二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 非日常編 ( No.40 )
- 日時: 2013/10/06 15:16
- 名前: ランスロット (ID: saz7BosX)
〜フラワーショップ ジュネス 東条の死体 前〜
「…まずはモノクマファイルを見てみない?」
隣で冥雅くんが話しかけてきた。
辺りを見回してみると、既に見張り役の二人以外の人は花屋から出て行っている。
みんな、それぞれに捜査を始めているのだろう。
…私も、うかうかしてはいられないわね。
気合を入れ直し、私は生徒手帳内の「モノクマファイル」という項目を開いてみる。
そこには、被害者の情報が簡単にまとめられていた。
被害者:「超高校級のスキーヤー」東条健悟
死因:スキーストックによる出血死
死亡時刻:10時45分頃
死体発見場所:イチノマチ内「フラワーショップ ジュネス」店内
備考:スキーストックの他、目立つ外傷はなし
『スキーストック』東条の腹に刺さっている。恐らくこれが凶器なのだろう。
…これだけじゃ、犯人を一人に絞るのは難しいかもね…。
とにかく、調べられるだけ調べて情報を集めないと。
「じゃあ、俺東条の向こう側調べてくるよ」
「えぇ。何かあったら教えてね」
「任せて!」
冥雅くんは私に向かってウインクをして、花屋の奥を調べ始めた。
私も彼に頷いて、二人に許可を取って東条くんの遺体の周りを調べて回った。
…東条くんの遺体については、羽柴くんの検死が終わってからでも大丈夫だろう。
そう思って、大量のシャベルのあるバケツのあたりを調べていた。
「…これは?」
バケツのそばに、白いひもが落ちていた。
…花屋にこんな白いひもがあったかしら…?いや、数日前に確認した時はなかったはずだ。
だとしたら、マルチショップから犯人が持ってきたか、あるいは犯人自身の持ち物なのか…。
とにかく、このことを手帳に書いておかなきゃ。
『白いひも』大量のシャベルが入っているバケツのそばに、落ちていた。結構長く、1mは軽くあるだろう。
花屋には置いていないものだと思われる。
「神谷、ちょっとこっちに来てくれるかな」
急に、冥雅くんに呼ばれた。何か手掛かりを見つけたのかしら?
冥雅くんは、割れた植木鉢のかけらのようなものを持っていた。
「こんなものを見つけたんだけど…。かけらの端に、血がついているんだ」
「もしかして、これで東条くんを殴った、ってこと?」
「うーん…。今は分からないけど、犯人から身を守るために東条が使った可能性もあるね」
「手帳に記入しておきましょう」
『植木鉢のかけら』植木鉢のかけら。端に血がついている。
…そうだ、一応みんなが昨日の夜、何をやっていたのか聞いておかなくちゃ。
そこから、東条くんを殺すことが無理な人…つまり、『アリバイのある人』を見つけ出しましょう。
私は、3人のほうに向き直る。
「ねぇ、そういえばみんなは昨日の夜、何をやっていたの?」
「…神谷さん、もしかして私たちを疑っているの…?」
「逆よ。みんなの話を聞いて、アリバイのある人を見つけて候補からはずすの」
「そっか…」
私の説明を聞いて、白戸さんがほっとしたように安堵の表情を浮かべた。
「俺は、昨日の夜はずっと自室にいたよ。…証明してくれる人はいないけどね」
「俺も昨日は部屋で薬品の仕分けをしてたぜェ。証人は…俺もいねェなァ」
「私は、神谷さんと一緒に映画を見ていたの。10時から11時30分までの映画だった。証人は、神谷さんだよ」
「えぇ。私も一緒に映画を見ていたわ。つまり、少なくとも私と白戸さんには犯行は無理ね」
「途中でどちらかが出て行ったりとかはしなかったのかァ?」
「それはないわ。彼女、映画を見てる途中ずっと私の服の裾を掴んでいたもの。白戸さんが席を離れるなら、裾を離すはずだから分かるわ」
「うん…」
「みんな、教えてくれてありがとうね」
「あァ。検死ももうすぐ終わるから、わかったことを話せると思うぜェ」
そう言って羽柴くんは検死の作業に戻った。
…そう。少なくとも、私と白戸さんにはアリバイがある。
冥雅くんと羽柴くんは自室にいたらしいが、証明してくれる人がいない。アリバイはまだない。
考えていると、あ、と何かを思い出したように白戸さんが喋った。
「そういえば、映画を見ている途中で扉の音がしたよ。誰か…出て行ったんじゃないかなぁ」
「えっ?」
「うん。何回か音が下から、誰か、複数人が出入りしたんだと思う」
…誰かが夜にホテルを出て行った、ということになるわね。
一応、メモをしておきましょう。
『白戸の証言』映画を見ていた時に、何回か扉の音がした。何回かは覚えていない。
「検死、終わったぜェ」
「どう?何か分かった?」
「後頭部に殴られた跡があったぜェ。死角になッて見つけた当初は隠れていたみたいなんだが…後頭部に、血がついていた」
「…神谷。じゃあこのかけらは…」
「犯人が植木鉢で東条くんを殴った…ということになるわね」
『羽柴の検死結果』後頭部に殴られた跡があった。後頭部には血がついている。
私が結果を書き続けていると、羽柴くんは「あと、もう一つ分かったことがある」と付け加えた。
「東条の首筋に絞められた跡があった」
「…絞められた跡?」
「あァ。かなり濃く残ッていた」
「ひ、ひどい…」
「もしかして、このひもがなにか関係しているのかしら」
私はごめんね、と東条くんの遺体に誤り、拾ったひもを首に回してみた。
「神谷、何やってんだよ!」
「…見て。ひもと、跡の太さが一致したわ」
「恐らく、そいつで首絞められたんだろうなァ…」
『羽柴の検死結果2』首筋に絞められた跡があった。白いひもと、太さが一致している。
「あとはなんにもなかッたぜ」
「ありがとう、助かったわ」
「神谷、そろそろみんなにも話を聞いてみないか?ホテルにもなにかありそうだし」
「えぇ。二人とも、引き続き監視をよろしくね」
「うん。神谷さんも頑張ってね」
こうして、私は冥雅くんと共にホテルへと向かった。