二次創作小説(映像)※倉庫ログ

chater02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 ( No.63 )
日時: 2013/10/16 19:18
名前: ランスロット (ID: 7XXeC3xS)

新しい街。そこは、太陽がさんさんと照りつけている、明るい雰囲気だった。
一言で表すなら、「夏」。そう感じた。
この街も意外に広く、担当である北方面へ向かうまでには結構かかった。
…というか、この街にもモノクマオブジェが大量に存在している。あいつはナルシストなのだろうか。


「ねぇねぇ、どこから調べよっか?」
「そうね…じゃあ、適当に歩いて、目に見えた建物を調べるとしましょう」
「了解でーす!」


結局前回と同じ探索方法になった。もう少し考えをひねられなかったのか私は。
そんなことを思いながら、私達は歩き始めた。
歩いていると、派手な看板を掲げた建物を見つけた。


「えーっと…『遊技場 エンドレス・チェイン』?」
「見た目の雰囲気からして、カジノっぽいよね〜」
「入ってみる?」


ドアは自動ドアで、私達が入った少し後にゆっくりと扉が閉まった。
建物の中には、スロットやビリヤード台、カジノ台が所狭しと並べられている。
どうやら、佐藤さんの思惑通り、カジノで間違いなさそうだ。
スロットは稼働していて、レバーを動かしてみると、スロットが回った。
…案の定、一番最低の絵柄であろう「さくらんぼ」すら揃えられなかったけどね。はぁ…。


「ありゃりゃ〜、はるちゃんはずれ〜」
「後でシオンくんにも伝えておこうよ。彼がいればあのカジノ台も使えるんじゃないかな?」
「ええ、そうしましょう」


私達はカジノを後にし、再び歩き始めた。
次に目についたのは、私が住んでいた町にもあった建物。


「あっ、あれは『スタヤ』じゃないかしら?」
「…『スタヤ』?」
「えっ、まさかほっしー『スタヤ』知らないの〜?!」


星野くんは至って真面目な表情で、こくこくと頷く。
…どうやら本当に知らないようね。
私は具体的に『スタヤ』について説明すると、星野くんはあぁ!と、何かを閃いた表情をして話し始めた。


「レンタルビデオショップのお店だね!」
「そうだよ〜。まさか、ほっしーがスタヤ知らなかったなんてね…」
「ごめんね、産まれてこのかたそういうお店に行ったことがなくて」
「それじゃあ、『セオ』も知らないの?『ホイざらす』は!?」


佐藤さんが店の名前を口にするたび、星野くんは首を傾げて考え込んでいた。
…超高校級って、こういう子達ばっかりなのかな…。


「と、とにかく。中に入ってみましょう。何か手掛かりが見つかるかもしれないわ」
「うぃーっす!」


中も普段行っていたスタヤと変わらない造りになっている。…店員が全くいないことは普通ではないが。
DVDやゲーム、本やCDもたくさん置いてあった。
…あ、これ白戸さん監修の映画じゃないかしら。


「学生御用達、だね♪」
「長月さんや白戸さん達に教えてあげたら喜ぶんじゃないかしら?」
「あとでくるみんと一緒にアニメみよーっと♪」


様々なジャンルの映画に見とれている佐藤さんを何とか諭し、私達はスタヤを後にした。
次に目についたのは、カメラのオブジェが一際目立つ建物。
見た目からして、写真館だろうか。


「写真館かな?」
「『スタジオ アルマース』…か。うん、写真館で間違いなさそうだね」
「入ってみましょう」


ギギィ…という古びた扉を開き、私達は写真館に入ってみた。
そこには、色とりどりの風景の写真。世界各地の観光名所の写真も貼ってあった。


「すっご〜い!どれもこれも綺麗だね!」
「この街に、もしかしたら『超高校級の写真家』っていう肩書の子がいたりしてね!」
「写真家、か…」


今会えるとしたら、ぜひ会ってみたいものだ。
そう思って写真に見とれていると、不意に佐藤さんの悲鳴が聞こえた。


「どうしたの、佐藤さん!」
「こ…これ…何…?」


目の前を指さしながら彼女は青ざめ、怯えている。
彼女が指差した先の写真は…すべて、人が殺されている写真だった。


「えぇっ?!」
「こんな写真も…あるの…?」


一枚は、セーラー服がよく似合う、可愛らしい顔をした女の子が、腹に包丁を刺されてぐったりとしている写真。
一枚は、茶髪の小柄の女の子が、貼り付けにされてぐったりしている写真。
一枚は、カメラを首にかけた女の子がプールサイドのような場所で頭から血を流してぐったりしている写真。
一枚は、天井から縄をかけられ、紙袋を被った患者服の女の子が吊り下げられている写真。
…どれも、正気で見ていられるものではなかった。


「…これ…合成写真…だよね?嘘だよね?」
「モノクマの趣味からして…、そうとは思えないわね。多分…全部本物よ」
「でも、希望ヶ峰学園にこんなものなんて…」
「…はやくここ出ようよぉ…!」


佐藤さんが涙目になって私の服を掴んでいる。…これは、早く出た方が良さそうだ。
私達は彼女に写真を見せないように配慮しながら、素早く写真館を後にした。


「な、何だったんだろう…あれ…」
「話してみる必要がありそうね。何か、この街の手掛かりになるかもしれない」


私達は佐藤さんをベンチに眠らせ、少し休むことにした。
…ふと、星野くんがこんなことを言った。


「ねぇ。僕たちが街に入った時刻から、何時間くらい経ったかな」
「そうね…2時間くらいじゃないかしら」
「…太陽の位置が変わってないんだよね…」
「…え?」


太陽の位置が…変わってない?…どういうこと?
まだ…調べる必要性がありそうだ。
だけれど、今は佐藤さんをホテルに送るのが先だ。その問題は…報告会にでも話し合った方がいい。
私は彼にそのことを伝え、早めにホテルに戻ることにした。