二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 ( No.72 )
- 日時: 2013/10/21 20:13
- 名前: ランスロット (ID: WKDPqBFA)
『希望ヶ峰学園職業体験実行委員会がお知らせします。オマエラ、おはようございます。朝です。朝ですよー!今日もはりきっていきましょー!』
…今日でモノクマに閉じ込められて、8日が経った。
まだ一週間弱しか経ってないのに、色々なことが起きすぎたと思う。
モノクマの校則違反による処刑、殺人、クロが受けるおしおき…。
今思い出しても、胸が明るくなる話題ではなかった。
そんなことを思いつめながら、朝食会に参加していた時の話である。
「今日で一週間弱、ですか」
花岸さんが口を開く。それを聞いていた面々も、黙って首を縦に振る。
「モノクマは警察は当てにするなって言ってたし、私たちどうすればいいんだろう…」
「俺たちで脱出するしかねえだろ!」
「でもよォ…脱出口なんかどこにもねェしよォ…」
中央の街は完全に外だが、柱の向こうは完全に室内。
出られる術がなかった。
「そんなに出たいんだったら、殺しちゃえばいいじゃん!立花さんみたいにさぁ〜」
私達の話を聞いていたのか、今一番会いたくない人物の声が聞こえる。
声の方向に顔を向けてみると、案の定そいつはいた。
私達をここに閉じ込めた張本人……モノクマ。
「まだそんなことを言ってるの?」
「ボクはオマエラが理解出来るまで、何回でも言うよ?だって希望ヶ峰学園の学園長だからね!」
「学園長が人殺せ、とか裁判しろ、とか普通言うかよ…」
豊島くんのつっこみも、モノクマは華麗にスルーする。
モノクマがここに現れた……と、言うことは。何かある。
「今回は何しに来たのよ」
「ボクがここに現れたのにはちゃんとした理由があります!実は…ボク…」
「もじもじしてないでさっさと目的を言ってください」
シオンくんが冷たい目でモノクマを突き放す。
モノクマはその目つきに動揺したが、すぐにいつものペースに戻った。
「じゃあ、発表するよ?実はボク、アニメ制作に挑戦してみました!!」
「…アニメ?」
「ほ、本当か?!」
雨宮さんが目をキラキラさせながらモノクマを見る。…そうか、彼女はアニメも大好きだったんだっけ。
「本当ですよ〜。じゃあボクは放映の準備をするから、10時にロビーに集合してください!それでは、まったね〜!」
言いたいことだけ言い放ち、彼はいつものように消えてしまった。
…モノクマが何か言ってくる。もしかして、今回の動機は「モノクマ制作のアニメ」なのだろうか…。
雨宮さんはともかく、他のみんなが惑わされるかしら。…いや、内容にもよるかもしれない。
「……10時に……ロビーか……」
「どうします?影浦さんにもこのことを伝え、10時まで自由行動でよろしいでしょうかね」
「えぇ。それでいいと思うわ」
みんなはそれぞれに散らばる。
しばらくして、ロビーには私と雨宮さん、冥雅くんだけが残っていた。
「このモノクマの言葉、神谷達はどう取る?」
「…前のDVDの時みたいに、動機を誘うものかもしれないわ」
「アニメが動機…か…。くるみ、ちょっと悲しいぞ…」
彼女はアニメに命をかけている。そんな大好きなものを、動機に使われる。これほど悲しいことはないだろう…。
ふと時計を見てみると、もうすぐ10時を指しそうだった。
「モノクマの時間までもうすぐだね…」
「…神谷、行くのか?」
「えぇ。…そのアニメがどういうものなのか、ちゃんと見定めないと」
私達は意を決してロビーに向かう。
ロビーには、既に全員が揃っていた。
「ごめんなさい、話してたら遅くなっちゃって」
「大丈夫よ。私たちもさっき来たばかりだから」
「…にしても、どんなアニメ見せられるんだろうな?」
「モノクマのことだ。どうせ殺人を助長する内容なんだろ」
話し合っていると、モノクマが現れ用意された椅子に座るように急かされる。
