二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 非日常編 ( No.46 )
- 日時: 2013/10/08 18:33
- 名前: ランスロット (ID: 7pjyJRwL)
そして、わけの分からない事件に頭を混乱させている、その時だった。
ピーンポーンパーンポーン……
『オマエラ捜査ゆっくりすぎだってば!ボクもう待ちくたびれちゃったからそろそろ始めちゃっていいかなー?』
「時間切れか…」
『みんなお待ちかね、学級裁判の時間ですっ!!ではではオマエラ、イチノマチ内の赤い扉の前にお集まりください。裁判場への案内はモニャンがしてくれるから、そこは安心してね!
あ、来なかったらただじゃ済まさないからね!!うぷぷ…それじゃ、またね〜!!』
ぷつり、という音とともにモノクマのアナウンスが止まる。
それは、捜査の終わりを告げるアナウンスだった。
これ以上捜査を続けても意味はない。そう聞こえた。
…行かなきゃ。あの扉の前だったわね。
「まだ事件もまとまってないのに…」
「時間なんだから仕方ないわ。後は、学級裁判で突き止めるしかない」
「みんなを待たせちゃダメだ。早くイチノマチに出よう」
神崎くんの言葉に覚悟を決め、私達はホテルを出た。
そして…豊島くんが言っていた、モノクマ型の建物の前にやって来た。
目の前には、目が覚めるような赤色の扉。
この街には、似つかわしくないものだった。
「あ、3人とも遅いよ!」
「ごめんなさい、事件をまとめてたら遅れちゃったわ」
「……いよいよ……始まる……」
「ええ。この中に、東条を殺した犯人がいる…」
しばらくして、モニャンが目の前にやって来た。
彼は、「扉の向こうにあるエレベーターに乗ってください」とだけ告げ、ホテルへ戻って行った。
…モニャンは裁判には参加しないみたいね。
「…私、まだ信じられないよ。この中に犯人がいるなんて」
「ふん。確かにお前らの中の誰かが犯人なんだ。今更泣き言を言うな」
「そういうとーやくんが犯人だったりしてね〜」
「…勝手に思うならそうしていろ」
各々の不安を乗せ、エレベーターは徐々に下降している。
…エレベーターの中は、やけに静かだった。
異様な緊張感と、正しく犯人を見つけ出さなければ皆殺し、というプレッシャーが私にのしかかる。
…事件もまだまとまっていない。
冥雅くんにはあんなことを言ってしまったけど、実は私も不安なのだ。
可能であれば、ロビーでもう少し事件をまとめたかった。
大丈夫だろうか。事件を解決できるだろうか。
…私のせいで、みんなを犠牲にしてしまったらどうしよう。
様々な不安が、私を精神的に追い詰める。
…でも、気持ちをしっかり持たなくちゃ。
今更、仲間がどうとか言ってられない。…犯人を見つけ出すのよ。
しばらくして、エレベーターが大きく揺れた。
…どうやら、目的地に着いたらしいわね。
「うおお?!」
「何、これ…」
扉の先に広がっていたのは、今まで見た光景とはまた違う、異質な場所だった。
部屋は円形で、下には赤い絨毯が引かれている。
壁はモノトーンカラーのブロックで埋め尽くされ、所々にはモノクマのマークが書かれている。
天井には豪華なシャンデリアが神々しくその場所を照らしている。
…まるで永遠の昼間が訪れているような光景だった。
中心には18台の教壇が円形に並んでおり、各教壇にはパソコンで書いた文字のような書体の、ネームプレートが貼ってあった。
…この教壇、裁判場の証言台みたいなつくりになってるわね。
モノクマも、本気ってことなのかしら。
…ふと、立花さんが指差してこう言った。
「あれ、何かしら」
教壇のうち、2つには遺影のようなものが立っている。
遺影のようなものには、村上さん、東条くんの顔写真が飾られ、大きく×印がつけられている。
…きっと、2人が立つべき席だったのね…。
「なに突っ立ってるの?早く自分の名前の教壇に立ってくださいよ〜!!」
「うわあっ?!」
急に、円の向こう側にあるイスにモノクマは現れた。
子供のような目ではやく、はやく、と私達を急かしている。
「モノクマ、あの東条と村上さんの写真は何?」
「え、これ?死んだからって仲間はずれにするのはかわいそうでしょ?友情は生死を飛び越えるのですっ!!」
「うち一人はあんたが殺しておいてよく言うよ…」
「御託はここまでだよ!早く教壇に立たないと…オマエラ全員こうなるよ〜?!」
私達は無言で自分のネームプレートが書かれた教壇に立つ。
隣では、佐藤さんが「頑張ろうね!」と私に話しかけてきた。
…頑張るというベクトルという問題かしら。
いや、突っ込んでいる場合ではない。
これは、遊びではない。
……この中に、東条くんを殺した人がいる。
信じたくないけど、その人を見つけ出さない限り、私達の命はない。
…東条くんの最期の言葉。
『ごめんな神谷ちゃん。こんなくだらねーことに巻き込んじまって』
『本当か?!』
『ありがとう、神谷ちゃん!!ありがとう!!!』
東条くんは自分の言葉を後悔し、謝ろうとしていた。
そんな彼を殺す、なんて…。
東条くんとの思い出を支えに、私は覚悟を決める。
私達は生き残らなければならない。
東条くんのためにも、みんなのためにも。
命がけの言及。
命がけの弁明。
命がけの騙し合い。
…今、命をかけた裁判が。
始まる。