二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chater00 〜絶望職場体験・スタート〜 ( No.6 )
日時: 2013/09/20 23:25
名前: ランスロット (ID: VaYZBoRD)

「ここが、希望ヶ峰学園…ね」


その巨大な学園は、都会のど真ん中の一等地にそびえ立っていた。
まるで——、そこが世界の中心でもあるかのように……。


『私立 希望ヶ峰学園』


そこは、あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園。
『この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然』とまで言われている。
何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい。
国の将来を担う"将来"を育て上げることを目的とした、まさに、"希望の学園"と呼ぶにふさわしい場所。


この学園への入学資格は二つ——。

"現役の高校生であること"
"各分野において超一流であること"


新入生の募集などは行っておらず、学園にスカウトされた生徒のみが入学を許可される。
そんな常識はずれな学園の校門の前に———私は立っていた。


私はパンフレットを片手に、悠々とそびえ立つ建物を眺める。
想像していたよりも遥かに大きい。恐らく、世界各国でここまで大きな教育機関は存在しないだろう。
…私にはあまり実感は湧かないんだけどね。別に修羅場をくぐってきたわけでもないし、かといって特定の分野で活躍したわけでもない。


 そう思いながら、私はパンフレットとともに届けられた招待状を見る。
それは先週、学校から帰ってきた私の元に届けられた一通の手紙だった。


『神谷 春子様。貴方を『超高校級の知識』として希望ヶ峰学園に入学することを許可する』


自己紹介をしなければならないわね。まぁ、「自己紹介」って言っても何を言えばいいか毎回迷うんだけれど…。


私の名前は神谷春子。つい昨日まで、普通の高校生活を送っていた普通の高校生よ。…え?肩書で疑わしいって?…普通に生活してたつもりなんだけど…。いつか特別なことでもしてたかしら?
…で、今回この学園の選抜理由にもなった『超高校級の知識』についてなんだけど…。ごめんなさい、実はあまり心当たりがないのよ。
強いていえば、小さい頃から謎を解き明かすことが好きで、何でも調べて回っているうちに膨大な知識を手に入れていた…って感じね。
昔から記憶力は他の人よりも良かった自信はあった。1回覚えたことは絶対に忘れないから、小学校のテストも毎回高得点だったっけ…。
中学生の時に両親と世界一周旅行にも出かけて、色んなことを知ったわ。書物や文献だけでは知らなかった真実が見えて、とても面白かった。もちろん、今でも全部覚えてるわよ。
まぁ、私の自己紹介はこんなところかしら?


「はぁ、他の人たちとうまくやれたらいいんだけど」


希望ヶ峰学園に選ばれる生徒達は本当に、その分野では知らない人はいないほどの超一流高校生ばかりで、興味もあった私はその選抜メンバーについて、インターネットを使って調べていた。
実際に色々調べてみたところ、やはりどの選抜者も平均値から大きく飛びぬけた知名度も実力も高い"超高校級"の面々ばかりだ。


例えば、大人気音楽ゲームシリーズに楽曲を提供し、世界でも注目を浴びている「超高校級のDJ」や…

務めたアルバイト先の売上をうなぎ登りにさせ、数々の店の営業危機を救ってきた「超高校級のバイトマスター」…

彼女がリポートした場所や食べ物はすぐさま人でいっぱいになって「人気スポット」と化したり、販売直後に完売してしまう「人気メニュー」になるなど、テレビでも大人気の「超高校級のリポーター」…

他にも、「着ぐるみ職人」「女形」「パティシエール」「弓道部」「マジシャン」「ディーラー」「映画監督」「スキーヤー」「ダンサー」「図書委員」「科学部」「ハッカー」「美化委員」とそうそうたるメンバーがそろっている。…着ぐるみ職人、ちょっと気になるかも。


「…そろそろ行かないとね」


現在、時刻は7時を少し回ったところだろう。
予定では入学式の開催は9時からなので、まだ時間に余裕がある。
…例の「着ぐるみ職人」、探してみようかしら。


入学初日ともあって、私はついつい軽い気持ちで希望ヶ峰学園への第一歩を踏み出した。
それが、間違いだった。


「…えっ!?」


急に眩暈が起こり、目の前の風景が飴細工のようにとけてぐにゃりと歪む。それは、あっという間に他の景色とどろどろに混じり合って……。
気が付いたときは真っ暗闇の世界で、私は完全に意識を失ってしまっていた。


このとき私は気づくべきだった。
これが、日常とかけ離れた"殺人ゲーム"の始まりだということに。