二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- chater02 〜モウ一度俺ニ愛ヲ下サイ〜 学級裁判編 ( No.87 )
- 日時: 2013/10/28 21:48
- 名前: ランスロット (ID: UVjUraNP)
「おやおや、議論の結論が出たみたいなので、投票タイムと参りたいと思いまーす!
お前らは、いつも通りお手元のスイッチで『犯人だと思う人物』に投票してくださいね!!」
「……ッ」
…事件は解決した。でも…。
こんなに辛い思いになる学級裁判になるとは、誰も思っていなかった。
沈黙は続き、裁判場には明るくはしゃぐモノクマの声だけが響いていた。
「さてさて、投票の結果、クロとなるのはいったい誰なのでしょうか!!!
その答えは、正解か、不正解かーーーーーーーーーーー?!」
前回と同じように、モノクマの席の真下で、カジノのスロットのようなものが回り始める。
……スロットは、雨宮くるみさんの顔で、全て、止まった。
それと同時に、スロットのファンファーレが鳴り響き、紙吹雪がスロットに舞う。
こんなに派手な演出なのに、私の胸は喪失感でいっぱいだった。
「大正解だよーーーーーー!!!『超高校級の女形』影浦凍耶クンを殺したのは、雨宮くるみさんでしたーーーーーーーーーー!!!
今回も、よく出来ました!!!」
「…なんで、なの…。二人で約束したよね?『二人でとーやくんを止める』って。どうして約束を破ったの?!」
佐藤さんはありったけの声を上げて雨宮さんに詰め寄る。
それもそうだ。彼女は雨宮さんを最後まで信じていた。犯人ではないと。
私達がいくら説得しても、首を縦に振ることはなかった彼女なのだ。そんな彼女が、親友である雨宮さんに、約束を破られた。怒るしかないだろう。
「…佐藤に、殺しをしてほしくなかったのだ」
「二人なら、とーやくんを殺さずに止められたかもしれないじゃん!!」
「ダメだ。着ぐるみを見た時…佐藤は見てなかったと思うが、影浦の表情は…絶望に満ちていたのだ。信じていたものに裏切られる、そういう表情だった」
「…だから、あたしを…?!」
「それに、刃物を持っている限りどっちかが傷つく。だけど、行かなかったら神谷が殺される。くるみは…。神谷も、佐藤にも、怪我をして…その手を汚してほしくなかったのだ」
「…くるみ、ん…!!」
佐藤さんはひたすらごめんなさい、ごめんなさいと雨宮さんに謝り続ける。
そんなタイミングを見越して、モノクマは彼女らをさらに追い詰める。
「でもさぁ、雨宮さんは佐藤さんを裏切ったんだよね?理由なんて関係ないさ、だって二人は『約束』したんだもんねぇ?
もし、二人で止めたとして、どっちかが、いやどっちもか!!殺されていたら、二人で計画を立てた意味ないもんねぇ?
結局、雨宮さんは佐藤さんを裏切って人を殺した『最低の人殺し』なんだよ!!」
「やめなさいよ!!」
「部外者は黙っててよ、安西さん。ボクは今雨宮さんと話してるの!!」
…もう黙っていられない。私は、いつの間にか思いのたけをモノクマにぶつけていた。
「…その言葉を撤回しなさい、モノクマ」
「はにゃ?」
「雨宮さんは『最低の人殺し』なんかじゃない」
「えー?その言葉が一番似合うでしょ?」
「…雨宮さんは。私の、佐藤さんの」
『命の、恩人なんだから!!!!!!』
ありったけの声を荒げて、そう、モノクマにぶつけた。
「神谷…」
「また無駄な正義感なの〜?確かに神谷さんは雨宮さんに助けられたね。ぷひゃひゃ、こんな嫌な気持ちになるんだったら、影浦クンが神谷さんを殺してくれたほうが良かったよ」
「なんてこといいやがるんだよ!!神谷はみんなを生還に導いてくれたんだぞ!!」
「でも、犠牲は出たよね?『雨宮くるみ』って犠牲をさ」
「…そう。私は、私達は。『人殺し』になってしまっているのよ」
自分のやったことは、事件を解決する行為。そして、雨宮さんを殺す行為。
…でも、その言葉を制止する声が聞こえた。
「…神谷。悪いが、くるみはそんなことは思ってないぞ」
…私が死の道へと導いた、雨宮さん本人だった。
「くるみは、神谷のことを信じてる。だから、今回の殺人も、ちゃんと真実を暴いてくれると思っていたのだ。
…くるみは、感謝しているぞ。くるみの大切な…『私』の大切な…『かがみ』を守ってくれた『春子』にな」
「雨宮、さん…」
「くるみとはここでお別れだ。だが、くるみはみんなを信じている。もう、殺し合いなんてしちゃダメだからな」
「お前が…いうなよ…!!」
「はぁ〜あ、ここまで友情ごっこ続けられるとボクも色々と辛いんだけどな〜。
それじゃ、『超高校級の着ぐるみ職人』である、雨宮くるみさんのスペシャルなおしおきと行きましょうか!!
では早速参りましょう!!おっしおっきターイム!!」
モノクマは上機嫌で赤いスイッチをハンマーを叩く。
モニターには、ドット絵の雨宮さんがモノクマに引きずられている映像が映った。
『アマミヤさんが クロに きまりました。 おしおきを かいしします。』
最期に彼女は私の方を向いて、真剣な表情をし、こう言った。
「神谷…」
「かがみを、頼んだぞ」
そう言って鎖に引きずられていく雨宮さんの表情は、凛として、堂々としていた。
…絶望になど、屈してはいなかった。