二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 非日常編 ( No.36 )
- 日時: 2013/10/04 19:05
- 名前: ランスロット (ID: 5p/ciDZ4)
モノクマの放送に驚いたのか、花屋には続々と他の仲間がたどり着いていた。
そして、変わり果てた東条くんを見ては、各々の反応を見せた。
青ざめて叫ぶもの、俯くもの、東条くんの死に心を痛めるもの——。
東条くんの死は、私達に暗い影を落とした。
「ねぇ、なんで東条くんが死んでるの…?」
東条くんがよくナンパしていた、白戸さんが涙を流してそう言った。
白戸さんはナンパされて、というか彼に話しかけられて嬉しかったのだろう。そうでなければ、あんなに泣くことは出来ない。
「そりゃあ、モノクマに殺されちまったんだろ…?」
「いやぁ、ボクは殺してませんよ?」
「うわああああ?!」
目の前に、急にモノクマが現れた。
そして、東条くんの亡骸を見ては、うぷぷ、と軽く笑った。
「やっと楽しくなってきたね!」
「何を言っているんですか!人が死んでいるんですよ?!」
「だってぇ、絆とか希望とか言って一丸となったその時に、こうして東条くんが殺されたんだよ?楽しい以外の何物でもないでしょっ!!」
「どうせ、東条くんも村上さんみたいにあんたが殺したんでしょ?!」
「いいやぁ、ボクは殺してませんよ〜。責任転換も甚だしいなぁ〜。殺したのは、オマエラのうちの誰かだって」
モノクマは私達の顔をなめまわしながらそう言う。
…私達の誰かが殺した?…誰が殺したの?
信じられなかった。いや、信じたくなかった。
「ちゃんと監視カメラでばっちり見ていたから、嘘はついてないよ!それに…規則をちゃんと守る子を罰することはボクはしません!」
「……じゃあ……誰が東条を……」
「うぷぷ…。それは、今からみんなで決めるんだよ」
「…どういうことだ?」
「さて、オマエラは校則は覚えていますか?」
「ここで暮らすために守らなければいけない校則の六番目…。
『仲間の誰かを殺したクロは卒業となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません』…だったか」
「そうなのです。そこで、オマエラには東条くんを殺した犯人を見つけてもらうために、学級裁判に参加してもらいます」
「学級、裁判…?」
怯えながら安西さんが呟く。
モノクマはそう、と一言だけ言って、話の続きを語り始めた。
「誰かを殺した生徒だけがここから卒業できる、とは開催式に説明した通りです。しかし、その際に守ってもらわないといけない約束があったよね?」
「…『自分が殺したことを誰かに見られてはいけない』という項目だな」
「そうです。ただ殺すだけじゃダメ。他の生徒にバレないように殺さないといけないのです。それで、その約束がちゃんと出来てるかどうか、査定するシステムとして、殺人事件が起きた一定時間後に、『学級裁判』を開くことにしましたっ」
「…しました、だって?」
「だって、ただ単に多数決で決めちゃったらツマラナイでしょ?外にいる皆さん的にも盛り上がりに欠けるからね」
「外にいるみんな…?一体誰のこと?」
私はふと頭に浮かんだ疑問をモノクマにぶつけてみる。
しかし、モノクマはそれを華麗に無視し、言葉を続けた。
「さて皆さん。今回の学級裁判の議題は、『東条健悟クンを殺した犯人は誰か?』です。
学級裁判では、殺人を犯した『クロ』、そしてそれ以外の『シロ』との対決が行われます。
学級裁判で身内に潜むクロをオマエラに議論してもらい、その結果は最後に行われる投票により決定されます」
「とう、ひょう…?」
「そう。そこで、オマエラが導き出した答えが正解だった場合、秩序を乱した『クロ』だけがおしおきされますので、他の皆さんは共同生活を続けてください。
ただし、もし間違った人物を『クロ』としてしまった場合は……。
罪を逃れた『クロ』だけが生き残り、残った『シロ』全員がおしおきされます」
淡々と述べられる学級裁判の事実に、私達は何も言えずにいた。
…その沈黙を破ったのは、あまり動揺していないシオンくんだった。
普段から慣れているのだろうか。彼はいつも通りのポーカーフェイスを崩さずこう言った。
「モノクマさん。『おしおき』とは、どういうものなのでしょうか」
「おしおき…?それはね、『処刑』だよ、『ショケイ』」
「しょ、処刑?!」
「うん、処刑。あ、ちなみに処刑の内容としては、
『自分の黒魔術で召喚したモンスターに喰われる』とか、
『黒猫ダンジョンの最終面でステージのトラップに引っかかる』とか、
『城の一部に縛り付けられて、沼まで落とされる』とか、
バラエティ豊かなラインナップとなっております!」
「…つまり、『犯人を突き止められれば犯人だけが処刑』。『犯人を突き止められなければ、犯人以外の全員が処刑』ということになるのかしら」
「そうです。神谷さんは相変わらず賢いね!ついでに、付け足すと犯人を突き止められなかった場合、共同生活は強制終了となります」
モノクマはこほん、と一回咳をして、みんなを向き直した。
