二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 ( No.34 )
- 日時: 2013/10/03 16:56
- 名前: ランスロット (ID: n/zTC2pa)
…モノクマに殺し合いを強要されてから、今日で4日目。
私は、まだ昨日の映像のことを思い出せなかった。
家族がおらず、家が壊されている状況…。信じたくなかった。
嘘だと思いたいのだ。…でも、心のどこかで「そうなのではないか」という考えが渦巻いている。
私は気だるい身体を無理に起こし、食堂へと向かった。
…案の定、朝食会の集まりは悪かった。
「おはようございます、神谷さん。昨日は散々でしたね…」
「えぇ。せっかくみんなが一つになってきたのに…」
「…モノクマの野郎、妙なタイミングでとんでもないもの仕掛けていきやがったなァ」
「私、今でも信じたくないわ…」
参加している数人も、昨日の出来事を振り切ったわけではなさそうだ。
「…ですが、この出来事がきっかけで、起きてはならないことが起こってしまうかもしれません」
「それって、『誰かが誰かを殺す』こと?」
「はい。起きないのが一番いいのですが、もしかしたら、ということもあるかもしれません。今まで以上に、仲間を信頼することが大切になってきますね」
「でもよォ、この状況で普通に話しかけられる奴なんて誰一人いないと思うぜェ…」
「…最悪の出来事が怒らないでほしいわね」
私は、ありったけの気持ちを込めて、そう呟いた。
そして、夕方。私は東条くんに呼ばれて、街内のカフェに来ていた。
「東条くん、どうしたの?」
「…実は、話しておきたいことがあってさ」
「何?」
東条くんはいつものようなナンパをしない。
彼も、あの映像を見てそれどころじゃないのだろう。
「俺、悪いことしたかな…?」
「え?」
「今日の朝から、立花に妙に避けられてる気がするんだよな。気を取り直して、いつもみたいに白戸ちゃんをデートに誘ってたんだよ」
「……」
前言撤回。東条くんは東条くんでした。
でも、立花さんに避けられてる…。やっぱり、昨日のことが原因なのかしら。
「でも、立花は俺を見ても何も言わなかったんだよ。いつもなら「なにナンパしてるのよ!」って耳を引っ張るだろ?」
「…きっと、立花さんも昨日のことを気にしてるのよ」
「それだけじゃねえんだよ…。俺だけじゃなくて、白戸ちゃんのことも、昼に話してた豊島のことも無視してるんだよ。あいつ」
自分のせいで白戸さんや豊島くんに迷惑をかけてしまった。
だから、その原因を聞きに立花さんと話がしたい、と彼は言っていた。
彼なりの、謝罪、だという。
「でも、いざ行こうってなるととても怖くてよ…誰かに話を聞いてもらいたくなったんだよ」
「だから、私を呼んだのね?」
「…ごめんな神谷ちゃん。こんなくだらねーことに巻き込んじまって」
ううん、と私は首を振る。
東条くんは自分のしてしまったことを知りたいと思ってる。それで、私に助けを求めてくれた。それだけで私は嬉しかった。
「じゃあ、明日立花さんに話を聞きに行きましょうよ。私も一緒に行くから」
「本当か?!」
「うん。立花さんにも、早く元気になってもらわなくちゃ。それに、東条くんが困ってるんだもの。助けないわけないでしょ?」
東条くんは涙を浮かべてありがとう、ありがとうと私の手を握ってきた。
…モノクマ、見てる?人は、絶望しても立ち直れるのよ。一人では無理でも、人が集まれば、絶望なんて振り払えるんだから。
明日の朝食会後、立花さんの部屋に行く約束をして、私達は別れた。
そして、その日の夜。夕食が終わって、部屋に戻ろうとしていたところである。
「神谷さん!」
「白戸さん…。キミ、もう大丈夫なの?」
「心配かけてごめんね…。大丈夫、とは言えないかもだけど…。これを見つけて、ちょっとだけ気分が落ち着いたの」
そう言って彼女はDVDケースを取り出す。
どうやら、ついさっき部屋に戻ったら机に置いてあったらしいのだ。
「名探偵竺三郎 密室殺人の謎」というタイトルの映画のようだ。
「これ、私が初めて監督を務めた作品なの」
「えっ?!」
「そのころの私はきっと頑張ろう、って思っていたんだろうな…って思ったら、今の自分が恥ずかしくなってきて。みんなも同じなのに、私だけ怯えていたらダメだよね」
「白戸さん…」
「今から見ようと思うんだけど、神谷さんも一緒にどう?」
「ええ。もちろんよ」
私達は互いに会話を交わし、ロビーで映画を見た。
彼女の作品は…なんというか、切れがあって凄い作品だった。
隣で一生懸命映画を見ている、小さい女の子が。こんな作品を作れるなんて…。
