザク……?!彼が、スザクなの……?!」
「村上が知っているってことは、こいつも絶望なんだな!!次から次へと……村上、お前が呼んだんだろ!!」
「アタシ……知らないっ 知らないってば!!」
「……村上も知らないなんて……どういうことだ……?!」
村上さんは扉の前の『彼』を見て、ひどく怯えきっていた。彼は———『スザク』と名乗っていた。
彼女との関係からみて、確実に絶望側の人間ではあるが…。どうしてここにやってきたのかしら。
まさか———彼女が私達にとどめを刺せなかったから、彼自身がここまで……?
そう、思ったその刹那。
——————ザシュ
「………っは………!!」
「お前……!!仲間を……!!」
目の前の『赤』が、村上さんの喉を切り裂いた。致命傷は避けているようだから死んではいないのだろうけど…。
彼女は、確かに再び『絶望』に戻ってしまった。
そしてスザクは倒れた村上さんを担ぎ、私達にこう言うのだった。
『希望よ、今ここに宣言しよう。お前達は我ら絶望により叩き潰される。この裁判場と一緒に…崩れ去るがいい』
———その言葉を聞いた瞬間だった。何かが崩れる音がした。
「裁判場、崩れてない?!」
安西さんの言葉で我に返る。…まさか、スザクが裁判場を……?!そう思ってあいつを探したけど、彼と村上さんの姿は———
既に、ここにはなかった。
「とにかく、ここから出ないと!!」
「エレベーター稼働してるかな?!急ごう!!」
「……まだエレベーターの方は崩れてない……間に合う……!!」
「皆様!!急いでください!!」
崩れていく裁判城から、私達は逃げる。
エレベーターに乗り、素早くボタンを押す。……良かった、まだ動くみたい……。
扉が開き、私達がイチノマチへと辿り着いたと同時に———
裁判場が、完全に崩れ去る音がした。
<生き残りメンバー> 残り:7人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙
「超高校級の執事」白取幸輔
chapter06 〜叫べ!希望の彼方へ〜 非日常編/学級裁判編 END