「以上が学級裁判の、ルールなのです!!今でいう、『裁判員制度』みたいなものなかのかな?ただし、判断は慎重にしてくださいね。なんたって、オマエラの命がかかっているんだから。今のことは校則に追加しておくから、後で確認するようにね!」
そう言ってモノクマは捜査頑張ってね〜、とだけ言い残し、花屋を去って行った。
…私達が生き残るためには、東条くんを殺した犯人を突き止めなければならないのね…。
裁判なんてやりたくない。でも、そんなことは言ってられない。
…気持ちを、強く持たなくちゃ。
東条くんを殺した犯人を…見つけなくちゃ。
- chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 非日常編 ( No.37 )
- 日時: 2013/10/05 13:19
- 名前: ランスロット (ID: cKFXF7i4)
「でもさぁ、捜査っていってもどこから始めればいいのかなぁ?」
…そういえばそうだ。私達は、みんな揃いも揃って捜査に関しては素人だ。
こんな時、「超高校級の警察官」とか、「超高校級の検事」とかの才能を持っている人がいればいいんだけどなぁ。
でも、ないものねだりをしてもしょうがない。気を取り直し、まずやることを考え始めた、その時だった。
私達の目の前に、モニャンが現れた。
「モノクマ様からの伝言でございます。伝え忘れたことがあるそうです」
「伝え忘れたこと?」
「えぇ。『オマエラは捜査に関しては素人同然だと思うので、優しいボクが捜査に必要な情報をまとめておきました。その名も……』」
『ザ・モノクマファイル〜!!』
モノクマの真似をしたモニャンがいつにも増してシュールだった。
雨宮さんは「うぉぉぉぉ、ドラ○もんなのだ!!」と興奮している。
「皆様の電子生徒手帳にファイルの項目を追加なされたそうなので、後で見てみてください、とのことです」
「それを頼りに、犯人捜しをしろってことかよ…」
「では、健闘を祈っております」
そう言って、モニャンはホテルに戻って行った。
理不尽なルールに戸惑っている私達と、二度と動かなくなった東条くんを残して。
「…お前ら、何を突っ立っているんだ」
「影浦…」
「さっさと捜査を開始するぞ。…結局、仲良しごっこを続けていても殺し合いは起きたのだからな」
「…うん」
影浦くんの言っていることは、正に正論だった。
私達は、ここで立ち止まっているわけにはいかないんだ。
「まずは何をすればいいの…?」
「見張りを用意しましょう。犯人が証拠隠滅を図らないように」
「でも、その見張りが犯人だった場合はどうするんだよ?証拠を隠滅されたら、犯人を見つけられなくて俺たちお陀仏になるぞ?」
「じゃあ、見張りを二人用意しましょう。それなら犯人だったとしても証拠隠滅は出来ない。…誰か、やってくれる人はいないかしら」
私はみんなを見渡す。
…やっぱり、みんな見張りなんてやりたくないわよね…。
そう思っていると、二つの手が上がるのを見て取れた。
「俺、見張りやるかなァ。東条の検死も担当していいかァ?」
「羽柴くん、検死が出来るの?!」
「あァ。人を治す薬を作るには、人間の中身を分かッてないとやッてらんねェからなァ。ある程度だけど、任せろ」
「ありがとう、助かるわ」
一人は、羽柴くん。
どうやらそういう関係の実験もしたことがあるらしく、検死も担当してくれるみたい。
…心強い見張りを得たわね。
「…私も、見張り、やります。怖いけど…」
「白戸さん…」
「東条くんは、私なんかを構ってくれた…。だから、私も東条くんのために何かしたいの。羽柴くんみたいに捜査は出来ないけど、それでもいいなら…」
「いいえ、ありがとう。頼んだわ、白戸さん」
もう一人は、白戸さん。
自分は何もできなかったから、せめて見張りはさせてほしいとのことらしい。
白戸さんと羽柴くんは互いに頷き、東条くんの死体の前に移動する。
そして、私の指示に続くように花岸さんが言った。
「皆さん、この状況なのでお互いのことを信じられないかも知れません…。しかし、まるっきり信じないのでは問題は解決しません。こんな時こそ、皆さんで協力して事件を解決しましょう」
「えぇ…。東条くんの、為にも」
「ふん。俺は一人で捜査させてもらうぞ。この中に人殺しがいるんだ。そいつと一緒に行動することになったらたまらんからな」
影浦くんはいつもの調子で、花屋を出て行ってしまった。
…でも、捜査に協力してくれるのはありがたいわ。今はそう思っておくことにしましょう。
「出来るだけ単独行動は避けて、情報を多く集めてください。些細な情報でも、解決の糸口になるかもしれません。とにかく、情報を集めてください」
「おう!」
「やりたくないけど、やるしかないのよね」
「…本当にこの中に犯人がいるの?あたしまだ信じられない…」
「でも、見つけなきゃそれ以外が全員殺されるんだ。…見つけるしか、ないんだ。東条を殺した犯人を…」
そう言って、みんなは捜査に向かった。
私の隣では冥雅くんが「俺も頑張るよ。東条のためにも、神谷のためにも」と言っている。どうやら一緒に捜査をしてくれるようだ。
…間違えたら私達が死ぬ。…思い起こすだけで悪寒がする。
…だけど、逃げてはいられない。やらなくちゃ。
…生き残るためにも。東条くんのためにも…。