私が椅子に座って数刻後、そのアニメは始まった。
『やっほ〜!!ボクモノえもんだよ!!』
画面に、白と黒のクマのぬいぐるみ…もとい、モノクマが映る。
…著作権完全にアウトしてるじゃないの。大丈夫なのかしら、この作品…。
そう心の中で突っ込んでいると、一人の男の子がアニメに登場した。
『モノえも〜ん!!助けてよー!!』
『おやおや。どうしたんだい?トウヤくん』
男の子の名前は『トウヤ』と言うらしい。…あれ?トウヤって名前、どこかで聞いた気が…。
『お兄ちゃんが僕をいじめるんだ!!助けてよー!!』
『またお兄ちゃんにいじめられたの?しょうがないなぁ』
…またもや著作権アウトな決め台詞を発し、モノクマは道具袋から1つの道具を取り出す。
それは……、こんな状況でなければ普通の調理器具として機能しているはずの、包丁。
しかも、刃渡りは結構長い。
『これを使ってお兄ちゃんを殺してしまえば、キミがいじめられることもないよ!!』
『でも、お兄ちゃんを殺すなんて…!!』
『でも、お兄ちゃんにいじめられたくないんだろう?』
そのセリフが流れたところで、そのシーンは終わる。
そして、次に流れたのは……血まみれの男の子と、彼より背の高い、男の子が倒れているシーン。恐らく、お兄さんなのだろう。
『…お兄ちゃんが悪いんだぞ。お兄ちゃんが僕の悪口を言ったから…』
『うぷぷ。よく出来ました』
そのセリフが流れた直後、画面が真っ暗になる。…どうやら、アニメが終わったようだ。
…やはり、今回のアニメも、DVDと同じく…。
この悲劇は、いつまで続くのだろう…。
- Re: ダンガンロンパF 第1章 〜希望の知識と絶望の運命〜 ( No.73 )
- 日時: 2013/10/22 17:52
- 名前: ランスロット (ID: rzJe41w6)
「ちょっと…何、これ」
「アニメにしては作画が酷すぎる…し…何より内容が酷いベクトルを超えてるのだ…」
「主人公が殺されてしまうミステリー小説は何回か読んだことがあるけど、ここまで酷い作品は初めてよ…」
みんな、青ざめながら各々に感想を述べていく。
…しかし、何一ついい感想を言う人はいなかった。
モノクマはDVDの時のように私達の青ざめた顔を舐め回すように見た後、満足そうに講評を始めた。
「いやぁ〜、アニメの制作って大変なんだねぇー。ネタを掘り下げるの大変だし、原作無視したら原作者に怒られるし」
「…そういう問題じゃないってば…。何よ…あの内容…」
思わず私はモノクマに問い詰める。あのアニメを見終わった直後なのか、声が無意識に震えていた。
「あぁ、話の内容?この中の誰かの実際の過去をアニメにしてみました、って感じかな?でもさぁ、オマエラならアニメに出てきた『トウヤくん』が誰か、分かるよね?一週間も一緒に過ごした仲間なんだから」
うぷぷ、と笑みを浮かべながらモノクマはその『彼』の方向を向く。
モノクマの言っていた、その、『彼』……とは……。
名前から大体予想はついていたが、彼を見た瞬間私は絶句した。
「……どうして……あに……き……俺は……やってない……」
『トウヤくん』本人であろう影浦くんが、顔を真っ青にして何かを呟き、何かに怯えていた。
いつもの影浦くんなら絶対に見せない、焦りと絶望の表情だった。
…まさか、あのアニメは影浦くんの過去に関係があるの…?
「…影浦くん」
「出なきゃ…ここから出なくては…」
ダメよ。ダメ。思っちゃダメ。お兄さんとの過去に何があったのかは私は知らない。だけど…最悪な手だけは使っちゃ、ダメ。
しかし、そんな私の思いもむなしく、彼はその思いに、至ってしまった。
「ここから出なくては…兄貴のことは…誰にも…知られては…いけない…!!」
「影浦くん!!変な考えはやめて!!」
「…うるさい!!」
何とか影浦くんを落ち着かせようとするが、逆に彼は私の言葉を聞く度にその思いを募らせていった。
…そして。
「…殺す…この中の、誰かを…」
ダメ。ダメ。ダメ。…ダメ!!!
「…殺して、こんなくだらない街、出て行ってやるよ」