二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chater01 〜!ロエコリノヲシ〜 学級裁判編 ( No.53 )
日時: 2013/10/11 18:23
名前: ランスロット (ID: pOz8vLGm)

「うぷぷ、議論の結論が出たみたいですね。では、投票タイムと参りましょう。
 お前らは、お手元のスイッチで『犯人だと思う人物』に投票してくださいね。
 あ、念の為に言っておくけど、必ず、誰かに投票するようにしてくださいねっ!!
 こんなツマラナイことで、罰を受けたくないでしょ?」
「…最後の最後まで憎いヤツ…」


モノクマが早く、早くと私達を急かす。
まるで、私達を嘲笑うかのように。


「さぁ、張り切っていきましょーーーーー!!!!!投票の結果、クロとなるのはいったい誰なのでしょうか!!
 その答えは、果たして正解なのでしょうか!!!」


モノクマの席の真下で、カジノのスロットのようなものが回り始めた。
スロットには、私たち全員の顔のイラストが回っている。
…そのスロットが止まるまでに、時間はかからなかった。
イラストは……立花実貴さんの顔で、すべて止まった。
それと同時に、スロットのファンファーレが鳴り響き、紙吹雪がスロットに舞った。
…それは、私達が『裁判を乗り越えた』ということを表しているかのようだった。


「…ぷひゃひゃひゃひゃひゃ!!!大正解ー!!!『超高校級のスキーヤー』東条健悟クンを殺したのは、
 立花実貴さんでしたーーーーーー!!みんな、おめでとう!」
「……なんで、だよ」
「立花さん…」
「…だめね。仕事と学生生活って、両立が難しいものだわ」


立花さんはくすっと笑って、私達全員の顔を見回す。
…声には張りがあったけど、顔が青ざめていた。彼女が、強がっているのが感じ取れた。


「ねぇどうして?!どうしてけんちゃんを殺しちゃったの、みきてぃ!!」
「……どうしても、家に帰りたかったの」
「え?」


立花さんはふぅ、と一呼吸置き、私を見つめて話し始めた。


「私、6人の兄弟がいるって言ったわよね?神谷さん、冥雅くん、神崎くんには話したはずよ」
「…賑やかでうらやましいって、俺がいったあの日か…」
「そう。……私の母親がね、育児放棄しているの。兄弟には産まれて間もない赤ちゃんがいたから、その面倒は私が見ていたわ」
「育児、放棄…?」
「私が産まれて、父親が海外に行くことになるまでは、いいお母さんだったの。私も、『お母さんのような女性になりたい』って、思ってた。
 だけどね、お母さんは変わってしまった。自分のお腹の中に7人目の兄弟がいるのに、兄弟や私に乱暴を振り始めた」
「乱暴、だって?!」
「だから、どうしても家に帰って兄弟の安否を確認したかったの!!」


私達は何も言えずに彼女の話を聞いていた。
途中から、立花さんは蹲って話すようになった。
…きっと、泣いているんだわ。


「じゃあ、どうしてけんちゃんを…?!」
「…私が居てもたってもいられなくなったこと、あったでしょ」
「えぇ…わたくし達が止めた、DVDの件ですね」
「それで、東条の放った一言で、私は何かがはち切れた。こいつ、私をバカにしているんだって。許せなかった。だから、私は東条を殺した」
「そんな…東条はお前を励ましただけじゃねえか!!」
「励ました…?違う、あいつは私をバカにしたの!兄弟を、いち早く安否を確認したい気持ちを!!!」


…なんだろう、この湧き上がる怒りは…。
彼女の話を聞いて、いつの間にか私は立花さんに叫んでいた。


「…待ってよ。立花さん、東条くんの気持ちも考えてよ」
「気持ち…?」
「東条くん、殺される前に私に相談しに来たんだよ?!『自分の言葉で立花さんを傷つけてしまったかもしれない、だから立花さんと話がしたい』って!!!『不安で不安で仕方がない』って!!!
 …確かに、モノクマのDVDで犯行をしようとしたことは分かった。だけど!!!東条くんの話も、ちゃんと聞いてほしかった!!!」
「……神谷、さん……」
「…起こってしまったことを今更非難するつもりはない。だけど…東条くんへの気持ちは、改めてほしいわ」
「……どうして……?私……どうして……?東条は…私のことをちゃんと考えてくれてた……。でも……私……は……
 いや、いや、いやあああああああ!!!!!!!!!」


立花さんが泣き崩れる。…言い過ぎたのかもしれない。
でも…きっと、これで、良かったんだろう。


「ちょっと神谷さん、立花さんを追い詰めるのはボクの仕事だよ〜?勝手に職務を取らないでくださいっ!!」
「別に、追い詰めるつもりで言ったんじゃないわ。…というか、追い詰めるつもりだったのね」
「こんの性悪クマ!!」
「うぷぷ〜、それはほめ言葉だよっ豊島クン。キミだって立花さんに無視されていたんだ。犯人が分かってせいせいしたでしょ?」
「…んな訳あるか!!立花が犯行に走ったのも、全部お前のせいじゃねえかよ!!!」


勇敢にも豊島くんはモノクマに突っかかる。
…だけど、モノクマはそれを華麗にスルーして、こう言い放った。


「無駄な正義感って嫌いなんだよね〜。勇敢と無謀は違うんだよ、豊島クン。確かにボクは動機を用意したけど、『絶対に殺せ』とは言ってないわけだよ。結局動いたのは立花さんの意思じゃん」
「……言い訳も……甚だしい……」
「さてさて、お別れの言葉はここまででいいかな?
 という訳で、『超高校級のバイトマスター』である立花実貴さんの為に、スペシャルな、おしおきを、用意しました〜!!
 では早速参りましょう!!おしおきタ〜イム!!!」


モノクマが手元にある赤いスイッチをハンマーで叩く。
すると、モノクマの下のスロットがモニターに早変わりし、ドット絵の立花さんがモノクマに引きずられていく映像がうつった。
同時に、画面の下には白いドット文字で、こんな言葉が打ち込まれた。


『タチバナさんが クロに きまりました。 おしおきを かいしします。』


…裁判場の奥から、一本の鎖が現れた。
その鎖は立花さんの首を掴み、鉄格子の扉を潜り抜けていった。
…裁判場に、悲痛な立花さんの叫び声を残して。