改めて、彼女の才能のすごさを実感した。
「…どうだった?」
「王道のストーリーだったけど、とても後味のいい終わり方だったわ。とても面白かった!」
「良かった…!」
感想を述べ、私は時計を見る。もう午後の11:30…夜時間になっていた。
「もう夜時間ね…。明日起きられなくなるといけないわ、もう戻りましょう」
「うん。神谷さん、また明日ね」
「ええ。おやすみなさい」
そう言って白戸さんと別れ、私は自分の部屋に戻った。
そして、今日起こったことを噛みしめながら、眠りについた。
- chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 ( No.35 )
- 日時: 2013/10/03 17:35
- 名前: ランスロット (ID: n/zTC2pa)
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
…あれ、もう朝なんだ。
今日は東条くんと一緒に、立花さんに話を聞く約束をしている。
遅れてしまえば彼に申し訳が立たない。
私は急いで支度を済ませ、食堂へと向かった。
食堂には既にほとんどの人が集まっていたが…東条くんがいない。
「おはようございます、神谷さん」
「はるちゃん寝坊〜?珍しいね!」
「…ねぇ、東条くんは?」
「あいつのことだし、まだ寝てるんじゃね?」
「それはいけません!起こしてきます」
花岸さんは食堂を去り、東条くんの部屋へと向かった…のだが。
すぐに戻ってくることになる。
「…東条さん、部屋にいませんでした…。辺りも探してみたのですが、どこにもいないのです」
「…え?!」
「それって…どういうことだよ」
「鍵空いてるんだし、トイレとかかもよ」
「…いや、それはないと思うわ。トイレなら花岸さんとすれ違うと思うし」
「……じゃあ……東条はどこに……?」
急に、嫌な予感が私の中をよぎった。
なんだろう…頭が、脳が、危険信号を送っている。
そして、その危険信号は、ある一つの考えに行き着いた。
…東条くんに何かあったんじゃ……!!!
「神谷!!!」
冥雅くんの静止を振り切り、私はホテルを飛び出した。
危険信号が、嫌な予感が、強まる。
私は街の中を走り回った。…そして。
数日前とは雰囲気が違う一つの店を見つけた。
『フラワーショップ ジュネス』
頭の中の危険信号が、そこで、より強まった。
すると、後ろで声がした。
振り向いてみると、そこには冥雅くん、神崎くん、シオンくんがいた。
きっと、私を追ってきたのだろう。
「神谷!急に出ていくなんてどうしちゃったんだよ」
「…ここに、何か…嫌な予感がするの…」
「嫌な予感?」
「ですが…ここはいつも通りの花屋だと思うのですが…」
「…入るわよ」
私は花屋の扉を開く。
前に来た通り、カランカランと鐘の音がする。
…そこまではいつも通りだった。
…でも。
「あの、どうなってるんですか…?」
「ねぇ…どうして…?」
「……起こって、しまったのか」
「……東条、くん……」
花屋は荒らされていた。
そして、散らばった鉢植えや花の近くに。
「彼」は、いたの。
今日約束したじゃない。立花さんに話を聞くって言ってたじゃない。
私は絶句した。そこには……
『超高校級のスキーヤー』東条健悟くんの、変わり果てた姿があった。
「……あぁ……!!!!」
「神谷…」
「ああああああああああああ!!!!!!!!!!」
『死体が発見されました!死体が発見されました!一定時間の自由時間の後、学級裁判を行います!
もう一度、お伝えします!死体が発見されました!死体が発見されました!』
私の耳には、モノクマの、明るい声だけが響いていた。
<死亡者>
「超高校級のスキーヤー」東条健悟
花屋で発見。
何者かによる、スキーストックによる刺殺だと思われる。
<生き残りメンバー> 残り:16人
「超高校級の知識」神谷春子
「超高校級の幸運」冥雅雪斗
「超高校級の着ぐるみ職人」雨宮くるみ
「超高校級の女形」影浦凍耶
「超高校級のパティシエール」安西桃花
「超高校級のDJ」神崎満月
「超高校級の弓道部」花岸美那子
「超高校級のディーラー」シオン・スカーレット
「超高校級のマジシャン」佐藤かがみ
「超高校級の映画監督」白戸佳織
「超高校級のダンサー」豊島未来
「超高校級のバイトマスター」立花実貴
「超高校級の科学部」羽柴陸斗
「超高校級の図書委員」長月舞子
「超高校級のハッカー」秦野吟也
「超高校級の美化委員」星野梓沙
chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 (非)日常編 END